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2022年03月27日09:59

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『林檎とポラロイド』感想

〜ギリシャの新鋭クリストス・ニクが長編初メガホンをとり、記憶喪失を引き起こす奇病が蔓延する世界を舞台に描いたドラマ。ある日突然記憶を失った男は、治療のための回復プログラム「新しい自分」に参加する。彼は毎日送られてくるカセットテープに吹き込まれた内容をもとに、自転車に乗る、仮装パーティで友だちをつくる、ホラー映画を観るなど様々なミッションをこなしていく。そんな中、男は同じく回復プログラムに参加する女と出会い、親しくなっていく。男が新しい日常に慣れてきた頃、彼はそれまで忘れていた、以前住んでいた番地をふと口にする。新しい思い出を作るためのミッションによって、男の過去が徐々にひも解かれていくが……<映画.comさんより>

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危険・警告ネタバレもどきあります。ご注意を!

90分という短い作品なのに、2回観賞。
というのも、1回目、どうやら肝心なところを、しっかりチェックせずに、サラッと見てしまい、終わってから、繋がらなくなって、焦った、焦った。
2回目は、観るべきポイントがわかっていたので、はい、しっかり観て、ようやく納得。

予告の最初にいきなりケイト・ブランシェットの絶賛コメントが出るんですよ。
で、調べたら、ヴェネチア国際映画祭で審査員長をしていたケイトが今作を猛烈に気に入って、そこから、エグゼクティブ・プロデューサーとして名前を連ねたという。。。
そんな事もできるんですね。後から参加みたいな。へぇえええ〜〜〜って思いました。

感想です。
ギリシャ人監督なのと、言葉にまるで馴染みがなかったので、おそらく舞台はギリシャだったと思うんですが、時代も場所も特定されていない感じ。
ポラロイドカメラに、カセットテープ(レコーダー)、使用音楽も懐メロ如きの曲で、レトロ感満載。

スクリーンは冒頭からほぼ正方形のアスペクト。はい、ポラロイド写真の如く。
そこに、ゴンゴンゴンという不気味な物音でスタート。

突然記憶喪失に陥る奇病が蔓延する世界って紹介されてるんだけど、私が受けた印象では、そこまで蔓延していなかったよなと。
で、主人公の男は’記憶喪失になった’という設定だとは思うんですが、私はむしろ、男はとある記憶を失いたかったために’記憶を失ったフリをした’んだなと思いました。
(医者に「どこか痛い?」と聞かれて、同じ病室の患者から聞いた痛みの箇所をそのまま答えるところとか)
記憶を失ったフリをして、患者として扱われ、それまでの記憶の回復は目指さずに「新しい自分」になってゆくために。。。

入院に際して、いくつかのテストが行われるんですが、男は、しっかり記憶喪失者として振舞っていました。
(私は彼が全くの正常で’演技してる’っていう目で見ていたので、余計可笑しかったのかと)
記憶力テストの中で、答えはサイコロ(サイコロ)なのに、サッカーボールサッカーって、言ってしまうところとか、逆に知性を感じてしまいました。
記憶喪失者どころか、すごい想像力があるし、アーティストっぽいぞとか。

で、治療プログラムのミッションをこなしていくんですが、次から次へと、くすくす笑える場面が続いて、快調に飛ばしていきます。

ある時、ホラー映画を観ていたんですが、同じプログラムに取り組んでいる女性と知り合いになります。
この女性との関係から、徹底的に記憶喪失もどきを装っていた男に変化が出てきます。

この男の正体が明かされてゆくポイントシーン
・今の番地ではなく、以前の番地を口のする
・以前の住処で男になついていた犬への態度
・果物屋の「林檎は記憶力低下を防ぐ効果があるんだよ」の台詞
・デート中、流れてきた曲を完璧に歌えた

女性に対して恋心が沸くものの、彼女は’ミッションの一環’として、男とあれこれ行動を共にしているはず。
もう、会わない方がいいのでは・・・?

終盤に告げられたミッションが「余命わずかの患者を見つけ、看取る」というもの。
いやあ、この展開は、ビックリしました。

※予告編
https://youtu.be/8U7tshReYaY

エンディング、良かったです。林檎で始まり、林檎で終わる、みたいな。
男は、林檎の皮(記憶の象徴)をなるべく途切れないように剥いていたいたような。
とぼけた可笑しさ、でも、徐々に沁みてくる切なさ。なんとも言えない味わいでした。4つ☆
まだ上映中です。どこか気になりましたら、どうぞご鑑賞下さいませりんご

追加情報:クリストス・ニク監督の次回作は、ケイト・ブランシェットプロデュース、キャリー・マリガン主演でハリウッドデビュー企画だそうです。いやはや。
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