メランコリックな話を少々。
最近、仕事に疲れてしまっている。どうもこう、跳ね返す力がないというか、押されている感じがするのだ。
一昔前ならば、自分でたどり着けた問題の原因とか、そういうのも出来なくなってきている。そのため、報告などもうまくいかずに、ほとほと疲れてしまう。
そしてまた、コロナ禍の影響かどうかはわからないのだが、身近の人がボコボコと倒れていて、鬱病になった、体調不良を起こしたなどが原因で仕事に来なくなってしまっている。
会社の同僚が、一緒のプロジェクトでリーダーを張っていたのだが、その彼が産業医から鬱状態を指摘されて休職したときは本当にビックリした。
その後行かされた今の現場では、過去に２人がツブれて来なくなり、僕が参入した時に担当だった人が僕が来てからわずか２日で体調不良を訴えて来なくなった。
今の現場は誠に厳しく、毎日が地獄のようにタスクが降ってくる。それを跳ね返す力が湧いてこず、過去に倒れていった人の気持ちがわかる。なんというか、彼らの代わりの犠牲者に呼ばれたようなもんである・・
以前であれば、それでも強気に跳ね返していったことだろう。何とかうまく立ち回り、上手い具合に切り抜けてきた。
しかし今、その気力がない。なんというか、本当に疲れる。
大手ベンダーの連中はサディスティックにこちらを責め立てるし、協力会社の連中も何とか責任を回避するために、こちらに責任を押し付けるし、それと戦う気力がなく、なんとなくまな板の上の鯉の状態である。
ひとつには、歳なんだろう。体力・気力の衰えは、歳とともに仕方ない、とは思うんだが、僕は決して好きでこの業界に入ったわけではない。ＩＴ業界なんか最もやりたくない職業のひとつだった。むしろ、こういう業界が世界で大手を振ることに非常に否定的な考えを持っている。
その気持ちが今すごく出ていて、好きでもない、本来否定している業界のために頑張ろうという気持ちが全くもてないのだ。
僕がこの業界に入ったときに、思ったのが、好きなことではない、むしろ嫌いなことだからこそ、仕事だと割り切って出来るだろう、と思った。入社した頃のように、ﾁﾝﾌﾟﾝｶﾝﾌﾟﾝのお味噌のままでも、嫌いな業界なので、割り切って、給料泥棒しても自尊心が傷つかないだろう、と思っていた。
逆に好きなことを職業にしたことで、仕事である以上は嫌なことも多いだろうから、好きなことが嫌いになるほうが怖かった。
それでも、やればそれなりに努力はしてしまうもので、いろんな苦労や葛藤を得て、仕事を達成してきた。この仕事、結構好きかも、と思っていた頃もあった。
仕事に対するプライドも出てきて、最初はお味噌だった僕でも、20年以上勤め、それなりの評価もしてもらえるまでになった。
だが、こうやって落ち込んでくると、もともと好きでもないもののために振り絞る気力がない。
また齢50歳直前にして、嫌なこと辛いことがあったにせよ、もっと好きなことをやったほうが良かったな、という後悔の念もでてくる。
家族をもち、会社でもベテランの領域であるので、そう簡単に辞めることはできないのだが、だからこそ、ここ最近の悩みは本当に身に堪える。
んで、今日は休日。ここ最近は休日も心身が疲れていて何もやる気がしなかったが、ちょっと元気が出たので、愛車のロードバイクで吉祥寺へ行き、プラプラして帰ってきた。
吉祥寺いえば、僕が留年していた頃、就職浪人をしていた頃に、プラプラとよくさまよっていたものである。
歳はすでに25歳になっていた。
あの頃は、先が見えずに、塾講師の契約社員をしながら将来どうするかを毎日考えていた。
やりたいことはいっぱいあった。興味があることが腐るほどあって、そのうちの何かをやろうか、と思っていたがなにぶんにもそれまで一切努力はしていない。
卒論でテーマにした江戸文化研究で大学院にいって、そのまま研究者となり、ともすれば同時にそれをもとに作家もやる、という青写真を漠然と考えていたが、これ以上親に負担かけるのもなあ、とか、いろんな迷いがあり、結局、大学院を受験したもののニベもなく落ち、今の会社のグループ会社に就職した。
その頃に兄貴に言われた言葉が忘れられない。
