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2022年03月14日18:37

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スサノヲに背中を押されて

今までにやったコトのない物事に挑戦するのは、勇気が要ります。
それは趣味においても同じで、今回私は、作っていたプラモデルにその背中を押されました。

 私の趣味のひとつであるプラモデルは、どの様に作るかは個々のモデラーに委ねられています。
 基本的には、パーツが付いているランナーからパーツを切り出し、それを組み合わせて出来上がった各ブロックを組み合わせて完成となります。
 この様に組み立てるのを素組と言い、最近一部では刺身(*1)とも表現されてもいます。
 それだけではなく、ホイルシールを貼る部分やシールだけでは補えない部分を塗って済ませる、キャラクターモデルで見られる部分塗装。
 モティーフとなった乗り物本来のカラーリングやキャラクターの設定とは異なる色に塗って仕上げる。
 プラモデルと別売されていたり、一緒に入っていたりする、金属製のエッチングやレジン樹脂製のパーツを組み込んで仕上げる。
 キャラクターモデルに良く見られますが、2体以上のプラモデルで全く別のものを作り上げるミキシングビルド。

 この様に、プラモデルの作り方は様々で、自分のやる気や技術、プラモデルへの思い入れなどで、どの様な作り方をするかは変わってくるコトでしょう。
 プラモデルのひとつであるガンプラを題材としたアニメ「ガンダムビルドファイターズ」劇中、ガンプラは自由と何度も発信されていましたが、プラモデルそのものもまた、自由だといえましょう。

 さて、プラモデルには台紙を水に浸してから台紙からプラモデルの表面にずらすという、一般的なシールとは異なる方法でプラモデルに貼りつける、水転写デカールーーデカールが入っているコトがあります。

「デカールを貼る方法が面倒臭い」
「同じマーキングを施すにしても、テトロンシールの方がずっと楽なのに」
「上手く貼れなかったら一巻の終わりだ」

 その様な不安や恐れ、扱いの面倒臭さといった理由から、プラモデルはキャラクターモデル専門ながらもいろいろと作ってきましたが、一度もデカールを貼ったコトがありませんでした。
 ですが最近、ついにデカール貼りへの挑戦を決意するコトとなりました。
 それは今年1月に発売されたばかりのコトブキヤの美少女プラモデルシリーズ、メガミデバイス、皇巫(オウブ)スサノヲ(以下スサノヲ)を作っていた時のコトでした。

 メガミデバイスの中でも多くのバリエーションが発売された(2:)、単なる謳い文句とはならない言葉どおりの大人気メガミデバイス、朱羅(アスラ)と同じイラストレーターNidy-2D-さんによる、久々の完全新作(*3)となるスサノヲ。
 久々に自分の好みのメガミデバイスだったコトからすぐに予約して、届いてからは一部のパーツを好みの色で塗りながら、ちまちまと仕上げていました。
 そんな中で、絶対にデカールに頼らなければならないパーツに出くわしました。
 スサノヲは背中に、グラビティコントローラーと呼ばれる雷神が背負う太鼓の様なパーツを装備しています。
 そこに取り付けられる紫色の勾玉型のパーツは、そのままでは完成見本やパッケージイラストの三つ巴も、中心の黒い円の部分も再現されていません。
フォトフォト

 近年のキャラクターキットは、プラスティックそのものの色ーー成型色そのままでも元のキャラクターのカラーリングを再現しているものが多く、メガミデバイスも例外ではありません。
 過去に朱羅を作った時は、特にデカールを貼らなくても満足のいくものだったため、それを貼らずに完成としていました。
 ところが、スサノヲの勾玉型パーツはそうではなく、このまま完成とすれば、画竜点睛を欠くのは明らかでした。
 私は他のパーツを組み立てつつ、プラモデル総合情報サイトnippperでデカールに関する記事を読んでいました。
 この時私の中で、デカールを貼ろうという思いが湧き上がっていたコトは言うまでもありません。
 その後、デカールを貼るための様々な道具を買い揃え、一度は作り終えたプラモデルを練習台にして、ついにスサノヲにデカールを貼るコトとなりました。

