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2023年03月01日10:14

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『いつかの君にもわかること』感想

〜窓拭き清掃員として働きながら、4歳の息子を男手ひとつで育てる33歳のジョン。不治の病に冒され余命宣告を受けた彼は、養子縁組の手続きを行い、自分が亡き後に息子が一緒に暮らす“新しい親”を探し始める。理想的な家族を求めて何組もの候補と面会するが、息子の未来を左右する重大な決断を前に、ジョンは進むべき道を見失ってしまう。献身的なソーシャルワーカーとも出会い、息子にとって最良の選択をしようとするジョンだったが……〜<映画.comさんより>

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危険・警告興奮のあまり内容を書きすぎています。未見の方はご注意下さい。

大好きだった『おみおくりの作法』のウベルト・パゾリーニが監督・脚本。
お気に入りの俳優の一人、ジェームズ・ノートン主演。
2020年製作なのに、一体いつ日本で公開されるのか、ずっとずっと待ちわびていました。
(イタリア・ルーマニア・イギリス合作)

病気のことから始まるかと思ったら、まずは里親探しから。
あとで思ったのは、とにかく時間が無いっていう描写が先だったんだなと。
結局、病院シーンは、ごくわずか。

ジョンの仕事は窓ふき。様々な窓から、中の様子をのぞき見します。
お金持ちで、おもちゃに溢れている子供部屋。
高級レストランで、豪華なディナーを楽しむ家族。
自分では息子に与えてあげられないものばかり。

里親候補たちとの面会。確か5組(正確には4組と1人)
裕福で何不自由なさそうな夫婦。もうすでに養子が一人いる夫婦。大家族。
16才で妊娠して実子を養子に出されてしまった若き女性。
「シングルマザーは里親には不利って言われたけど、でも、本当に育てたいの」
自分たちの人生を満たしてくれる子どもを探しているという夫婦。

最後の夫婦のところで思い出したのが、息子の幼稚園を選んでいた時の出来事。
ママ友とあちこちの園を見てまわっていたんですが、ある園では、男性職員が熱心に園の良さを母親2人に説明。
園を出てから、ママ友が言ったこと。
「ここはダメだよね。子どもを全く見なかったし、話しかけもしなかった。実際に入るのは子どもなのに」
100%納得。そして、息子たちは、裸足教育で有名だった別の幼稚園に通わせることに。

ジョンは息子マイケルにもうすぐ自分がいなくなることを話さなければいけない。
でも「死」がどういうものか、あの子の年齢ではまだ理解できないだろう。どう説明すればいい?
ある時、2人はいつもの公園に来るんですが、マイケルが昆虫の死骸を見つけます。
観客は、思わず叫びます。「今よ、今しかない!」
そしてジョンは語り始めます。
「体はここにあるけど(それ以外は)、もう何もないんだよ」
泣きました。

ジョンが目にする大きなスクールバッグを背負った小学男子。
車のサイドミラーに映り、そのまま遠ざかる。
息子の将来を頭に描く。でもその姿は見られない。
泣きました。

窓吹き依頼の常連と思われるおばあさんとの会話(違ってたらごめんなさい)。
ジョン「園に送り迎えに行っても、まわりは母親ばかり。だから誰にも見つかれないように、隠れるようにしてる」
おばあさん「それは愛情よ」
泣きました。

※予告編
https://youtu.be/_PF5W6E_q2A

息子の里親選び。人生で一番重要な決断。
自分の決断次第で、息子の将来が決まる。
ソーシャルワーカーに本音をぶちまけるシーン。
「最初は(この夫婦だと)ピンとくるって思ってたんだ。でも怖い。もし自分の決断が間違っていたら・・・」
猛烈に泣いた。

終盤、マイケルが少しずつ変わっていきます。
ジョンが横になっていると毛布をかけてくれたり、言わなくても横断歩道ではボタンを押してから渡るように。
じわり泣いた。

記憶違いでなかったら、確か、マイケルがジョンに「いつ死ぬの?」って聞くシーンがあるんです。
あれはすごいなと。言わせたのか・・・。でもリアルだった。

ジョンの34才の誕生日。2人はケーキを作ろうとスーパーに材料を買いに行きます。
ベーキングパウダーはどれがいいんだ?
近くにいた妊婦さんに尋ねると、教えてくれます。
妊婦さん「ママが作るの?」
マイケル「パパが作る」
妊婦さん「ラッキーね!」
泣きました。

ソーシャルワーカーから絶対用意した方がいいと勧められていたギフトボックス。
「マイケルがあなたを思い出すために、あなたとの絆のために必要なの」
最初は気乗りしなかったジョン。
それでも、終盤、そこに手紙他を詰めていくシーンには、泣きましたとも。

妙なヒネリは無く、素直で、優しい脚本。
こういう内容には、呆気にとられるようなサプライズは不要。
主人公に寄り添い、父親と子供のそれぞれの変化を見せて、エンディングまでゆっくり歩む。
演出も俳優を信じて、過度には台詞を話させず、表情で語らせる。

唯一、ちょっと「?」だったのが、ジョンの元の奥さんがロシア人で、ジョンの不甲斐なさにロシアに帰ってしまったみたいな設定。
ちょっと、首をひねってしまった。
自分もケアホームで育ったっていうのは、まあいいとして。

エンドロールで、ジェームズのパートナーのイモジェン・プーツの名前を発見。
この2人は本当に仲良しで、私は2人とも大好き。

最後の最後にジョンが下した決断に、ダメ押しの号泣。
そうだよね、うん、わかってたよ。それでいいんだよ。大丈夫だよ。マイケルは絶対幸せになれるよ。
パゾリーニ監督、素晴らしい作品をありがとうございました。ほぼ満点の4.5☆
ケン・ローチ監督作がお好きな方には是非観てもらいたい!!!!!

8 10

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