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2022年02月21日10:55

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『ブルー・バイユー』感想

〜韓国で生まれ、3歳の時に養子としてアメリカに連れてこられたアントニオは、大人になったいまはシングルマザーのキャシーと結婚して自ら家庭をもち、娘のジェシーも含めた3人で貧しいながらも幸せに暮らしていた。ある時、些細なことで警官とトラブルを起こして逮捕されたアントニオは、その過程で30年以上前の養父母による手続きの不備が発覚。移民局へと連行され、国外追放命令を受けてしまう。下手をすれば強制送還となり、そうなれば二度とアメリカに戻ってくることはできない。アントニオとキャシーは裁判を起こして異議を申し立てをしようとするが、そのためには5000ドルという高額な費用が必要だった。途方に暮れる中、家族と離れたくないアントニオはある決心をする〜<映画.comさんより>

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危険・警告かなり内容に触れています。未見の方はご注意下さい!

タイトルの「bayou」という単語、予告編からして「入り江」かな?って思っていたんですが、実際はこういう感じみたいですバッド(下向き矢印)
「主にルイジアナ州とミシシッピー州の河川や湖に注ぐ、支流や入り江で、水の流れがゆったりしているかよどんでいて湿地帯のようになっている場所を指す」

今作の主演・監督・脚本はジャスティン・チョンさんという方で、私は全く知らない方だったんですが、いやはやすごい力量でした。

物語の主軸は、アントニオと妻キャシーと娘ジェシー。
ジェシーはキャシーと前夫の子供です。
その前夫は警察官エース。エースの同僚デニーは移民嫌いであからさまにアントニオを嫌っています。

キャシーはアントニオとの子供を身ごもっていました。
アントニオは産まれてくる自分の子供のために、タトゥ―彫りの仕事以外にも、別の仕事を見つけたいのですが、過去に犯罪歴もあり、移民でもあり、難しい状況でした。

ある時、スーパーで、デニーから暴言を吐かれ、抵抗しようとしたら、いきなり警察署に連行されてしまいます。
勾留はすぐに解かれたものの、その事件をきっかけに、ある衝撃の事実が浮かびあがってしまいます。
30年以上前、アメリカ人の夫婦に養子に向かい入れられた時、両親はちゃんとした手続きをとっておらず、書類不備のため、いきなり強制送還されるかもしれないという事態に。。。

夫婦は弁護士に相談します。
「選択は2つ。送還されるか、残って、控訴するか」
後者の場合、弁護費用は$5000。こんな大金、すぐには用意できません。
しかも、負けたら、二度と、国には入れないことに。。。

少しでも早く、お金を稼がなくては。

そこに、余命わずかのベトナム女性との出会い。
タトゥーを入れてくれた上に、家でのパーティーにも招待されます。
(ちなみにその場所でキャシーがるんるんブルー・バイュ―(ロイ・オービソンの曲)を歌うんですが、アリシア・ヴィキャンデル、歌、上手いのなんの。かなりビックリでした)

アントニオは移民。ベトナム女性は難民。
彼女は家族と、船でアメリカを目指したのですが、家族は2つの船に分かれて乗ったとアントニオに語ります。
1つの船は・・・アメリカにたどり着くことができませんでした。。。
アントニオ「どうして分かれて?」
女性「全滅は避けたかったから」
アントニオ「後悔はしてないの?」
女性「してないわ」(←記憶が曖昧ですが多分・・・)
このあたりは、アントニオと共に、考えさせられました。

裁判にはお金の他にも「アントニオがいかにこの国に馴染んでいて、この国に滞在し続けるべきである」という旨の証言をしてくれる人物が必要となると弁護士に言われました。
弁護士「君の義母は健在だろう。証言してもらえないのか?」

アントニオはその事はキャシーには隠していました。
それには・・・辛い、過去のしがらみがあったからです。
かつてアントニオは、養父から乱暴され、養母は何もせず黙っていました。
暴力は次第に、養母にも及んだため、ある時アントニオは養母に「一緒に逃げよう」と言いますが、養母は自分を選びませんでした。。。
そこから、いろんな両親を渡り歩いた?(記憶曖昧)
思い出したくもないし、会いたくもない、もちろん頼りたくもない。
それでも、家族と一緒に、この国に残りたいアントニオは、意を決して、養母に会いに行きます。

今作は「選ぶ」という言葉が何度か出てきて印象に残りました。
キャシーはシングルマザーの道をすでに選んでいます。
アントニオはこの国に残りたいので、裁判を起こす道を選びます。
ジェシーは終盤「私はパパを選んだのよ!!!!!」と絶叫します。
何度か2つの橋の中間に立つアントニオの姿。2つの選択の中心にいる描写。

冒頭、そして、ところどころに、入り江の映像。どれも美しい。
かつて、韓国の産みの母親は、入り江で自分を捨てようとした?

バイクで入り江につっこむアントニオ

かつての母親が水中に現れて、アントニオを助ける

ラストシーンは空港。
アントニオの決断。そこに、キャシー、ジェシー、ジェシーの実父の想いが交差します。
家族はどうなるのか・・・。

※予告編
https://youtu.be/dZJeqHorZ98

題材的に『ミナリ』を思い出します。
あの作品での水の使い方は、ミナリ(セリ)が水際に根付く描写でした。
今作では、水は、そこで浮かぶか沈むか、生と死の描写で使われています。
あとジム・ローチ監督の『オレンジと太陽』もちょっと思い出したり・・・。

全体的にちょっと詰め込みすぎだし、後半がちょっと粗めです。
それでも、監督の「この現状を伝えなくては!」のパワーで、最後までグイグイ引っ張られていきます。

エンドロールには、実際、国際養子として海外に渡り、アントニオと同じような強制送還の危機に瀕している若者たちが紹介されます。
この問題提起、考えさせられるし、よくぞ作ってくれたと思います。
関心のある方は、是非!4つ☆
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