mixiユーザー(id:6002189)

2022年12月28日04:50

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エネ政策混乱で緑の党の人気ダウン

10月30日に書いた記事です。
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 ドイツでショルツ政権に加わっている環境政党・緑の党の人気が下がっている。アレンスバッハ人口動態研究所によると、緑の党への支持率は今年6月上旬には22%だったが、10月上旬には19%に下落。ショルツ首相が率いる社民党への支持率も、同時期に23%から19%に下がった。逆に極右政党「ドイツのための選択肢」への支持率は同時期に10%から14%に増えている。キリスト教民主・社会同盟への支持率も27%から30.5%に増加した。
 最大の原因は、ハーベック経済気候保護大臣(緑の党)のエネルギー政策が右往左往していることだ。ハーベック氏は今年3月には、「運転中の原子炉3基は、予定通り今年末に廃止する」と発表した。しかし同氏は7ヶ月後にショルツ首相の命令で、この決定を撤回した。彼は10月に「ロシアのウクライナ侵攻のために、冬に電力不足の可能性があるので、3基の原子炉の運転を来年4月15日まで可能にする」と発表した。原子炉の使用に前向きな自由民主党と経済界の圧力に押し切られた形だ。
 ハーベック大臣は9月29日にも、重要なエネルギー政策の変更を発表した。彼は10月1日に導入予定だった、ガス賦課金を撤回したのだ。ハーベック大臣はその2ヶ月前に、「ロシアのガス供給量削減で倒産の危険があるガス会社を救うために、全ての消費者から1キロワット時あたり2.4セントの賦課金を徴収する。これにより、ガス輸入企業は調達費用の増加額の90%を消費者に転嫁できる」と発表していた。
 しかし経済界・学界からは、「消費者のエネルギー費用負担を大幅に増やす政策は時宜にかなっていない」という批判の声が続出した。
 ドイツ連邦統計庁によると、今年9月の消費者物価上昇率は10%に達した。特にエネルギー価格の上昇率は、35.6%を記録。エネルギー需要が増える冬に向けて、多くの国民がガス代や電気代を払えなくなるという不安を抱いている。
 このためショルツ政権は9月29日に、ガス賦課金を引っ込め、財政出動を決めた。政府は2000億ユーロ(28兆円・1ユーロ=140円換算)を投じてガス・電力料金に上限を設定し、経営難に陥ったガス会社を支援する。
 私は32年前からドイツに住んでいるが、エネルギー政策のこれほどの朝令暮改は経験したことがない。ロシアのウクライナ侵攻という異常事態は、欧州全体の政治・経済に深刻な影響を与えているのだ。
(文と絵・熊谷 徹 ミュンヘン在住)
 
 
 






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