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2022年01月18日02:37

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【拳闘】井岡×福永

WBOスーパーフライ級王者
井岡一翔(32歳)
29戦27勝(15KO)2敗
身長165cm
リーチ169cm

同級6位
福永亮次(35歳)
19戦15勝(14KO)4敗
身長170cm
リーチ169cm

コロナの世界的な感染拡大により外国人の往来が難しくなった昨今。ボクシングの世界タイトルマッチも、ゴロフキン×村田戦を始め多くの試合が延期や中止の憂き目に遭った。が、そんな失望感の充満する年末に一筋の光明が差し込んだ。統一戦が中止になった井岡一翔が、世界ランカーである日本人選手と防衛戦を行うのだ。
相手の福永亮次は東洋太平洋、アジア・パシフィック、日本国内の3冠王者であり、WBOの世界ランキングは6位。キャリアも実力もありそうだ。特筆すべきは15勝14KOの破壊力。35歳という年齢がネックと言えばネックだが、井岡だって32歳である。それほど気にしなくてもいいかもしれない。ボクシングを始めたのも遅いのでダメージの蓄積も少ないだろうし、それほどくたびれてはいないはずだ。寧ろ、年齢的に本人も最後の世界戦と覚悟を決めてリングに上がるだろうから、その恐るべきパンチがヒットすれば、これは試合の行方は全く判らない。
ただ気になるのは『4敗』だ。3回勝ったら1回負けてる計算だから、勝率としては高い方ではない。例えば数多くのタイトルマッチを戦い、世界中の猛者を相手にしての4敗ならまだしも、そこまでのレベルに達して無いボクサーを相手にしての数字だ。逆に井岡は『世界中の猛者を相手に2敗』のみである。
その『負け方』も数字以上に重要だ。KO負けが多ければ、倒すか倒されるかの雑なボクシング。判定負けが多いなら、技巧派には手も足も出ず完封される引き出しの少ない選手、と言えるだろう。
それと、いつ頃負けてるか、も気になるファクターだ。駆け出しの頃、まだ自分のスタイルを模索してる時期に負けたのか、或いは最近になって負けがこんできたのか?
前者なら大器晩成型で、過去の負けはあまり関係がないが、後者であれば、加齢で落ち目の選手と言える。



1R
前に出る福永。左構えか。浅く単発ながらストレートが幾つかヒット。
中盤からは徐々に井岡のペース。
井岡9-10福永

2R
中間距離では完全に井岡の土俵。ボディがヒット。
サウスポーである福永は右半身を前に構えるので、井岡はボディが効果的。
井岡10-9福永

3R
福永が攻勢に出る。しなやかでワンテンポ遅れる変則的な左ロングフックが、井岡の顎を打ち抜く。
井岡9-10福永

4R
井岡の左フックがカウンターでヒット。
ここまで互角の展開だったが、この辺りから井岡が完全に試合のペースを掴んだ感がある。
井岡10-9福永
井岡38-38福永

5R
解説の内山、内藤共にここまでは4R全て井岡の10-9。3人の公式ジャッジは両者ほぼ互角。
福永は技術とスピードに対応できず、試合は井岡のペース。
井岡10-9福永

6R
井岡がグイグイ前に出る。福永の動きを見切った様子。
福永も頑張るが打開策が無い。
井岡10-9福永

7R
一方的な展開。福永は鼻血。
井岡10-9福永

8R
井岡のペースは崩れず。
井岡10-9福永
井岡78-74福永

9R
このままではジリ貧と見た福永が前に出る。
井岡9-10福永

10R
井岡ペース
井岡10-9福永

11R
力を振り絞る様にして前に出る福永だが、距離を制する井岡の技術が完封。
井岡10-9福永

12R
敢えてKOは狙わず、故に隙を見せない井岡。ペースは変わらず、福永になす術なし。
井岡10-9福永
井岡117-111福永

公式採点は115-113、116-112、118-110で、それぞれ2、4、8ポイント差をつけて、3-0で井岡の判定勝ちとなった。

全く戦前の予想通りの展開だった。福永はリーチもあり、サウスポーから繰り出す打撃はシャープだ。上下の打ち分けも良い。内藤は『挑戦者なんだからもっと積極的に行かなきゃダメ』と解説してたが、充分攻勢に出ていた様に思う。
ただ突き放した言い方をしてしまえば、あれが精一杯だったのだろう。多分陣営としても、技術戦では全く太刀打ち出来ないだろう事は予想していたはずで、玉砕覚悟で前に出る作戦であり、その覚悟だったはずだ。
しかし恐ろしいのは井岡のディフェンスだ。福永の攻撃は全て吸収されてしまう。クリーンヒットは何も単発で、連打を狙おうものなら途端にカウンターが飛んで来る。井岡の射程距離内に留まる危険を肌で感じた福永は、1発打つのが精一杯だった。
この試合は後に、判定までもつれた事に対して一部から批判された様だ。人それぞれの意見があっていいとは思うが、これだけ完璧で完成度の高いボクシングを否定的に見る人がいる事に驚く。それと、普段どれだけ平和な世界に生きてるのか痛感する。勝敗は紙一重で、ちょっとした隙から流れが一気に変わる事も珍しくない。KOを狙って力んでは井岡のボクシングは崩れる。それで100%の力を発揮できなくなれば、如何に井岡一翔と言えども勝てない。それだけ厳しい世界なのだ。だから絶対に自分のスタイルを崩してはいけない。井岡の様なタイプは特にだ。
それにKOは狙って出来るモノではなく、流れの中で生まれる。
それらをよく知る百戦錬磨の井岡だからこそ、チャンスにも浮き足立つ事がなかった。あの局面でKOを狙えと言うけど、そうやって雑になる事で生まれる一瞬の隙を福永は待ってた訳だ。しかし最後まで丁寧に、全く隙を見せない完璧なボクシングをされたのだから、福永側からしたらたまったものではない。勝負の世界を知る井岡ならではの素晴らしい、そして厳しいボクシングだったと思う。
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