 デカールを貼り終えると、私の中には多くの思いが生じていました。
フォト

「自分にデカールを貼るなんて、雲の上の人間がやる様なコトが出来たのか!」
「今までビビってたデカール貼り、大変だったけど思っていたよりも簡単だったな」
「こんな完成品アクションフィギュアみたいなマーキング、自分で作ったとは思えないほどだ!」
 驚きや満足感に自画自賛といった様々な思いと共に眺めるスサノヲは、自分が今まで見たコトのない景色を見せてくれたのでした。

 私がスサノヲにデカールを貼ろうと思ったのは、先に述べたカラーリング再現もそうでしたが、この他にもそれに踏み切らせる要素がありました。

 ひとつは、デカールを貼る面がほぼ平面であるコト。
 勾玉型パーツや背中のグラビティコントローラー、肩のプレートと、スサノヲのデカールを貼る箇所は、複雑な面ではなく貼りやすいものでした。
 例外は左脚と腰ですが、一部はデカールを面に合わせて貼らねばならなかったものの、そこまでの苦労にはならず、腰のワンポイントもなだらかな曲面で、貼るだけなら楽でした。
 ただ腰の部分に貼ったデカールは一度剥がれてしまったのですが、もちろん後で貼り直しています。

 もうひとつは、デカールに予備があったコト。
 デカールの台紙そのものは一枚のみ入っていましたが、図版は最低でも2つは用意されていて、コレならば失敗しても大丈夫だ、という安心感がありました。
フォト
 写真を見ると解る様に、デカールを2つとも切り抜いたーー使った跡があります。
 貼った後に剥がれてしまったり、貼る途中でバラバラになってしまったりして、失敗したコトの証拠です。

 最後は、デカールを貼る箇所が少なく、そこに貼るのが効果的だったコト。
 一部のキャラクターモデルには、デカールを貼る箇所が非常に多いものもあります。
 それに対してスサノヲは、貼る箇所は比較的少なかったものの、最低限勾玉型パーツにだけ貼っても、充分な効果が得られました。
 他の箇所についても、そこにデカールを貼るコトでより見栄えが増す効果が得られました。

 私は勾玉型パーツへのデカール貼りに成功したコトで調子に乗ったのもあり、顔を除いて全てのデカールを貼りましたが、元々はその箇所だけのつもりでした。
 ですが全てのデカールを貼った後で見ると、貼ったコトで成型色だけでは補えないカラーリングやマーキングが加えられたコトで、プラモデルが引き締められたと感じられました。
 私はみそ汁に七味唐辛子を掛けるのが好きなのですが、それの様に料理にスパイスを掛けたり付けたりするコトで、元の料理とは違った味わいが生まれます。
 デカールについても食べ物に掛ける香辛料と同じ効果が生まれた、私以外にも同じ感想を抱く人は居るため、コレはひとつの事実であるといえましょう。

 成型色だけでは足りないカラーリング。
 デカールを貼る箇所の多くが、貼りやすい面だったコト。
 予備があって安心感が得られたコト。
 貼る箇所は少なくとも、それによって大きな効果が得られるコト。

 この要素が、デカール貼りへと私の背中を押してくれたのです。

 コレらの要素は、特にスサノヲに携わった人々ーーNidy-2D-さんやコトブキヤの開発スタッフが、意識して与えたものではないのかも知れません。
 それでも私には、スサノヲはデカールを貼るコトを決意させるために御膳立てがされていたし、デカール貼りへと背中を押してくれた、そんな風に感じられます。

 ただ、まだまだデカール貼りは完璧ではありません。
 スサノヲはビギナーズラックで何とかなったものの、今改めてデカールを貼っているプラモデルについては、失敗もしています。
 それでも、プラモデルにデカールを貼るコトで生じた、今までとは違う満足感。
 他のプラモデルもデカールを貼って仕上げてみたいという、好奇心。
 ではどの様なデカールが合うのか、と考える時間。

 その様な楽しみをスサノヲは私に与えてくれた、背中を押したプラモデルだと断言します。
 
*1:プラモデル総合情報サイト、nippperの主宰のひとりが使い始めた用語、いわばスラング。素材のままプラモデルを楽しむ、という意味合いがある。
*2:もっと言えば、ディフォルメアクションフィギュアや、私の趣味には当てはまらなかったが完成品フィギュアや抱き枕カバーすらも作られた。
*3:ゲーム「アリス・ギア・アイギス」などとのコラボレーション商品を除くと、最後に発売されたバリエーション以外の商品は、BULLET KNIGHTSランチャーとランサー。
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