日本政府は新しい国家安全保障戦略に、敵のミサイル基地などを攻撃する「反撃能力」を初めて明記した。
さらに防衛費の大幅な増額を決めた。米国が要求する2%目標を達成するためだ。
しかもその財源の一部は、増税だ。私はこれには驚いた。
日本の公共債務がGDPに占める比率は200%を超えている。G7で最も高い。それなのに日本政府は借金を返すための増税には慎重だった。
もはや借金をする余裕がないので、増税という道を選んだのだろう。
増税の対象は個人ではなく法人になるようだが、法人税の引き上げによって企業の収益性が悪化することは確実だ。
日本経済にとってはマイナスである。
ドイツも2022年2月にロシアのウクライナ侵攻を受けて、防衛費の大幅な増額を決めた。
しかしドイツは「反撃能力」は打ち出していない。ドイツの有事の行動は、全てNATOと協議して決められる。
ドイツも1000億ユーロの特別基金を防衛費のために創設したが、これは完全に国債でカバーされる。
防衛のための「増税」という言葉は一言もない。
ドイツ人の大半は、防衛費増額に賛成している。
岸田首相が、防衛費増額の財源の一部を増税としたこと、これは政治的に失敗である。
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