8/25 15時から軽井沢大賀ホールで開催されたリサイタルは今年聴いた全ジャンルのピアノコンサートで一番感銘を受けました。
1曲ごとに詳細な解説と演奏のポイントなどを解説されながらでした。
金子さんが司会で若手日本人クラシック演奏家を紹介するNHK FMクラシックNOVAは毎週聴いています。
司会もできるほどですので、言葉を噛むこともなく、トークもわかりやすかったです。
今回のテーマは「癒しと刺激」
前半は1音1音を慈しむように弾かれた癒しプログラム。
リストが多いのは、ハンガリー人と日本人のハーフで、ハンガリーのリスト音楽院で習ったのとリストの音楽活動に共感するところが大きいからと。
リストはテレビなどでは超絶技巧、美男子でヨーロッパ中の女性のアイドルで追っかけなどのイメージが優先で残念と。
実際にはヨーロッパ中から、リストにピアノを習いたいとやってきた学生に無償で指導。
無償どころか、馬車くらいが移動手段の当時は、リストのところにたどり着いたときには文無しもおられたとか。
指導場所には大きな皿が置かれて、指導料は要らない代わりに、ここに寸志を置いて行ってと今でもそれが残されているそうです。リストはそのお金は管理せず。
お金がない学生はそこから寸借することもあったとか。
他にピアノリサイタルというピアノだけのコンサートを始めたのもリストが初。
今のような移動手段がないだけに大都市以外ではクラシック曲と触れ合う機会がなかった地方には、2台の馬車のうち1台にピアノを乗せて、各所に移動してクラシックコンサートを開催。
駅ピアノのように、駅前にピアノを置いていきなり演奏することすらあったそうです。
シンフォニーをピアノ1台で弾く編曲にも力を入れて、編曲集だけでも10冊にもなるとか。
これもピアノだけで交響曲を再現するための人生テーマだったそうです。
またチャリティーコンサートを始めたのもリストから。
ヨーロッパで相次いでいた、洪水や疫病にチャリティーコンサートを開催して民への寄付とされたそうです。
そのリストのシンフォニーのピアノ曲は後半の第九で示されました。
ラカンパネラは大賀ホールでのレコーディングがデビューCDのほか、これまで1千回は内外で弾いてきたものの、1回として同じ演奏はありません。
会場の雰囲気、自分の状況で毎回演奏が変わる。今日のカンパネラは25日16時半の軽井沢大賀ホール版ですと。
この日の演奏はスタートは超スローでフジ子ヘミングさんの方が早いだろうというもので、このままで大丈夫かと聞きだしたら、すぐにそのテンポに慣れて、しかもどんどんアップテンポとなって最後は最速のように。
第九はベートーベンのを編曲したリスト版のさらに金子さん編曲版。
こちらはさらに圧巻で、ピアノの音ではありません。
ピアノ全体から大砲のように音の塊が次々飛んできます。
しかもアドリブのジャズソロピアノコンサートではないかというほどの即興です。
アンコールでは、リストもショパンもこの作曲者なら認めてくれるだろうとされたので、思わずバッハだなとしたら、その通り。
数日前にそのバッハの指導教授が亡くなったことを涙で語られました。そうして再びリストでこの日の公演が終わりました。
一緒に行った友人とこの音はどんなオーディオでも再生できないし、だいたいマイクで拾うこともできないだろうと。
彼のSACDは何枚か持っていますが、やはり生であるからこその感動です。
好青年な金子三勇士さん、ツイッターに書いたらすぐに(・∀・)イイネ!!もしてくださいました。
素敵な演奏に本当に行った甲斐がありました。
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