男らしさ・女らしさを決めつける表現は良くない、というのが近年の動向である。それは私にとって良い傾向で、 私は男女に限らず ヴォーカルは少年のような声質のものが好きだ。ショッキング・ブルー、アモン・デュール�兇覆評�年っぽい女性ヴォーカルは数多い。しかし中には、まるで本当の少年だと間違えてしまうほどのヴォーカルもある。写真で見ると、皆さん愛らしいボーイッシュでいらっしゃるのだ。
曲 バンド アルバム
� �Sailing too long / Tower [ Tales from a book of yestermorrow 1994 Italy ]
イタリア90年代の3人組、タワー。私はずっと何年も男性ヴォーカルだと信じていた。何しろ伸びやかな声だけでなく、内ジャケットのショートヘアの写真を見ても美青年そのもの。メロディアスで美声の英語で歌う。イタリア・シンフォの最高峰として、人にも勧めていたものだ。しかしあるとき写真をじっと見ていて、名前がパオラ・メイだと気がついた。男性ならイタリアではパオロのはずではないか。そう思って改めて聞くと、女性ヴォーカルにも聞こえるのだった。
�◆�Different faces / Tunefish [ Guitar poetry 1988 Germany ]
ドイツのチューンフィッシュは、エニワンズ・ドーターが解散した後、ドラマーとキーボード奏者が作ったバンド。エニワンズ・ドーターの後継バンドと言われるので、当然男性ヴォーカルだと思っていた。しかし女性としてもかなり声が低い。ヴォーカルはエルケ・ディエペンベック。声を聞くだけだと男性だと思ってしまいがちではないだろうか。少年声なのが魅力のバンド。キーボードやドラムスの演奏には、さすがの整合感と疾走感がある。
�� Dear boy / The Mirror [ Daybreak 1976 Holland ]
オランダ70年代のミラー。こちらも実は何年も男性ヴォーカルだと思い込んでいた。マイミク様からイエス・タイプのバンドとして紹介いただいたので、何の疑問もなく男声だと思っていたのだ。木管楽器奏者を含む５人組で、女性ヴォーカルはパウラ・メンネン。幼い少年のような声でゆったりと歌い、可愛らしいことこの上ない。ちょっと低音のところもあるので、男性だと思っても不思議はない。フルートの調べもたおやかだ。この曲は短いものの、変転の多い長い曲もある。
�ぁ�Beyond / Fragile [ Beyond 2021 UK ]
イギリスのフラジャイルは、バンド名から見てもジャケットの絵から見ても、 イエス擬態バンドだということが明白だ。最初に聞いたとき、「良いヴォーカリストを見つけてきたものだけど、ジョン・アンダーソンにしてはちょっと甘い声だな」と思った。しかし内ジャケットを見てびっくり。ヴォーカルのクレア・ハミルというのは、イエス周辺に出没していた女性ミュージシャンだったのだ。実は20年間もイエスのトリビュート・バンドをやっていて、2020年にファースト・アルバムを出したのだという。年季が入っているだけに、構成・演奏力もコーラスもみごとなイエス・タイプの進化形だ。
�ァ�Nobelova cena za lasku / Collegium Musicum [ On a ona 1979 Czeck ]
チェコ70年代のコレギウム・ムジカム。この声は、一度聞いたら忘れられない。 少年も少年。幼児に近い6歳ぐらいの少年の声ではないか。このヴォーカルは コレギウム・ムジカムにゲスト参加したマリカ・ゴムビトヴァ。チェコでは、かなり知られた歌手なのだという。かなり高めの男声に続いて、遥かに超越した高音の幼児声。曲のメロディーも良いが、私は何回聞いてもこの声質が脳髄の奥まで刺激してくる。
�Α�Crossing into the unknown / Purposeful Porpoise [ The water games 2015 USA ]
アメリカの現代バンド、パーパスフル・ポーパスのヴォーカルは、さすがに男性と間違えるようなことはなかったと思うが、最初聞いたときは間違えたかもしれない。素晴らしい歌唱力で高音の伸びが滑らか。5人組で、ヴァイオリンとヴォーカルが、ジニー・リューク。ジャケットを含め、大物の風格を感じさせる米国現代シンフォの最高峰。引きまくりヴァイオリンは超絶技巧で、21分に及ぶ変転する長い曲を飽きさせずに一気に聴かせる。ちなみにバンド名の意味は、「目的あるネズミイルカ」。
�А�Greenwood the great / Mostly Autumn [ Music inspired by the Load of the rings 2001 uk ]
モストリー・オータムは、90年代からのイギリス・シンフォ。ヴォーカルのへザー・フィンドレイは 21世紀イギリス・シンフォを代表する女性ヴォーカリストである。しかし私はこのバンドを初めて聴いたとき、「こんな男性ヴォーカルをずっと求めていたんだ！」と感激の拳を握りしめた。すぐに間違いだと気がついたのだが、今聴き直してみるとやはり少年声だと思う。他の少年声と比較しても、透き通っていて響きが純粋だ。アコースティック部分を含めて演奏も完璧。
�─�Forever is a longtime / Amenophis [ You and I 1988 Germany ]
ドイツ80年代の5人組アメノフィス。これまた特徴的な声だ。ヴォーカルのエルケ・モエ−ルは、かすれ気味のハイトーン。シャウトするところで少し声が引っかかるのがなんとも魅力的。うねうねと地を這って、やがて天に届くかのようなキーボードが空間を占拠している。
�� City garden / Edge [ Sarcastic fingeheads 1991 UK ]
イギリス90年代ののエッジは、フルート奏者を含む6人組。フランセㇲ・パーラスは、ジャズ・ヴォーカルっぽい呟くような女性ヴォーカルだ。ところどころ、 力を込めて歌う。声を押し潰してまで力を入れるのだが、そこがある意味刺激的。 潰したって高音部はよく突き抜ける。炸裂するギターも扇情的だが、間奏でフルートがかなりハードに吹きまくる。全体として非常にハードであるために、珍しいタイプのフィーメール・シンフォではないだろうか。
�� I will find out / Univerve [ Timeless space 2007 Germany ]
ドイツのユニヴァーブは、暗鬱なイントロに続いて出てくる女性ヴォーカルが、 多少電気的に変調されたかのように歪んでいる。5人組で、ヴォーカルは可憐な容姿のノラ・サドホフ。少年っぽい響きの声のトーンはかなり高い。バックにメロトロンのような音が空間に広がり、キーボードは変幻自在に飛び回る。ギターもベースもかなりハードで、メタルに近づきそうでいながらその一歩手前で踏みとどまっている。
[次点] The game is over / Werwolf [ Creation 1984 Germany ]
ドイツ80年代ののワーウルフ。初めて聴いたとき、「はて、この声は男性だろうか女性だろうか」と思った。少年声願望があるからだろう。内ジャケットを見ると、４人の男性が大股開きで写っている真ん中に１人だけ膝頭を合わせて座っているショートヘアの人がいて、女性だと判明。改めて聞いてみるとどう聞いても女性の声なのだが、どことなく少年っぽい響きがあるのは、やはりボーイッシュな人だからだろう。雷音のSEなど使用しているものの、キーボードの音が薄く聞こえるのが残念。
〇その他候補にしたバンド
All About Eve, Crystal Phoenix, Frequency Drift, Stranger On A Train,
参考：プログレ／少年みたいな女性ヴォーカルの曲１０選（2012年6月3日）
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1849798418&owner_id=9666295
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