怪談集で読んだのだが、謎が多く不思議な怪談だと思ったので。
怪談マニアの飲み会で、参加者の友人だというきれいな女性が来て、最近あっているストーカー被害について話だし、どこかで監視されているようだというので自宅マンションに酔った勢いで皆でなだれこんだ。
きれいなマンションなのに何人かが異様さを感じたらしい。
ストーカー被害について話を続けたが様子がおかしい、元カレのようだと言うのだが本人が美しい顔なのに、白目をむいて話している。酔っているにしても変だ。
そう思ったら「信じていないんだろ!」と、様子が一転してすごい勢いで物を投げつけたり暴れだした。
いた人が「彼氏をあきらめないとあなたが死ぬぞ!」と言ったら、「あきらめりゃいいんだろ!」と叫んで、隣りの部屋から大きなクマのぬいぐるみを持ってきて、思いっきりなげつけた。
そしたら興奮が限界にきて眠ってしまっていた。
いた人で別の人がそのぬいぐるみがおかしいと感じたらしく、ぬいぐるみの腹を切り裂いて中身を見た。
そうしたら油紙で何重にも包んだカエルの干物が出てきた。
それをその場で燃やし、退散した。
その後のことはわからないが、その女性と会うことはなく、怪談仲間の紹介した女性も仕事をかわり音信不通となった。
それで終わりだが、カエルの意味がわからないとあった。
私もわからないが、女の切ない想いがあるような気がした。
そのぬいぐるみは彼氏がプレゼントしたのだろう、彼女にとっては彼氏そのものだった。
カエルの干物は、トカゲの干物などと同じく、黒魔術で呪物として使われると聞いている。
そして日本だと、カエルは「帰る」「返る」に通じるとされる。
彼女は彼氏がもう一度自分の元に帰ってくることを祈り、黒魔術を参考に彼氏がくれたぬいぐるみの中にカエルの干物を入れた。
それでも彼氏は帰ってこない、だんだん心は蝕まれ、いつかストーカー被害を妄想した。
「彼は帰ってきているのよ、近くにいてそれでも罪悪感で近づけず、必死に監視しているのよ」・・・そういう妄想をした。
おそらくぬいぐるみが壊されているのを見て、呪術が破れたと感じた。
その後どうなったのかはわからない。
「「「極」怖い話 甦怪」加藤一著 竹書房」の「干物」という話です。
実話怪談ながら、相当脚色していることを感じましたが、黒魔術を使っても彼氏を取り戻したいという女性がいたことは本当だと思います。
おそらくストーカー被害が警察に訴えられて、実際に元カレなどのところに行ったら「そんなことは不可能です!」という話はあるのではないだろうか?
嫉妬深くて一緒にいられなくなったという話もありますが、女性の心の怖ろしさ、男の不実を感じました。
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