モラハラじじい

令和の時代、モラルの感覚はだいぶ変わってきた。昭和・平成の価値観ではついていけなくはなってきている。
僕は、とてもモラルある若者時代を過ごしてはいないが、30代くらいのとき、妙な正義感に燃えていたことがある。まあ今考えるとその世代特有の勘違いといったところだが、社会的にもある程度認められる年代になると、自分の信条みたいのが出来上がってくるので、それに沿わない奴に対して、悪認定をしてしまうもの。若気の至り第二期といったところだな。
もう少し歳を重ねると、人にはそれぞれ事情があり、価値観も立場によって異なるところも見えてくる。なので、自分の信条と相容れないからといっても、相手には相手の事情があることを理解できてくるものだ。
あと、実際に自分が経験してみて、「こうあらねばいかん」と思っていたことが、案外難しかったり、そうはうまくいかない事情が実は潜んでいたりすることがわかってくるので、あんまりギチギチになってもいけないなあ、と思えるようになる。
まあ、好き嫌いはあるにせよ、そこに善悪の判断はできないものなのである。
例えば、子育てなどはそれにすごく当てはまる。子供がいなかった時って、他人の親の振る舞いや子供の振る舞いをみて、躾がなってねえな！なんて憤ったものだが、実際に子育てをするとそうはいかないのだな、、というのが実体験として理解できる。
今、歳が下の子育て世代をみると、「あー大変そうだなー」と温かい目で見守ってしまう。
ちなみに子育てに関して言えば、逆もあって、自分はそんな子育ては絶対してこなかったのに、なんだこの親は！と憤りたくなる人もいるんだが。例えば、年端もいかない幼児を放置して、スマホみている親とかな。ああいうのはいまだにダメだなーと思う。

歳をとって丸くなってくるというのは、そういうことなんだなあ、という実感はあるんだが、不思議なことに、逆のタイプもいて、やたら自分ルールや自分のモラルを振りかざして偉そうな奴もいる。
いわゆるモラハラじじい。相手に妙な威圧感を与え、不快な思いをさせる。いるだけでストレッサーになるんだが、本人は「自分は絶対の正義だ」と勘違いしちゃっているからもう始末に負えないのである。
今時よく言われている、「老害」という人なのである。
彼らは抜本的に他人を見下している。自分がリスペクトするような人以外は基本的にダメ人間だという烙印を押したがる。
それに、最もムカつくのが自分ルールの押し付けである。
くだらない話だが、エロ話はしない、という自分ルールを押し付けて、エロ話で盛り上がっているところに水を差す奴がいる。そいつにとって、エロ話は品性の劣った唾棄すべき会話なのだろう。エロ話＝モラルに反する会話内容であると。
そう思っているなら、別に止めはしないが、そんなのは自分の中に留めておけばよい。エロ話が嫌いなら、エロ談義をしている集団に入らなければ良いんだが、あえてその集団の中で、エロ話が嫌いだなんてことを言って場をシラけさせ、ひいてはエロ話している連中に贖罪意識さえ与えようとする。
何が目的なんだ？こいつは？と思わざるを得ない。
もちろん、そのての話にはＴＰＯはあるだろう。ふさわしくない場での会話は避けよう、という注意喚起は仕方ないが、そいつにとってエロ話そのものが低俗な下らないモラルに反した会話、なので、ＴＰＯがクリアされている状況でも自分ルールを押し付けたがる。
しらねーよ！お前のルールなんて！
まあその話で言えば、エロ＝低俗な品性の劣ったくだらないもの、くらいにしか思っていない人って、僕は随分と見識が浅くつまんない人間だなあとしか思わないが。エロていうのは、人間の抜本的な問題を内在しているため、本来は深遠で有意義な内容のはずだ。古今東西の哲学でも数多く取り上げられるテーマでもあり、それでいて日常会話で面白おかしく語れる題材。確かにスポーツ新聞のエロ記事のように低俗に堕する要素もあるため、会話のセンスも問われる。
不特定多数の人間、職業、年齢、性別等を超えて共通の話題でもあり、知らない人同士の話題としてこれほど無難なものもあるまい。
自分は嫌いだ、嫌悪するというだけで、それを話す人たちがモラルに反していると断罪するのは傲慢もいいところで、お前は何様なんだ！と言ってやりたい。
なんというかねえ、、僕はある特定の人を想像して言っているのだが、やたらと正義の信条を語りたがるのも、どこか薄っぺらくて胡散臭いんだよねえ。
女に手を挙げる奴は人間の屑だ！とかいうんだけど、その言葉はそれ自体では別にその通りなんだが、聞かれてもないのにわざわざそんなことを言ったり。
何歳になっても謙虚に学ぶ姿勢は大事ですねーみたいなこともいうんだが、それもその言葉自体はむしろ立派なんだが、とても薄っぺらく響く。誰もそんなこと聞いていないのにやたらそういうことを言いたがるんだもん。
極めつけが、嫁と仲良いからエロ話が嫌い、ということね。何かと嫁と仲が良いをアピールするんだが、それも胡散臭く響く。本当に仲が良いのかもしれんが、わざわざ言う？まあ子供ができなかったみたいなので、２人でよろしくやってきたんだろうが、そんな話ばかりなので周りは結構シラけている。「世界一大好きな嫁さん」とかいきなり言ったりするんだが、何アピール？
まあ差し詰め、私は品行方正に生きていますよ、一点の問題も起こさないすばらしい人間ですよ、をアピールしたいんだろうが、すごーくズレている。
その観点から、他人を見下す態度この上なく、その根拠が「自分が掲げている」モラルにある。
まさに、これぞモラルハラスメントというのを地で行っているわけ。もちろん、そういう人に遠回しで指摘しても絶対に聞き入れない。何故なら常に正しいのは私で、道徳上、倫理上間違っているのはお前、だからだ。
ある意味、悪人気取っている奴よりタチ悪いのである。

