直接会談を妨げているのは、国境線を1ミリたりとも譲らないと主張しているゼレンスキーとその後ろ盾のバイデンなので、仏独が本当に説得すべきはゼレンスキーとバイデン。
ロシアはもうほとんど戦争目的を完遂しつつあるので、ゼレンスキー次第でいつでも停戦する。
ロシアの目的は元からロシア系住民が8割近いドネツク州とルガンスク州を独立させて、ウクライナのネオナチに攻撃されていたロシア系住民の安全を確保すること。
そのためには同地域の過激な自民族至上主義者のネオナチ(代表的なのはアゾフ連隊)を掃討する必要があったが、これはマリウポリ制圧で概ね達成している。
マリウポリでハーケンクロイツのタトゥが入ったネオナチ隊員を多数捕虜にしたことは、外交戦や情報戦の上で大きなメリットになる。
ウクライナ側が使える港湾都市があると、海外から兵器や傭兵が入ってくるし、ウクライナが穀物を輸出して資金を稼ぐので、それを塞ぐためにヘルソン州、ザボリージャ州も制圧する必要があるが、それも達成しつつある。
プーチンはウクライナ全土の占領や、Kievを再包囲してゼレンスキー政権壊滅は目指さない。それをやると多大な戦費がかかり、ウクライナ人からは恨まれるのでメリットが薄い。戦争目的から考えるとやる必要がない過剰破壊になる。
ゼレンスキーが正義の英雄でいられるのはアメリカが後ろからゴリ押ししているからで、アメリカとそのお友達(英日加豪独北欧)の後押しが無ければゼレンスキー政権の存続は怪しい。そもそも開戦前の支持率は20%台だった。
アメリカはこの一週でウクライナをゴリ押しするのは諦めた感触があり、負けてるウクライナにジャブジャブ突っ込むのを止めたらNY株式市場が回復してきた。
アメリカ議会は5月中旬にウクライナへの追加支援400億ドル(約5兆円)の審議を通過させたが、たぶんこの予算はもうウクライナに直接は使わず、アメリカ国内の軍需関連へのバラ撒きに使ったと思える。
400億ドルを負け戦のウクライナではなく国内のインフレ対策に投入するなら、アメリカ経済は少し持ち直すのではないかと思える。
地続きの欧州としては、アメリカがロシアへの嫌がらせ目的で始めたウクライナ戦争はさっさと終わって欲しい。ウクライナ難民に居座られると迷惑だし、ロシアとの貿易を止めるとインフレが非常に厳しくなる。
建前としてはプーチンを仏独が諫める形式になるが、実際にはこの戦争を煽っていたアメリカが諦めたから、ゼレンスキーに現実的な停戦ラインを示して原理的な徹底抗戦論を止めさせる。
日本は単なるATMなので、この交渉にはタッチできない。バイデンの言いなりにロシア=悪、ウクライナ=善の二元論として、アメリカの言いなりに金を出しただけの日本は、国際政治で大幅に地位低下しただろう。
アメリカの言いなりにNATO加盟申請したフィンランドとスウェーデンも同様で、せっかく今まで築いてきた中立国としての信用をドブに棄てたことになる。無駄にロシアと対立してフィンランドはロシアからのガス供給が止まった。それもロシアの敵対行為ではなく、フィンランドが代金不払いだったから。
フランスは先の大統領選で、元はグローバリズム路線のマクロンだったが当選するためにかなり国内重視路線に妥協して公約したので、アメリカやEUやNATOのグローバリズム拡張路線は捨てて、内需や福祉の立て直しを図らないといけない。
それにはインフレではダメなので、無駄にロシアと争って物価上昇させるアメリカやEUの路線とは同調できない。
フランス世論はアメリカやグローバル財閥による干渉を嫌っていて、反EU・反NATOの気運がかなりある。それ故の右派躍進で、ルペンが大統領になっていたら高い確率でNATO脱退論が出ていた。
日本人は寄らば大樹の陰でEUやNATOが正しいと大前提で思い込んでいるが、欧州ではそう思わない国もある。
ドイツはショルツ連立政権になったことにより、与党に反中反露を党是とする極左の緑の党が入っており、外相は緑の党の党首のベアボックなので、ドイツの総意としてどうなのかはともかく、ショルツ政権としては強硬な反露路線にしないといけない。
ドイツがノルドストリーム2(北海を通るロシアとのガスパイプライン)を止めると、ドイツだけではなく欧州北部全体がインフレになる。
ドイツはウクライナ戦争が始まる前から既にガスが17%値上がりしており、それはベアボックの対露強硬路線によるもの。
それだけロシアと敵対的なドイツが停戦に向けて交渉するようになったのは、大きな転換点になる。
日本はこの戦争で多くを失い、政権が岸田のうちは取り返しがつかない。そういう大失策をやったにも関わらず、参院選は岸田自民が圧勝する。投票日まであと一カ月半ぐらいしかない状態で他党が盛り返すのは時間的に不可能だから。
普段が平和主義主張で、軍国主義は徹底的に阻止することを党是としている左翼政党は、この戦争に対してまったくと言って良いほど反対意見を出さず、防衛費倍増方針を素通しにして自党のアイデンティティを捨てたので、国政選挙では主張すべきポリシーが無い。
コロナもなし崩しにただの風邪にして終わらせ、野党もそれに同調したので、岸田政権のコロナ対策不備を糾弾することは出来ない。
近年の大問題であるコロナ対策・コロナ不況対策を論点に出来ず、ウクライナ戦争で平和主義を捨てたので、左翼政党は路線を根本的に変えないと国政選挙では戦えない。
党是を捨てたので、いまやれることとしてはチマチマと個人狙いのスキャンダル攻撃ぐらい。それでは大勢は変えられない。
■仏独首脳、プーチン大統領と電話会談「ゼレンスキー氏と直接対話を」
(朝日新聞デジタル - 05月29日 01:33)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6974645
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