「本当にやりたいと思っていれば、どんなに難易度が高くてもなれるんだよ」
いい歳していつまでも自問自答し、具体的な行動を起こしてない僕には、実に身にしみる的を射た言葉である。本当に俺は何がやりたいのか？まだ答えが出ていないのか？
こんな状態ならば、周囲に言われるままに就職する以外ないし、何も言い訳する権利などない、と。
いつもそう。目標もなく、それに向かう努力すらせずに、脳内で物事を完結してしまう浅ましさ。ただただ世間をハスにみてイキがっているだけの男。そういったもの全てを叩きつけられた。年齢は26歳になっていた。
26歳でようやく就職し、吉祥寺をプラついて毎日悩んでいた自分と決別した。
そして今日、吉祥寺をプラつき、時代を得て同じような悩みがフラッシュバックした。
あの頃やりたかったことってなんだったろう。
とにかく普通に就職してサラリーマンになる人生はまっぴらだと思っていたが、じゃあそれ以外に何がやりたいのか？それに向けての努力はしているのか？
僕はまず、デカダンスな職業への憧れがあった。いろいろと考えていたことをちょっとおさらいしてみた。
�｜羈悗虜△�ら憧れだったビートたけしのように、浅草へいってイロモノ芸人になるか、と思っていた。
ここならば、年齢が行っていても、何の努力をしてこなくてもやれそうだし、たけしのように一攫千金でさえ狙える。もし売れなくても、この世界でウダウダやってるのも悪くないかなあ、、
��或いは、落語家とか、正統な芸人になるか。誰か有名な落語家に弟子入りして、修行をしながら叩きあがっていくか。ちょうど前年に、母方のじいさんが、「お前面白いから落語家になるといいよ」と言ってくれた。悪くないかも。
あと、大学時代に興味がわいた能楽師の世界に行ってみるとか。意外と伝統芸能の世界だったら入れてもらえるんじゃないか、、なんて思っていたが、メチャクチャ甘い考えである。
��その頃はよくプロ野球を観ていた。当時は今ほど人気がないパ･リーグの試合をブラっとひとりで観にいくのだ。
中学生の頃からパ･リーグのロッテや日本ハムなどの頽廃的な試合風景が好きで、プロ野球選手になるんならああいう球団で、鉄火場のような雰囲気になかでやるほうが面白かろう。
で、プロ野球選手に今からなれないか、、と考えてみたが、当時の入団テストの年齢制限が25歳である。ギリギリどころか、野球経験は遊びしかなくその他本格的なスポーツ経験がないのに、バカすぎる考えであることは直ちにわかった。
パ･リーグ不人気球団ならばなんとかなるか？なるわけがない。プロ野球は人気球団かどうかに関係なく、アマチュア超一流の選手が苦労してようやっとドラフトにかかるんだから。
�に楹陛�なスポーツ経験がないくせに、アスリートへの憧れが強かった。そして、当時は自暴自棄な時期であったことがあいまってギャンブルを良くやっていたので、公営ギャンブルの選手もいいかも、と思った。
競馬のジョッキーは人気なので無理としても、競輪、競艇、オートレースなら人気もないし、意外と努力すれば何とかなるんじゃないか、と。しかも、以前から、普通の運動神経があれば能力が特出していなくてもなれるし、野球やサッカーほどじゃないにせよ、そこそこの稼ぎはある。
なかでも競輪は、結構ひかれていた。当時は京王閣や立川に良く行っていたし、競輪場の雰囲気も昔のパ･リーグみたいなマイナー感がたまらなくよかった。
しかし、当時の競輪学校の入学資格が24歳未満と、年齢制限オーバーしていた。
とまあ、主だったところではこんなことを考えていたんだが、先の大学院へ行って研究者兼作家なども含めると、もうフラフラしっぱなしである。
結局、人生というのは何かひとつやることを決めて、それに向かった努力をしなければ、何一つ成就できないのだが、そんな当たり前のことさえ無視して妄想に耽っていたのだ。
何かを始めるときに遅いとか早いとかない、本気でやれば出来るんだ！なんていう言葉もあるが、それは嘘だ。ほとんどが、制度としてすでに年齢制限が設けられているんだもの。
