『オペレーション・ミンスミート　ナチを欺いた死体』感想

〜1943年、打倒ナチスに燃えるイギリス軍はドイツ軍の防備に固められたイタリア・シチリア島を攻略する計画を立てていた。そこで英国諜報部のモンタギュー少佐（コリン・ファース）、チャムリー大尉（マシュー・マクファディン）、イアン・フレミング少佐（ジョニー・フリン）らが練り上げたのが、欺瞞作戦“オペレーション・ミンスミート”だ。“イギリス軍のギリシャ上陸計画”を示す偽造文書を持たせた死体を地中海に流し、ヒトラーを騙そうとする奇策だ。彼らは秘かに入手した死体を名付け、100%嘘のプロフィールをでっち上げていく。こうしてヨーロッパ各国の二重三重スパイたちを巻き込む、一大騙し合い作戦が始まるが——〜＜公式HPより＞



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　


そこそこ内容に触れていますので、ご注意下さい。

１回観て、猛烈に気に入ってしまい、公開されてまだ１週間経ってないんですが、すでに２回観てしまいました。

ちなみに、今作、本国英国では、公開が４月に延期となっています。
つまり、日本が先に観れてしまったという。ありがたいやら、申し訳ないやら！？

偽造文書を持たせた死体を海に流し、ヒトラーを騙すミンスミート作戦。
その作戦を軸に、人間模様が交差する脚本が秀逸。

前半は死体をいかに本物に見せるかの肉付け。
まずは、死体探し。理想は溺死した青年。
そして、彼に名前をつけ、肩書を与え、架空のプロフィールをでっち上げる。
更なるリアリティを出すために、彼には恋人がいた設定にして、なんと彼女からのラブレターも死体にしのばせる。

この過程に、私、めっちゃ感動しちゃいまして・・・。
架空の少佐ビル・マーティン、そして彼の恋人パムを作り上げる。
自分たちの想いや希望を２人にのせて、あたかも、本物の恋人たちが目の前にいるかのように・・・。
戦時下で、緊迫の日々の中、なぜかこのシーン、こういう場面がとてもリアルに感じてしまったり。

ビルとパムの恋に刺激されたのか、チーム内でも、恋心が沸き上がる。

後半は死体が流れ着いたスペインでの展開。
２人のイギリス人が仲介者。うち1人は三重スパイ？
予定外の事も起きてしまうのだが、なんとか、ドイツ軍が関与し始める。
後半は、ちょっと難しいところがあったんですが、わからない部分は諦めて、わかる部分で思う存分楽しみました(笑)
暗くて、ちゃんとはわからなかったんですが、同性愛嗜好の人物も！？

２回観ても、イマイチわからなかったのがテディ。
パブで働いていた人？反ヒトラー運動をやってた？むむむ？

作戦の結果やいかに？
「ミンスミートは消化（丸のみ）された」

途中、モンタギューとチャムリーがそれぞれの兄弟について悩みを抱えていることがわかります。
モンタギューの弟は、共産主義者と思われていて、モンタギューにスパイ容疑がわきあがります。
チャムリーの兄は、名誉の戦死で英雄となっているのですが、死体が戻ってきていない。
母親は一刻も早く、死体を戻してほしいと願っています。
２人は、作戦仲間の女性ジーン（パム）を巡って、もやもやした関係になりますが、ミッション終了後には、あたかも、実際の兄弟のような絆が芽生えます。萌え〜〜〜。

作戦開始前、妻子をアメリカに送っていたモンタビュー。
作戦で、多くのレターを作っているのに、妻への手書きレターは・・・ずっと書けていない。

この作戦本部内のあちこちに作家が？(笑)
アイディアの発起人は、『００７』の原作者のイアン・フレミング！
劇中では、作戦の進行状況をタイプで打ちながら、かつ、なにやら小説も書いていた模様。
ナレーションも彼の声だったのよね。
『007』に登場する’M’の由来も出てきました。

※予告編
https://youtu.be/n789ZBjoWJA

キャストでは、やはりコリン・ファースは渋いし、制服が似合いすぎ。
イアン・フレミング役のジョニー・フリンも素敵。実際、似てるみたいですね。
チャーチル首相役がNTL『リーマン・トリロジー』のサイモン・ラッセル・ビールで、再会が嬉しかった。
舞台も多いこの２人の存在感（年齢の違いはあれど）は、さすがだった。
あと、そう、ケリー・マクドナルドの話し方に妙に癒された。

国の運命を左右するミッションに従事してくれた死体に敬意を示しているのも良かった。
英国ユーモアがほどよく散りばめられ、個人的には、大満足でした！！！！！　4.5☆