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2022年01月29日22:36

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【オリジナル短編小説】静かな雪

サンサンと雪が降る
音が聞こえるわけじゃない
でも言葉にすると
サンサンと雪が降る

そう私には感じる
子供の頃は雪だるまが
あっちこっちにいくつもできてた
小さな鎌倉を作ってた友達もいた

おいでよ
言われて入ろうとして
幼い頃から太ってた私は
入り口を通れなかった

謀った《はかった》わけではないだろうが
大笑いされたから
記憶に残る

そんな苦い思い出も
忘れるほど雪が降らなかったのに
今年はよく雪が降る

別に昔のように
積もった雪が溶けなくなるほどではないが

やはり雪を特別視してしまう

つららがなって
遊んでたら
次の日からおじさんが
あぶないからと
つららを壊すのを日課にしてたなんて
凄く昔話のような気がする

静かな夜はいろいろ思い出す
2年目の彼氏とのデートは
ホワイトクリスマスだった
あのまま付き合ってたら
今頃結婚してたのかな

ホテルとったからやらせて
演出もオブラートもない言葉に
別れたんだよね
男ってわからない

そのまま月日が過ぎて
私は結婚時期を逃してしまった
別にどうでもいいけどね

ただカシミアのマフラーをあげると言われて
それが水色だった時
もう予感はしてたんだ
だって毎回来てる服とか見たら
私の好きな色とか落ち着く色とかわかるじゃない?
水色はわけがあって私が絶対に身につけない色・・・

それを知らないってことは
もう別れの予感がしてた

私はワガママなのかな?
男の人はみんなそんなものなのかな・・・

いつもの小さな職場で
雪をみていたら
男の従業員が雪かきを始めた

これくらいの雪なら
ほっといても溶けそうだけど
歩道の確保は客商売上
絶対事項なのだろう

私はお茶の用意に立つ

静かに降っていた雪に
邪魔が入って
日常に戻された

ちょっとだけ恨めしく思う

別に雪が好きなわけではないけど
想いをめぐらすのも久々だった気がしたから・・・


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