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2023年03月10日23:04

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「列車は人生そのもの」=松本零士さん、原点に青春の旅立ち

■「列車は人生そのもの」=松本零士さん、原点に青春の旅立ち
(時事通信社 - 02月20日 14:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=7307836

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「列車は人生そのもの。終着駅は見えない」―。松本零士さんは、2018年に開かれた「銀河鉄道999」のデザイン列車のお披露目会で、代表作と自身を重ねてそう語った。

 主人公の少年、星野鉄郎は機械の体がもらえる星を目指し、謎の美女メーテルと共に「銀河超特急999号」に乗り込む。作品の原点は、故郷の福岡から18歳の時に24時間かけて夜行列車で上京した自らの体験。帰りの汽車賃はなく、「死んでも帰らないという思いは鉄郎と同じ」だった。青春の旅立ちへの思いは強く、「木造の向かい合わせの座席、床や天井の色など車内もリアルに描ける」。

 出世作「男おいどん」は、4畳半の下宿暮らしの極貧青年が主人公。1人暮らしでインキンになった体験などをコミカルに盛り込み、たちまち人気作に。こちらも自らの青春が土台で、「悩める同志諸君が救われると思った」と懐かしそうに振り返っていた。

 海賊旗をあしらった帽子姿で親しまれた。「自分の旗の下に自由に生きる」。その思いは広大な宇宙への憧れとも重なる。「最後の作品は、宇宙から本物の地球を見た上で描きたい」。願いは果たせなかったが、松本さんの思いは、自由の旗を掲げた「宇宙海賊キャプテンハーロック」と共に、宇宙を旅し続けるだろう。 
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最初に買った作品はクイーンエメラルダスだと思う。意味も分からず、鶏口となるも牛後となるなかれのセリフを読んでいた。主人公の名前さえ思い出せないが、東京の新宿のような密集した街の中から、自作のロケットで空に飛んで行ったような記憶がある。

その遠景はそのままパトレイバーのいる東京と結びついている。

松本零士の功績の全てを列挙するのは不可能である。明日の読者がまた新しい何かを見つけるだろうから。それでも僕たちを宇宙に連れて行ってくれた一人である事は疑いようがなく。

ビルの上からロケットが飛び立つ日常をイメージさせてくれた。男おいどんの四畳半から一歩でれば、そこにアルカディア号の旗が翻る事に何の疑問もなかった。このように現在との地続きの先に松本零士の宇宙空間がある。だから日本人にとって宇宙に行くことは当然である。

アメリカの宇宙船といえばスタートレックに尽きると思う。宇宙艦隊は組織的である。その世界観は統一された未来にある。そういう世界観で育った子供たちが将来はNASAを目指す。

では日本の子供たちの宇宙船は何であったか。筆頭はヤマトになる。これを超える宇宙船は日本には存在しない。ヤマトでスタートレックに敗北するシナリオは日本人には描けない。

だけれどもである。本当に乗りたい宇宙船は何かと問われたらアルカディア号一択で尽きる。それ以外の宇宙船は有り得ない。そう思う。

俺は俺の旗の下で生きる、お前もお前の旗の下で生きろ、というメッセージは決して勝者のそれではない。ハーロックは何度も負けている人間だ。敗者の側である方が多かった人間だ。恐らくその最後も敗者として戦うのだろう。

俺とお前の旗がたとえ違おうとこの船の乗れ。

三八式歩兵銃を手にした兵士が語る。

これしかないんだ。これがいいんだ、これでいいんだ。これで戦うのだからこれが一番いいに決まっているだ。

スタートレックが極めてよく出来た組織を描くのと比べれば、アルカディア号のなんという家族的、個人的な船であろう。海賊でなれば成立しなかったのも分かる気がする。

それ故に、全員が好き勝手にやる事で最大の組織力を発揮すると言う部分が個人主義であって、まさにこれが日本的組織の代表であろう。スタートレックが極めて組織的で、それ故に、個人は役割を担い、かつ、個人的理由が尊重され、配置換えを前提としているのとは大きな違いだと思う。

ジャンリュックピカードがいなくともスタートレックは成立するが、ハーロック亡き後のあるカティア号の世界を描こうとした強者はまだおるまい(のはずである)。

松本零士が我々の思想に残したアイコンは非常に強く血となり肉となって読者の一部を成している。彼無くして今の我々はいない。雪山にも草茂る野原にも海の上にも海の中にも空にも多くのキャラクターが生きている。

松本零士の漫画の最大の特徴はなんだろうと、つらつら思ってきた。彼が死去して何かを探していた気がする。それが匂いに行きついた。それが確からしいと思ったら何故か安心した。

くさいわよ、お風呂に入ればというセリフがあちこちにある。熱熱のビフテキ、人類の口の永遠の友の湯気、日常を描くとは体臭を描く事だ、苦労して生きれば臭くなる事もある。

この感覚は他の漫画家からはそう感じられない気もするが、どれだけ食の漫画が隆盛を誇ろうと、ジブリ飯が如何に美味そうでも、松本零士の筆になるビフテキほど匂いたつものはあるまい。ヤッタランの抱える日本酒の一升瓶ほど匂いは感じられまい。

我々人類は宇宙に行かなければならない。アメリカの宇宙船ならエンタープライズと名付けるだろう。では日本ならアルカディアと名付けるか。これはちょっと難しい。何故なら、そういう考え方をハーロックは嫌うだろうから。

それは俺の船の名だ、お前の船にはお前の名をつけろ。それで共に宇宙を行こう。


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