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2023年01月11日12:09

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【拳闘】井上×バトラー

WBA、WBC、IBF世界バンタム級3団体統一王者
井上尚弥(日)29歳
23戦全勝(20KO)無敗
身長165cm
リーチ171cm

WBO世界バンタム級王者
ポール・バトラー(英)34歳
36戦34勝(15KO)2敗
身長168cm
リーチ165cm

バトラーはかつてIBF王座を獲得しているが、2-1の微妙な判定勝利だったし1度も防衛せずに返上している。
その後一旦スーパーフライ級に下げてテテに挑むもKO負け。
2018年には3.3kgもの体重超過で失格の醜態を晒してる。試合は特別ルールで行われたが敗北。
WBOのバンタム級で、対戦相手のカシメロが違反し、棚ぼたで王者となる。
バトラーは弱い選手ではないだろうが、今日の様に複数の団体が乱立していなかったら、世界チャンピオンになっていたかどうかは怪しいところだ。
ヨーロッパは伝統的にディフェンスを重視するので、 堅実で負けないボクシングをするだろう。 34勝2敗の戦績も雄弁に物語っている。粘り強く長期戦に持ち込んで隙を見つけるスタイル。井上でも簡単には倒せない相手だろう。KO率も、この階級なら決して低いと言う訳でもないから、やはり油断は禁物だ。



1R
序盤全く手を出さず、いつもの様に相手の動きを見る井上。
中盤から時折鋭く左ジャブを伸ばし、右ボディがクリーンヒット。右クロスや左右フックを叩き付け、ガード越しにも重い打撃音が響き渡る。バトラーは再三ロープ際まで押し込まれる。
いつもは2Rぐらいまで様子を見る井上だが、バトラーに対しては開始1分程で見切ってしまった様だ。

井上10-9バトラー



2R
序盤に井上の右ボディ。1Rに続きフック気味の軌道で打ち抜いてる。
左フックの相打ちで会場が沸く。バトラーも虎視眈々とカウンターを狙ってる。
バトラーはガードの形を小刻みに変えたり、ディフェンスが気になる様子。
中盤から井上のギヤが上がる。大きなパンチや小気味良い連打を叩きつけ、バトラーの連打をダッキングやウィービングで華麗にかわして歓声が上がる。終了間際の連打でバトラーの動きが一瞬止まる。

井上10-9バトラー



3R
バトラーはガードを固めて持久戦に持ち込み、井上が疲れるかミスするのを待つ作戦である事は明白だが、井上陣営もそれは戦前から想定しいる。対抗策としてはバトラーに合わせてスローペースで戦い、削り合って判定勝ちを狙うのか?或いは圧倒的な攻撃力で正面から押し潰すのか?
3R目の作戦は後者だった。正面突破を宣言する様に、ガードの上から右を何度も叩きつける。
中盤にバトラーが踏み込んで来た瞬間に左のショートフックをカウンターで引っ掛ける。
ガードを下げてプレッシャーかけまくり。
終了直前の打ち合いでバトラーの脚が一瞬止まる。

井上10-9バトラー



4R
腕をブンブン振り回して更に挑発するが、これはバトラーに対してよりもお客さんに対するサービスじゃないかな。
このラウンドは技術面が光る。まず逆ワンツーの多用。普通『ワンツー』連打ってのは『左ジャブ→右ストレート』だが、これを逆に『右ストレート→左ストレート』と打つ。
左の連打もあった。左右のパンチを交互に打つのが普通だが、敢えて左だけで何発も連打する。
華麗なるスウェイバックも披露。スウェイは足を動かさず、上半身のみを退け反らせてパンチを避ける技術。動体視力、反射神経、瞬発力が揃ってないと出来ない動きだし、空間把握能力や絶対的距離感といったセンスも必要。そして何よりも、飛んで来るパンチに対して、後退りしない度胸が無いと出来ない芸当だ。

井上10-9バトラー
井上40-36バトラー



5R
バトラーの消極戦法は更に酷さを増し、開始のゴングと同時に自分から後退する始末。
井上はガッチリとガードを固めて前傾姿勢。獲物を狙ってる猛獣のオーラがメラメラと漂ってる。また作戦を変えた様(と言うか、ボクシングではラウンド毎に作戦を変えるのが普通)だが、上から力任せに打つのではなく、距離を潰して圧力をかけ、1発で仕留めようって殺気が漲ってる。
中盤、バトラーの左フックのカウンターを、連打の最中に顔を仰け反らせてかわす驚異的な動体視力と反射神経。
後半、井上がロープに詰め左フックの5連打。

