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2021年12月19日12:02

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『パワー・オブ・ザ・ドッグ』感想

〜「ピアノ・レッスン」で女性監督として初のカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したジェーン・カンピオン監督が、ベネディクト・カンバーバッチを主演に迎え、1920年代のアメリカ・モンタナ州を舞台に、無慈悲な牧場主と彼を取り巻く人々との緊迫した関係を描いた人間ドラマ。大牧場主のフィル・バーバンクと弟ジョージの兄弟は、地元の未亡人ローズと出会う。ジョージはローズの心を慰め、やがて彼女と結婚して家に迎え入れる。そのことをよく思わないフィルは、2人やローズの連れ子のピーターに対して冷酷な仕打ちをする。しかし、そんなフィルの態度にも次第に変化が生じる。フィル役をカンバーバッチが演じ、ローズ役のキルステン・ダンスト、ジョージ役のジェシー・プレモンス、ピーター役のコディ・スミット=マクフィーが共演。2021年・第78回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞〜<映画.comさんより>

〜威圧的だがカリスマ性に満ちた牧場主。弟の新妻とその息子である青年に対して冷酷な敵意をむき出しにしてゆくが、やがて長年隠されてきた秘密が露呈し...〜<ネトフリさんより>
 
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今作は、本年度のベストテンはおろか、おそらく、最高位に行くかもしれません。
それなのに、それなのに・・・劇場観賞できなかったという涙
スクリーンの隅々まで、目に焼きつけたいほど、素晴らしき作品なのに、どういうこと?

感想です。
メインの登場人物は2組4人。
牧場主の兄弟と、食事もできる宿を経営する未亡人とその息子。
(前の夫は首吊り自殺?)
いつしか、その組み合わせが入れ替わります。
弟と未亡人が結婚して、兄と息子が近づきます。

まず圧倒されるのは、兄フィルの描写。実は、イエール大卒のエリート。
カウボーイたちを率いるリーダーで、荒々しく、これぞ男だ!の匂いプンプン。
匂い(臭い)がらみでは、お風呂に入りません。
どれだけ、弟ジョージが頼んでも、自分が臭いと思われようが、全く気にならない様子。
フィルは、女性や先住民、そして男のくせに女々しい奴に対して、威圧的に接します。

対する弟ジョージは、ちゃんとお風呂にも入り、真面目で、穏やかな人柄です。
未亡人ローズと出会って、一瞬にして恋に落ちてしまいました。
ジョージの知らない間に、結婚までしてしまいます。
フィルは、ジョージよりも、むしろ、弟を奪ったローズに嫌悪感を募らせます。
「どうせ、お前のお金目当てに結婚したに決まっている」
実際、ローズの息子ピーターは、大学進学にあたりお金の工面に困っていたところでした。

ローズは、フィルとジョージの家に一緒に住むことになります。
ピーターは大学(医学部)に進学できて、夏の間だけ牧場に来て、手伝いをします。

フィルは以前、ローズの宿で、紙細工で花束を作っていたピーターに嫌がらせの言葉を浴びせていましたが、今は、ローズにその矛先が向けられています。
ローズは多少、ピアノを弾くのですが、まだまだ未熟で練習の日々。
それが耳障りなフィルは、わざと自分の得意なバンジョーの音を重ね、煽ったりします。

ローズは以前ジョージに「私はお酒は嫌い(飲まない)」と言っていたのに、今では、お酒が無いと生きていけないほどになっていました。

フィルには、秘密がありました。
ある行為をしている最中・・・ピーターがやってきて、それを目撃してしまいます。
フィルが隠していた本も、ピーターは目にします。
そこからの2人の関係がもう、もう、もう・・・。

フィルを快く思っていないローズは、ピーターを心配します。どうか近づかないでほしい。

フィルがピーターに「(山ひだにできた陰影を指して)あれ、何に見える?」と尋ねる場面。
ピーターの答えに驚き、フィルは、’ピーターは自分にとって運命の男’みたいな感覚になっていきます。

一方ピーターにはずっとこの想いがありました。
「母を守らなくては」

そして、物語はまさか、まさかの展開に。
スリリングで、エモーショナルで、感情があっちに揺さぶられ、こっちに引き戻され、もう、もう、大変な状態に。

クリップ印象的だった場面あれこれ
・フィルをワクで閉じ込めているような構図が何度も
・厨房から店内へのドア。その上部の窓枠が4つに分かれていて、1つだけ、ガラスが入っていない。あの空間は、都合がいいからだけでそうしたんじゃない気がする。
・ピーターは母親を「ローズ」と名前で呼ぶ
・2匹出てくるウサギ。それぞれの役回り
・ピーターが発する櫛のギザギザ音
・ロープ作りに仕組まれた罠と運命
・手袋が守ったもの
・タイトルが出てくる終盤場面

とにもかくにも、カンバーバッチです。上手すぎる、凄すぎる。
これまでの俳優人生の集大成というか(←早すぎる?)、最高の演技をしています。
これは、もう、オスカー主演男優賞獲らないと、おかしい、絶対、おかしい!
本当に、本当に、どれだけ称賛しても足りないぐらい、素晴らしいです。
キルスティン・ダンストも素晴らしい。助演女優賞ノミネート、いくかも。
私、彼女とジョージ役のジェシー・プレモンスが実生活でも夫婦だったって知らなくて、ビックリ。
ピーター役のコディ・スミット=マクフィーがまたミステリアスな存在感を放っていて、彼にも、助演男優賞にノミネートされてもらいたいかも。
今作で初見の俳優さんでしたが、なんとも個性的で、これからもどんどん伸びていきそう。
あと、地味な役回りですが、トーマシン・マッケンジーも出てます。

※予告編
https://youtu.be/fZzh5pLr49w

カンバーバッチは、この役を演じるにあたって、実際、撮影中の数週間、お風呂に入らなかったという。。。
なんという役者魂!?
ジェーン・カンピオン監督にも、監督賞、獲ってもらいたいです。
本当に、素晴らしすぎて・・・劇場で震えたかった、泣きたかった。
文句無しの5つ☆!!!!!
4 10

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