mixiユーザー(id:12923117)

2023年03月09日10:13

121 view

『エンパイア・オブ・ライト』感想

〜厳しい不況と社会不安に揺れる1980年代初頭のイギリス。海辺の町マーゲイトで地元の人々に愛されている映画館・エンパイア劇場で働くヒラリーは、つらい過去のせいで心に闇を抱えていた。そんな彼女の前に、夢を諦めて映画館で働くことを決めた青年スティーヴンが現れる。過酷な現実に道を阻まれてきた彼らは、職場の仲間たちの優しさに守られながら、少しずつ心を通わせていく。前向きに生きるスティーヴンとの交流を通して、生きる希望を見いだしていくヒラリーだったが……〜<映画.comさんより>

フォト


            フォト        フォト


監督サム・メンデス(脚本も)、撮影ロジャー・ディーキンス、主演オリヴィア・コールマン。
脇にコリン・ファース&トビー・ジョーンズ(←『裏切りのサーカス』組)
そして現在注目されている若手俳優の一人、マイケル・ウォード。
かなり楽しみにして観てきました。

冒頭、エンパイア劇場が開けられてゆく映像が、とにかく美しい。
映画館愛に溢れたオープニングに、すでに、ノックアウト寸前。
なんて素敵なの〜。まさに映画館は夢を見させる場所って感じ。

今は使われていない上の階の佇まい。
鳩が飛び回り、埃だらけだが、あちこちにかつての面影が残っている。
そこからの海の眺めもいい。
ここは、もしかして、現在のヒラリー自身が投影されているのかなと後で思った。

ヒラリーが飲んでいる薬。最初は何かわからない。
医者に症状を聞かれ「感覚が鈍っているんです」とヒラリー。
感情がコントロールできない病気らしい。おそらくうつ病。

映画館の日常。スタッフとの和やかなひととき。
ヒラリーは、館長エリスの性的要請には、逆らえない過去があった。
そんな時、黒人青年スティーヴンが雇われる。建築に興味がありつつも、大学は諦めている。
怪我をしていた鳩の手当をする優しい若者。その鳩が自分自身に思えたのか、ヒラリーはスティーヴンに惹かれてゆく。

「黒人も白人も仲良くすればいいのに」
流れていたのは、スペシャルズるんるん指でOK

ある日、ヒラリーとスティーヴンはバスで海辺に出かける。
楽しく過ごしていたと思いきや、スティーヴンがある質問を投げかけると、ヒラリーは突如せっかく作り上げた砂の城を破壊してゆく。
どんな過去が彼女の精神を蝕んでしまったのか。

『炎のランナー』のプレミアがエンパイア劇場で催される。
その華々しい場所で、ヒラリーは・・・。

サッチャー政権下、失業者が溢れストライキや暴動が多発した時代。
黒人に仕事を奪われたという腹いせか、ステーヴン個人のみならず、エンパイア劇場も襲われてしまう。

映写技師ノーマン「24コマのフィルムの間には闇があり、光によって動いているように見せている」
「映画を見に来る客はこの光に癒しを求めにくる」

ヒラリーは映画館に勤めていながら、一度も映画を観たことがなかった。
そして・・・客席でその光を浴びる瞬間が来る。

※予告編
https://youtu.be/lXH3UErLz7c

しかし、コリン・ファース、よくあんな役、引き受けたなあ。
トビー・ジョーンズは、相変わらず上手い。どんな役でも完璧に自分のものにする。

今作の字幕は売れっ子の松浦美奈さん。
個人的に素晴らしいと思った訳があったので、書いておきます。
ヒラリー「Did I humiliate myself?」
humiliateは「恥をかかせる。屈辱を与える」の意ですが、字幕では・・・「私、自分を貶めた?」
おおぉおおお〜。こういう日本語って、すぐには出てこなくないですか?

主人公のモデルとなった人物は、サム・メンデス監督のお母さんだったとか。
少年だったメンデス監督は母親が精神的に不安定だったことや、社会的な暗い現状から救ってくれたのが映画だったと、最大限の称賛を込めて脚本を手掛けたとも語っています。

評価は難しいっす。映像は綺麗だし、俳優陣は見事。演出もさすがにこなれている。
でも・・・残念ながら脚本がちょっと散漫に思えました。詰め込みすぎちゃった感。
あの年齢差で、あそこまで惹かれ合うっていうのが、最後まで引っかかりました。
メンデス監督は監督だけに集中して、脚本は誰かと共同にでもした方が良かったのでは?
というわけで、やや厳しめで3.8☆
7 8

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年03月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 

最近の日記