井上10-9バトラー



6R
開始から身体を横向きにして向かって行ったり、膝を曲げ腰を落として構えたり、顔を前に突き出してピョンピョン後ろに跳ねたりと、挑発的な動きが増える井上。バトラーがニヤリと笑うんだけど、ソレ違うだろ?
笑顔を見せる理由は大体2つ。余裕をアピールするか、純粋に戦いを楽しんでるかだ。だが今のバトラーに余裕なんて1グラムも無いし、必死に逃げ回ってるだけなんだから戦いを楽しんでるシチュエーションではない。そもそも挑発なんだから
『オラオラ、ビビって手も足も出ね〜のかぁ?』って意味合いであり、それに対して
『ふ、なかなかやるじゃね〜か』的な不敵な笑いでは『会話』が噛み合ってない。リング上の井上も観てた俺と同じ心境だったのか、カチンと来た感じで直後に猛ラッシュ。

井上10-9バトラー



7R
今度は井上自らがロープまで下がる挑発。あの手この手だ。攻めあぐねてる間に軽〜い左ジャブを5発ほど放つが、全てがクリーンヒットさせてるのは流石。
カウンターを狙ったバトラーとリング中央で急接近するが、バトラーの脇の下を潜り抜ける様にして踏み込む井上のステップ。人間てこんな動きができるんだなぁと感心する。
ワンツースリーとか、逆ワンツーで最後の左がロングフックやロングアッパーだったり、教科書の様に多彩なパンチ。

井上10-9バトラー



8R
今度は両腕を背中に回し、顔だけ前に突き出す挑発。だけどこれはバトラー踏み込めないよなw 行った瞬間後ろから振り回した拳が飛んで来そうだし。
中盤では、敢えてボディを打たせておいて相打ちを狙う。
右を特に強振。一際大きな音が鳴り響く。これじゃ拳も骨折するだろなってパンチ。

井上10-9バトラー



9R
このラウンドは大きな動き無し。
挑発しても出て来ないし、ネタも尽きたし。攻めあぐねてる感あり
ストレスをぶつける様な右の強打2連発。

井上10-9バトラー



10R
残り3ラウンド。ギヤを更に上げる。
最終12ラウンドってのは両者頑張るから、実質勝負は11Rまでにはどうにかしなきゃならない。こうなると『ただ勝てば良い』では済まない井上の立場ってのが出てくる。会場からも『倒せ』の声援。
井上の圧力が更に高まるが、バトラーも良く耐えている。

井上10-9バトラー


11R
井上のボディブロウや、ガード越しでもあの強打に晒されてきたのだ。バトラーにダメージが無いはずはない。顔にも出さずに頑張ってきたが、限界が来た。決め手は右のボディだった。右ボディから左フックの、対角線のコンビネーションを放つとバトラーはロープまで後退。井上の連打を浴びると崩れ落ちる様にダウンし、立ち上がれずに試合は終了。劇的な11Rノックアウト勝利だ。



試合終了のゴングの後もバトラーは暫く立ち上がれなかったので、相当なダメージだった様だ。これも地味に驚いた。
頭部への打撃で倒れる時は、そもそも気絶して意識が無いとか、脳震盪で身体が言う事を聞かないとか、本人の意志に関係なく倒れる。対してボディは痛くて苦しいが、それだけ。本人がそれに耐えさえすれば立っていられる。要は根性だ。世界タイトルマッチのリングに上がるボクサーは全員漏れなく根性あるから、世界戦においてボディでのKO劇は滅多に無い。おまけに今回の井上のボディショットは右。バトラーからすれば左脇腹に被弾した訳だが、これが反対側の右脇腹だったら解る。右脇腹には急所である肝臓があるので、ここに1発貰うとリング上をのたうち回る程の激痛となるが、右のボディで1発KOってのは珍しい。井上の超人的なパンチ力も当然だが、バトラーの心をも折った1発だったんだろう。

ボクシングの世界は現在、複数の団体に分裂してしまい、それぞれが『世界チャンピオン』を認定している。取り敢えず規模や権威、歴史や伝統などを勘案し、WBA、WBC、IBF、WBOを『主要4団体』と呼ぶが、アジア人として初めて4団体のベルトを統一し、名実共に『世界最強』を証明した。

井上尚弥の凄さを表現する言葉を、残念ながら俺は知らない。
野球で言えば大谷翔平。体操で言えば内村航平。数百年に渡る近代スポーツ史において、歴史の1ページ、いやいや、表紙を飾るレベルの選手だ。世界中から称賛される偉大なスーパースターであり、本来なら日本は国を挙げて井上フィーバーに沸く、それぐらいの選手であり、偉業である。
まぁこれはマイナー競技の宿命だから仕方ないけれど、とにかく、日本ボクシング史上最高の選手である事は間違いない。井上以上のボクシングは過去には存在せず、今後も当分は現れないだろう。彼のボクシングをリアルタイムで観れる、同じ時代に生きてる幸せを噛み締めたい。

リングガールが花魁ってのも粋でしたな\(^o^)/
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