速水御舟と吉田善彦
ー師弟による超絶技巧の競演ー
9/9(木)〜11/7(日) 予約不要
吉田善彦(よしだよしひこ)は、1921年(大正元年)に現在の東京都品川区にうまれました。
17歳の時に速水御舟(はやみぎょしゅう)1894年(明治27年)に師事し、御舟が亡くなる1935年のまでの6年間の師弟関係でした。
御舟のもとで古画の模写などを学び、金箔と「もみ紙」を用いた「吉田様式」を完成させます。
吉田善彦 「大仏殿春雪」1969年
茫漠とした絵ですね。
近づくともみ紙がわかります。
吉田善彦 「尾瀬三趣」1974年
右から、草原の朝・池塘の晝・水辺の夕
吉田善彦ではこの絵が好きかな。
草原の朝のニッコウキスゲの黄色がかわいい。
どこかで観た感じと思ったら、ジョルジュ・スーラ(1859〜1891年)の点描画ですね。
点描と細かなもみ紙が同じ効果を生んでいます。
ジョルジュ・スーラ
題不明
速水御舟は、1894年(明治27年)浅草生まれ。
1917年の第4回院展に「洛外六題」を出品し、横山大観、下村観山に激賞され日本美術院同人となった。
同時に同人となったのが、アノ川端龍子でした。
速水御舟 「百舌巣」1925年
百舌の細密描写と小枝や羽、蜘蛛の巣?などで作られた巣の重なり具合が面白い。
速水御舟 「炎舞」1925年
いつも通り、仄暗い第二会場で妖しい炎を巻き上げています
速水御舟 「昆虫ニ題 葉隠魔手・粧蛾舞戯」1926年
この二点のみ撮影可能
速水御舟 「牡丹」1934年
重なり合う牡丹の花弁のボリュームが美しい。
速水御舟 「名樹散椿」1929年
散椿は、京都地蔵院の樹齢120年の「五色八重散椿」がモデルで、花弁が一枚一枚散る珍しい椿です。
地蔵院「五色八重散椿」
デフォルメされた御舟の散椿のなんと美しいことか…
御舟は、宗達、其一の画に学んでこの画を描いたそうです。
屏風の金地は「撒きつぶし」という技法で金砂子を撒いています。
金箔の10倍ほどの金が必要らしい。
作品の横に、箔押し・金泥・撒きつぶしの見本が展示してあり、箔押しは、金が反射してピカピカ、金泥は暗く沈み、撒きつぶしは金の深みがあります。
このゴージャスな作品は、大倉財閥2代目の大倉喜七郎氏の注文で制作された。
自ら考案した尺八フルート、オークラウロを演奏する大倉喜七郎氏。
なかなか楽しめた展覧会でした。
今回の展覧会には出品されていませんが、御舟は、1921年頃から岸田劉生の影響で写実的な静物画を描いています。
速水御舟 「茶碗と果物」1921年
国立近代美術館
ハタンキョウの艶と浮き出る糖分、茶碗の冷たい光沢
御舟と言えば、「京の舞妓」
速水御舟 「京の舞妓」1920年
東京国立博物館
甲斐庄楠音も真っ青のデロリ感。
なにか悪意があるのか?と思ってしまう。
着物の柄の細密な描写、畳の一目まで描く偏執的な写実
おしまい
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