最近、趣味らしい趣味をやっていない。
仕事の忙しさが理由だが、物理的な忙しさというより、精神的な不安である。先行きがわからないなか、やることが結構あり、常に胸の内にまとわりつく感じなのだ。
物理的な忙しさであれば、これまで数々経験してきたので、適当に時間を工面することもできるのだが、精神的不安をかかえてしまうと、何かをやるモチベーションが非常に低下する。何をやっても仕事の不安がよぎるので、やる気がしなくなる。
どうも一昨年くらいからその傾向がでてきて、去年の豊洲案件などは、実際に精神をやられてしまった。時代がかわり、これからもこの状況が続くのか、どこかに出口があるのか、全く不明の状態である。
とまあ、そんな状況なんだけど、最近はボチボチ回復の兆しも見えてきている。
特に趣味というわけではないのだが、今年購入したJCOMチャンネルをちょいちょい観て楽しんでいる。
何度か書いたけど、もともとはスピードチャンネルみたさに購入したのだが、これに通常のセットとして、日本映画専門チャンネルや時代劇チャンネルがついてくる。
時代劇チャンネルは、特に昔の時代劇がよくやっていて、最近、深夜に仕事しながら観ているのが「必殺仕切人」。これは必殺シリーズの亜流ともいえるべき作品で、僕が中学１年のときに観ていたもの。懐かしさもあいまって、つい観てしまう。
必殺シリーズといえば、「必殺仕事人」がメインで、藤田まことが扮する中村主水が人気。当時は、必殺シリーズは半期ごとに藤田まこと主演の仕事人と他のキャストで固める亜流の必殺ドラマが交互でやっていた。
視聴率が取れなかったのかわからないが、仕事人が�垢泙蚤海い晋紂�亜流の必殺はその後にやった「橋掛人」を最後にやらなくなり、「必殺仕事人�后膳稙�編」などと「必殺仕事人�后繊�○編」というタイトルで、藤田まことを主演とした仕事人シリーズを通年でやることになる。
次第にそれも視聴率が低迷していき、○○編は３作ほどやって必殺シリーズ自体が打ち切りになった。
やはり中村主水が出てこない必殺は面白くないということか。僕も主水さんがいないと観る気がしなかった。
ただ、今観ている仕切人は、ちょうど僕が時代劇に目覚めた時期で、おじいちゃんが観ていた「必殺仕事人�検廚魄貊錣砲澆討垢辰�りはまってしまい、その後に半期入れ替えで開始した番組のため、流れで観ていたもの。
主水さんが出てこない不満はあったものの、仕事人�犬暴个討い真裕ぅ�ャラの三味線屋の勇次（中条きよし）が継続で出ていたし、仕切人の元締であった京マチ子に熟年の色っぽさを覚え、小野寺昭の正義顔で殺しをやるクールさも好きだった。年を取り改めて観てみると、どの役者も妙な色っぽさがあり、内容はショボいし、ストーリーもアホみたいだけど、面白いと思う。
ちなみに、必殺はテレビが終わった後も、映画が何本か取られるのだが、その最後の作品で中村主水が死んで終わったのだが、三味線屋の勇次はよほど人気があったのか、そのタイトルも「三味線屋の勇次」で中条きよしを主演として映画化された。
日本映画チャンネルは、新旧の日本映画やドラマをやっていて、これはこれで観てしまう。
新しいところでいうと、長澤まさみ主演の「コンフィデンスマン」というのが面白かった。ハチャメチャな詐欺師集団のドラマなんだが、そのハチャメチャっぷりにも、それなりに物語の辻褄があうストーリー仕立てだったりする。何より長澤まさみがいい女っぷりで魅入ってしまう。
僕は、女としての完成度No.1女優は長澤まさみだと思っているのだが、確かに美人だが、なんというか、自分にも手が届きそうなレベルの美人っぷりが良い。同じようなことを綾瀬はるかにも思う。
旧いところでは、「古畑任三郎」や「ＧＴＯ」（反町隆史）などがやっている。今観てもショボいなーという思いは払拭できないが、これでも昭和のドラマよりはマシになっているのだろう。
