〜古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(イ・ジウン)が〈赤ちゃんポスト〉に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが…〜<公式HPより>
登場人物は、皆、訳あり。
1人の赤ちゃんを中心に据え、各々が、過去、そして、現在(いま)の想いを語り、交差していきます。
本当の家族のような疑似家族。
借金を抱え、妻&娘と離れ離れになっているサンヒョン。
施設で必ず母親は戻ってくると信じ、養子を拒んでいたドンス。
生まれてきた息子ウソンを愛しつつも、犯罪者の子にはできないと赤ちゃんポストを利用する選択をしたソヨン。
養子としてもらわれるには遅い7歳のヘジン。
スジン刑事は優しそうな夫がいて幸せそうだが、おそらく・・・子どもを産みたくても産めない?
「産むなら捨てるな」
後輩刑事の「(捨てるぐらいなら)産まれる前に殺していた方が罪にはならない!?」という台詞にドキッ。
この作品、雨や水にまつわるシーンや台詞があちこちにありましたね。
始まりがまず大雨。
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ソヨン「雨で汚れが洗い流されてきれいになるけど、でも、次の日にはどしゃぶり」
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私、是枝監督は、あの洗車シーンを絶対やりたくて、サンヒョンの職業をクリーニング店にしたんだと思いました。
皆が濡れた後、服はどうする?→車にある程度、着替える服があることにする→ならば、クリーニング店の車なら、常時ありそうだ
みたいな。
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エンディング間近の海。快晴。
高速鉄道車内での会話風景も何気に良き。
トンネルに入り、暗くなると本音が出るが、明るくなると何もなかったふり。
サンヒョン「このまま、皆で〜」
観覧車のシーンも良き。
ソヨン「見えない方が怖い」
ドンス「母のかわりにソヨンを赦す」
(ごめんなさい、この台詞、この場面じゃなかったかも?
)
ウソンが発熱。疑似家族が助けてくれる。
ソヨン「ひとりじゃ何もできなくて」
ドンス「ひとりですべてやらなくてもいいよ」
優しい言葉をもらえると、今度は自分も優しくなれるね。
※予告編
https://youtu.be/jqFD1DjZ3lc
ハイライトは、やはり、ウソンを渡す日の前夜に、ソヨンが1人1人に「生まれてきてくれてありがとう」と言ってゆく&自分も言ってもらうシーン。
ああいうのって、やりそうでやらない。やれそうだけど、やらない。
それでも是枝マジック。あたかも’詩’のように、すんなり映画に溶け込んでいました。
エンディングには、是枝監督からの明確なメッセージ。
「(ウソンの幸せを)皆で考えよう」
いくつかの場面に物足りなさがありました。
もうちょっと説明してもらわないと・・・みたいな。
あと『万引き家族』に比べると、キャラも物語もインパクト弱め。
それでも・・・雨、坂道、海、何気ないエンディング、そして、是枝監督の温かな眼差しは、今作でも健在。
これからも観続けていきます。3.5☆
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