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2022年09月30日10:18

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『セイント・フランシス』感想

〜大学を中退し、レストランの給仕として働きながら夏の子守りの短期仕事を必死に探す34歳の独身女性ブリジット。
子守りを任された6歳の少女フランシスやその両親であるレズビアンカップルとの出会いを通し、彼女の冴えない人生に少しずつ変化が訪れる。
主演を務めるケリー・オサリバンが自伝的要素を盛り込んでオリジナル脚本を手がけ、これまでタブーとされることの多かった、生理、避妊、中絶など女性の心身にまつわる本音を、ユーモアを交えながら軽やかに描き出す。オサリバンの私生活のパートナーでもあるアレックス・トンプソンが長編初メガホンをとった〜<映画.comさんより>


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危険・警告かなり内容に触れていますのでご注意下さい!

ずっと観たかった作品。この作品のためだけにプチ遠出しました。
内容を全く知らない時に目にした感想には「女性の体(とりわけ生理)について、ここまで取り上げた作品はこれまで無かった」と。
ほぉおおおお。それがずっと頭に残った状態で観賞。

いやはや、もう血だらけです(笑)
殺人は起こりませんが、生理→妊娠→中絶→後遺症→産後の尿漏れ等々’女性の体あるある’オンパレード!

ブリジッドは34歳で、独身で、レストランの給仕係で、何者にもなれていないかもしれないけど、無理に上を目指してガツガツしてるわけでもなく、届く範囲に手を伸ばし、少しずつの生活向上を目指している感じ。
結婚に関しては、まるで焦りが無く、むしろ、本当に心が動くまでは、独身のままでも構わないという雰囲気。

冒頭は、何かのパーティの最中、ブリジットがある男性の話を聞いているシーン。
男性「君はまだ若いからいいけど〜」
ブリジット「34歳よ」
男性、いきなり去る。

次に現れた男性(ジェイス)にブリジッドが尋ねる「何をやってる人?」
ジェイス「給仕係」
すぐに場面はベッドインシーンへ。

分かりやすすぎて、最高!

で、ブリジッドが夏休み期間だけのナニーの仕事の面接に行くんですが、その理由がよくわからない。
給仕とダブルワーク?とも思ったんだけど、採用されるとすぐにレストランは辞めるし。
給仕よりもお給料がいい?子ども相手の方が楽?
それとも・・・同世代は結婚して子育てしてる女性が多いから、自分もちょっと子育てっていうやつをやってみたかった?
とにもかくにも、ブリジットはレズビアンカップルの子ども、フランシスのナニーとなります。
カップルの1人、マヤは妊娠中で、出産すれば、フランシスの世話が難しくなると思い、ナニーを雇いたかったのです。

ブリジッドとフランシスは、はい、お約束の如く、最初は、まるで上手くいきません。
フランシスはやたらと口が達者だし、ブリジッドは、時に手抜きで仕事をし、そのせいで、フランシスは怪我をしたり、池に落ちたり。。。

ちなみに、フランシスがブリジットに放ったこの言葉は、誰でも言われたら凹むと思う。
「You are not good at anything!」(何の才能もないわよね)

それでも、徐々に打ち解け合うようになって、互いに絆創膏を貼り合うシーンが良き。

そんな最中、ブリジットが妊娠。
迷いつつも、気持ちは決まってました。経口薬で、中絶することに。
ジェイスはずっとブリジットに寄り添い、あれこれ手伝ってくれます。
ジェイスは、本当に良い子で、その優しさに私は、ウルウル涙
こんな優しい人の子どもをおろしちゃっていいの?ブリジットぉおおお。

ちなみに、薬を処方してもらったクリニックの壁には「options」というポスターが。
マヤとアニーは敬虔なカトリック教徒という設定だけど、舞台となっていた地域そのものが、カトリック教徒が多いところだったのかな。

ブリジットは久しぶりに両親に会いに行きます。
母親がSNSで自分の友達と絡んでいることが信じられないブリジット。
自分よりも、自分の友達の近況に詳しかったりします。(←これ、めっちゃ笑った。)
友達の話を持ち出しながらも、やはり自分の娘が気になってしょうがない母親。
ブリジットへのいきなりのこの質問にビックリ。
母親「誕生前に、生まれてくるか否かの選択肢があったら・・・どうしてた?今、生まれてきて良かったと思う?」
ブリジットの答えは・・・。

母親は、子育ては孤独という話もします。
母親「泣き叫ぶあなたの足首をつかんで、逆さにして、壁にぶち当てられたら、どんなに救われるかって思ったこともあったわ」
ブリジット「そんなこと、子どもに話さないでよ〜」
どっちの気持ちもわかるぅう。

中絶の後遺症か、ブリジットは、頻繁に出血していました。
そんな中、フランシスが習っているギター講師に惹かれてしまい、ベッドイン。
この時の2人の避妊に関する会話がmore than リアル(笑)
フランシス「コンドームないの?」
講師「無い。birth contol(避妊)してないの?」
フランシス「いつも抜いてもらってる。コンドームつければいいだけでしょ?」
講師は、無いと言ってたのに、コンドームを着ける。
だが、上手くいかない様子。でも、なんとそれをブリジットのせいにしてきます。
いやあ〜、すごい。こういうところまで描くとは。

ジェイスのスマホの留守電にメッセージを残すブリジット。
「I do have feeling(私にだって、感情はあるわ)」
本音が心から溢れ出す。。。
ここ、もっと深めにやってほしかったな。

※予告編
https://youtu.be/FnxUxiiuC6k

女性たちの戦い

・ブリジットは、同じ大学に通っていた(本人は1年しか通ってない)女性と遭遇。彼女は結婚していて、子どもが一人(その子がフランシスと仲良し)。住んでる家は豪華そのもの。見事な勝ち組。でも、自分は自分!
・マヤのパートナーのアニーは、マヤとフランシスと一緒にタクシーから降りる際に、ナニーに間違えられてしまった話をします。
・マヤは心身ともども疲れ果てていました。レズビアンカップルで、子どもがいて、周囲の目も気になる上に、パートナーのアニ―は仕事が多忙で、そのストレスなのか、自分が浮気してるんじゃないかと疑ってきたりと、最近は関係が上手くいってませんでした。
でも、花火大会でのある出来事をきっかけに、気持ちが軽くなります。
・フランシスは夏休みが終わり、これから小学校。両親のことで、何かとまわりから言われるかもしれません。
そんな不安げなフランシスをブリジットが励まします。

タイトルの意味は、終盤わかります。
生まれた赤ちゃんウォーリーの洗礼式で皆で教会に行った時、フランシスは司祭となり、ブリジットが懺悔するシーンがあります(もちろんお遊びで)
(その直前、ブリジットは赤ワインを口に含み、背後にマリア像があるところに座っているカット有)
あるいは、もしかして、ブリジットの人生にそれまでなかった灯をもたらしてくれたフランシスが「聖人フランシス」ということなのかもしれません。

全体的な雰囲気は『カモン カモン』
あと、オサリヴァンがグレタ・ガーウィグの影響を受けたということもあって(本人の雰囲気もどこか似てる!)『レディ・バード』や『フランシス・ハ』のような味わいもあり。

脚本、荒いところ、あります。展開、スムーズじゃないところ、あります。
でも、そんなことどうでもよくなるほど、魅力ある作品。かなり好き。結構好き。
リアルで、明け透けで、気取ってなくて、気軽に握手して微笑んでくれた感じ。4.5☆
今作も、年間ベストテンに食い込んできそう!
都内では、新宿武蔵野館で、1日1回だけですが、10月6日まで観られます!
8 10

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