またくだらない話なんだが（もはや特定の人の批判になってきているな・・）、そいつは若い頃はバンドなんかをやっていて音楽が好きなようなんだが、ロックだヒップホップだという話はするわけ。今時のJ-POPバンドも結構聴き入っているそうで。まあそういう趣味は別に良いだろう。
で、どうもマカロニえんぴつなるバンドが好きなようで、頻繁に聴いているみたいなんだが、誰かにマカロニえんぴつの批判をされたらしい（僕じゃないよ！）。
そしたら、例のごとく「マカロニえんぴつは素晴らしい」みたいなことをブツブツ言いだした挙句、「あんな低俗な人間にマカロニえんぴつの良さがわかるわけないよねー」とかブツブツ言っている。
いやいや、そういうのって心の中で呟いてくださる？いちいち言わなくてもいいでしょう。
もう、マカロニえんぴつが嫌いだっていっただけで、非国民扱いされそうな勢いである。
マカロニえんぴつが好きでも全然かまわないんだけど、嫌いだって人がいてもかまわないじゃないか。もうこの勢いだと、マカロニえんぴつが嫌いだとモラル違反者にされそうな勢いだ・・
ちなみになんだけど、僕はマカロニえんぴつは、好きでも嫌いでもない、というかどうだっていい。テレビなどで演奏を聴いたことはあるが、特に心の琴線には響かず、僕の中では何の特徴もないよくわからないバンドといったところ。その本音を吐露したら、確実にモラル違反者にされるだろう・・

んで、結局思ったのが、会話がつまんないんですよ。話題が少ないというか浅いというか。
それであれば、自分の世界で閉じていればいいんだが、人々が談笑している輪には入りたがる。まあ輪に入るのも別にかまわないんだが、話題に乏しく会話が下手なら、黙って聞き役に徹するとか、いい歳なんだから、自分の属性くらい把握しろって。
自分が話題の中心になれないやっかみだと思うのだが、それで歪んでしまった思いを、モラルハザードに仮託して他人への非難に転ずるんじゃないって。
だいたい、「嫁と仲良いし」なんて話、その事実は結構なことだが、いきなりそんな話を毎回のようにされても、他人からすりゃ、「だからなんだよ？」でしかないよ。そのくせ、他人が嫁と仲良しだという話をしても、それには無関心だし。
エロ話だってなんだって、自分が思い通りに話題の中心になれるような会話ができないから、そういう話は嫌いだとかなんとかいって、封じているだけのように思える。
まあ僕にとっては、非常にどうだっていい人なんだが、最近妙に癇に障ったもので、ちょっとぶちまけてみた。
そして、モラハラじじいというのはこうやって作られていくんだろうな。