あとは、ヤクザ映画。菅原文太やら松方弘樹やらが出ているやつで、思い切りＢ級の映画だ。それに並行するようにＶシネマも放映しており、どれをとってもショボいんだが魅入ってしまう。Ｖシネマなんか、一歩間違えば学芸会か、とさえ思うが、ある意味そのほうがリアリティがあって良い。
その他、怪獣映画などもやっている。おなじみ円谷プロの製作作品とか、ゴジラ、ガメラなどの東宝・東映映画で、ゴジラみたいな誰もが知っているメジャーな映画のほかに、円谷プロが製作する亜流の怪獣映画なども数々作られており、昭和中期は映画が栄えた時代なんだなあと思わせる。
この年になり無数の作品に触れてくると目が肥えてしまい、ショボさチャチさが目についてしまうのだが、これを作った当時のスタッフのエネルギーは、観ていて胸が熱くなるものがある。
当時は、テレビなどもさほど普及していない時代で、いわんや家庭用ビデオなど一部の金持ちのものである。ＤＶＤなどは影も形もないし、当然ネット配信などもない。
そうすると、やはり映画館に映画を観に行くのが一番の娯楽だったのだろう。
プログラムピクチャーといい、当時は映画でも決まった季節に上映されるシリーズものがあった。有名どころでは「男はつらいよ」とか「トラック野郎」、また「ゴジラ」シリーズなどである。あまりに量産されて内容に関しては低下していく嫌いはあったものの、それでもそういうものを楽しみに観ていた時代が却って羨ましくも思う。
今の時代、そのてのツールはインターネットに取って代わった。Youtubeなどの動画配信は素人でも投稿できるし、動画を撮るツールもお手軽に手に入る。動画編集だって、そこいらの素人が、プロ級のレベルで可能である。音楽なども、そのてのツールを使用すれば、人が集まらなくても、バンドでやるような楽曲ができてしまい、そうやって作った作品を、これまたツールを使ってインターネットにアップロードし、無償で世界中に配信が可能だ（配信ができることと再生されることは別問題だが・・）。
その結果、市井に埋もれていた人々のなかに、びっくりするくらいの才能の持ち主がいたことが明らかとなり、そういう人がマスメディアにデビューしてきている。
それはそれで、新たな才能が埋もれずに世の中に出てきやすいということでは良い時代なのだろう。
ただ、そんな時代だからこそ、昔の、職業映画人などが量産していた手作りの作品などにノスタルジックに魅入ってしまうのは、自分がもう時代についていけなくなったからなのだろうか。
まあもともと僕は、時代の最先端には疎い資質だし、過去のノスタルジーに浸りたいタイプではあるんだが、それにしたって置いてけぼり感は結構している。
僕らが子供の頃の昭和後期くらいにはすでに、時代の流れが物凄く加速していると言われていたが、最近はその頃のさらに８倍速くらいの勢いで時代が流れているような気がする。
その結果、個人の才能は洗練され、最近でてくる作品は、素人の作ったものであっても驚くほどセンスが良かったりする。こんな時代のなかで、頭１つ抜け出していくのはさぞ大変だろうなあと思う。
しがないサラリーマンをやっていたって、その世界でのスピードは速く、そんななかで洗練された若手の能力にはもはやついていけなくなっているのに、芸術・芸能の世界は、もっとすさまじいだろう。
そういう時代だからこそなのか、旧いものに牧歌的な安らぎを求めてしまう。
映画もそうだが、音楽なんかは、薄暗いライブハウスで泥臭く演奏していた頃のほうが好きだ。
こんな時代だからこそ、昔のスタイルで再び勝負してみようかなあ、などとつい思ってしまう。
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