アーミッシュと呼ばれる人たちがオハイオにいます。
恥ずかしながらこちらに赴任するまで自分は知りませんでしたが、宗教的に現代文明を拒絶して生活する人たちのことで、アメリカのアーミッシュの大部分がこのオハイオや隣のペンシルバニア州にいるようです。
オハイオの場合はこの辺り。
彼らは文明機器や電気を使わず、テレビやエアコンや電話はない。
移動も馬車がメインで、自転車もペダルがないやつにして遠くへ行けないようにしている。
服は華美なものがダメ、というかボタンやポケット付きもダメ。贅沢なので。
(厳しかったうちの高校の校則より厳しい)
読書は聖書以外は禁止。
音楽は讃美歌以外、聞いたり演奏するのは禁止。
(電化製品なしで音楽と読書がなければ、余暇に何をすればいいのか困るね)
写真を撮らない。写真を撮ろうとすると、綺麗に見せたいと思い、禁止行為である散髪や化粧をしてしまうから。
以下はパンデミックが始まって4か月ほど経った時、州の外に出るのが難しいので遊びに行った時のレポートです。
まず起点の町であるミラーズバーグへ。
アーミッシュの育てる無農薬・有機野菜や鶏肉は、市場で高い値段が付くし、手作りの装飾品を売っているので、ちょっとした観光地になっている。
民芸品等のショップの様子。
スーパーの駐車場の様子。
通常、車を停めるスペースに馬車が停まっているのが面白い。
遠くへの移動は飛行機や車は不可だが、鉄道は良いらしく、自分もシカゴのAmtrakの駅でアーミッシュの人々を見かけたことがある。格好で分かるんですよ。
カメラを向けるのはまずいと思うので、サイドミラーに映った場所をパシャリ。
実際は写真を撮られることは大丈夫らしく、撮った写真を保管する行為がアウトのようだ。
観光客向けのレストラン。
一般のそこら辺のアメリカ料理のレストランより美味しい気がする。アーミッシュは食事に関する制限はない。
とりあえず訪問して思ったのは、
「アーミッシュの人たち、マスクしないんだ(笑)」
当時はマスクを屋内で付けていないと80ドルの罰金とかだった気がするが、独特の帽子を被っているアーミッシュの人たちはマスクしていない。というか宗教的にできないのかな。
(ちなみに普通の人もアメリカでは外でマスクをすることはしません。マスクは屋内で付けるものです)
アーミッシュたちはワクチンもいまだに殆ど接種していないそうだ。
予定説に反するため、紙が定めた運命に抗ってはいけない。だから保険が禁止なのも有名。
医療を、寿命を操作するものとして禁止するかどうかは考え方が分かれるらしい。
ここで一旦、google画像検索の綺麗な風景で休憩しよう。
さて、個人的に最も面白いと思った規律が教育と成人のところ。
アーミッシュにも学校はあるが、言語、地歴、数学、保険のみらしく、大学進学など義務教育以上のことは禁止。
カズオ・イシグロの『私を離さないで』というドラマで、臓器のスペアになるべく育たられる子供たちだから一見普通の授業に見えて、"社会"という科目がない、という衝撃があったが、このアーミッシュの世界では"理科"という科目が存在しない。電気や科学を学ぶ必要がないからね。
18歳で成人した時、彼らは1年間、都会の町に出て文明社会を体験するそうだ。
(魔女の宅急便???)
そしてそのまま俗世で暮らすか、アーミッシュに戻るかを選択する。但し俗世に暮らせば二度と家族には会えないとか。
殆どの人はアーミッシュに戻っているそうだ。
もう一つ、興味深いのは、『決しては怒ってはいけない』という規律。
子供を殺された家族が、「殺害犯を恨んでいない」と表明し、犯人の家族をその葬儀に招待したことは話題にもなった。
宗教というのは高い精神性が要求されるものですね。
そのほか、日本語のwikipediaにもアーミッシュの戒律について色々書いてある。
自分の訪問時は、帰りがけにこの変わった建物を見物した。
建物は閉まっていて、周りには野生のウサギが沢山いた。
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