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2021年07月15日18:13

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【映画】『BILLIE ビリー』

不世出のジャズシンガー、ビリー・ホリデイのドキュメンタリー。人種差別と闘い、酒と薬におぼれて身心がボロボロになりながらもステージに立ち続けたビリー・ホリデイだったが、その人生には謎に包まれた部分が多い。そんな彼女の生きざまに共感したジャーナリストのリンダ・リプナック・キュールが、1960年代に10年間かけて関係者にインタビューを重ねた膨大な録音テープが、近年になって発見された。映画は、その貴重な証言テープをもとに構成。トニー・ベネットやカウント・ベイシー、チャールズ・ミンガスといったアーティストから、ビリーのいとこや友人、ポン引き、彼女を逮捕した麻薬捜査官、刑務所の職員など多岐にわたる関係者の証言を通して、知られざるビリーの素顔を明らかにする。また、黒人差別の実態を赤裸々につづって物議をかもした名曲「奇妙な果実」をはじめとしたライブ映像も収録されており、彼女の歌唱シーンが最新技術を駆使したカラー映像でよみがえらせた。

何と日本初公開の作品とは思えない程に、映像と200時間に及ぶ未公開のインタビューテープの掘り起しの力は凄いし、出てくる面子がルイ・アームストロング、トニー・ベネットやカウント・ベイシー、チャールズ・ミンガス、エラ・フィッツジェラルドと言うジャズの世界は素人同然の自分ですら「伝説」となっている巨人ばかりでして、これは凄いモノを観てしまったな!と言うのが率直な感想です。

7月2日から本日迄、角川シネマ有楽町で「ピーター・バラカン ミュージック・フィルム・フェスティヴァル」にて上映されていた本作品ですが、4回目の緊急事態宣言の出る前日に新宿の某酒場で丁度この映画を観てきたミュージシャンの方と酒場のマスターの方が、この映画は凄い!と盛り上がっていたので慌てて最終日の本日観に行きました。
この映画には2人の女性の死が続けて描き出されます。一人は言うまでもなく44歳の若さでこの世を去った不世出のジャズシンガー、ビリー・ホリデイのものであり、もう一つは何とこのドキュメンタリーの大本となっている200時間を超える関係者へのインタビューを行ったジャーナリストのリンダ・リプナック・キュールさまでして、この死が自殺とは思えない程不自然なものであった事が存命中の妹さんから語られる下りは白眉ですし、また随所で挿入される「黒人差別の実態」も『グリーンブック』が表歴史ならこれは本当の意味での「黒歴史」とも言える生々しさがあって、1939年の時点であの名曲『奇妙な果実』を発表出来たし、その録音に対してのやり取りも収められております。

いやぁ、こんな映画こそネットフリックスあたりで配信して欲しい作品でありますし、自分のようなジャズ初心者にとっても入口となってくれる優れたドキュメンタリー映画でありました。


https://billie-movie.jp/

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