だから、10代の頃、遅くとも20歳くらいまでには、「自分の目標はこれだ！」というのを定めそれに向かって努力しなければ一部例外を除けばだいたいは遅いと思う。
世の中の年齢制限がほとんど25歳未満に設定されていることはその時知った。
多分、現役で大学卒業が22歳。浪人やら留年やらを鑑みて、2年バッファをとればそのくらいだろう。そして今ならわかるが、ひとつのことに一人前になるには、これも一部の例外を除くが、修行期間などを含めると20年とか30年とかかかる。だから、24歳くらいには行き先を決めないと、何もモノにならないんだと思う。
そのため、サラリーマンや公務員のように与えられた仕事を淡々とこなしていれば良いような職業ではなく、上記のような特殊な世界は、なるべく早くその世界に飛び込む必要がある。モノにならなかった場合のセカンドキャリアも考慮すれば、当然そうだろう。
プロアスリートになるのであれば、やはり中学や遅くとも高校から、ひとつのスポーツに打ち込んでいかねば、厳しいであろう。
例えば、競輪選手になるのであれば、高校時代に違うスポーツに打ち込んでいたとしても、遅くとも20歳くらいには自転車に乗り込んで訓練をつまないと、才能がない限りは競輪学校に受からない。
んでまあ、結局何もかもが半端だったわけで、仮にその年齢から何のキャリアもなくなれる芸人の世界へいったにせよ、その世界が嫌いになるのが怖くて、実行ができない。
まー所詮は自分はその程度で、就職できるところがあれば就職し、中小企業にでも収まるしかないんだなあ、と諦めたわけ。まあこの諦めがもっと歳喰ってからじゃなくて、そこは救われたんだが。もっと歳食うまでプラプラしていたら、間違いなく人生の落伍者になっていただろう。
で、今の後悔は、歳食って、今回のように事が悪い方向へ進んでそれを跳ね返す気力が衰えたときに、好きで選んだ職業だったら、頑張れたんだろう、と思う。
好きで選んだこの道だから、死ぬまで頑張ろうって気になれたんじゃないか。
もちろん、紆余曲折あり、それまでに「辞めたい辞めようかなあ」と葛藤することもあるだろうが、僕の性格上、意外と頑張っちゃう気がする。
頑張り続けた結果、なんやかやあったけど、僕はこの職業を好きだし誇りを持てる、という気持ちになるんじゃないだろうか。
まあこれも経験したわけじゃないので、単なる妄想でしかないんだが、こうも気持ちが落ち込むとそんな考えが頭をもたげる。
今、くしくも競輪選手の山口幸二と武田豊樹の自伝が出版されていたので読んでいるのだが、やはり彼らも血のにじむ努力して競輪界のトップクラスにいたっている。
そして何よりもイキイキしているのが見て取れる。
特に武田豊樹などは、スピードスケートの選手だったのに、中学の頃から競輪選手に憧れていて、紆余曲折あり、ソルトレークシティのオリンピック出場後、29歳にしてオリンピック選手特別枠で競輪学校に入るという異色の人。
実は、22歳の時にラストチャンスとばかりに、実業団でスケートをやっていたんだが、周囲に内緒で競輪学校受けて、不合格だったという経歴を持つ。
その後も紆余曲折あるが、僕などと全く違うのが、幼い頃からスピードスケートに本格的に打ち込んでいたこと、高校や実業団で実績を残し、メダルには無縁だったがオリンピック出場まで果たしていることだろう。
必至に努力している人には、チャンスが転がり込むという、実にわかりやすいストーリーで、羨ましくもあった。
でまあ、いろいろと考えてしまったわけです。
齢50歳、今から自分がやりたかったことに少しでも近づけないかと。
家族も養うし、20年やってきた仕事もある。そこを保ちつつ、計画的に目標をたて、具体的なそれに向けての努力をしていくには？と。そして、一度決めたら、辛かろうがなんだろうがやり抜く。
人生は仕事だけじゃない、というし、仕事は収入源と割り切り趣味に生きるという考え方もあるのかもしれないが、男にとっては、結局は9割がた仕事で人生は決まってしまうのは事実であろう。
自分が輝けるところ、誇れるところってやっぱり仕事なんだよなあ、、
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