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2022年06月24日12:51

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ラクサンポ253

私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。
川口が大きな独り言を川に向かって、話している。

川口
「ああ。木原さんがボランティアしながら、外へ出られるようになったのは良いけど。続くかな。もし、何かあって、自信を失うと又引きこもってしまうかもしれない。悪いことを考えることはよそう。とにかく、一人、外へ出したんだから、問題はないな。自分同様に発達障害に苦しんでいる人々を支援していると。自分自身を支援しているような気がしてくる。
職業病かな。そろそろ疲れてきたけど、相談者は減らないのは不思議だな。相談者が来なくなったら、一番初めに解雇だろうな。収入のみを考えて、好きなことを仕事にしてはいけないという話を聞いたことがあるけど、実感だな。あれこれ、考えるのに疲れてきたし」

釣り竿を持った高齢者二人の男が通りかかる。
男1
「夕食のおかずになる魚が釣れるといいけど。ここ二回、釣れなかったし。この時間は魚、腹減ってないのかな」

男2
「都合よく、魚も協力してくれないよ。俺はしばらくボーとなにも考えたくないとき、釣りをするんだ。お前、そんなことない」

男1
「最近、よくあるよ。なんとか、生活できるからな。年金もらっているんだから、贅沢言わない。明日は孤独死しているかも、と考えたら、気分が落ち込んじゃうよ。お前が居るから助かってんだ。ありがとうよ」

男2
「何言ってんだよ。俺の方も、話ができるだけで助かってんだ。きついこと言って、ごめんな。ありがたいんだ」

川口
「そうか。俺も居るだけで、助けになっているのかもしれい。今回の木原さんのケースも、少しずつ、本人が替われたんだ。いい勉強になった。ありがとう。さあ、他の相談に対応しよう」
川口は独り言を言って、家路についた。

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