スニーカーぶる〜ちゅ

今、リスペクトしている有名人を１人あげろ、と言われれば、僕はＴＯＫＩＯのリーダー城島茂をあげる。
20年以上続く番組「鉄腕ダッシュ」で習得した様々な技術は、もはやどれを取っても職人クラスである。農業、漁業の知識は豊富だし、実戦で畑を作ったりする以外にも、そば打ちの技術や、味噌作り、豆腐作りも出来、クレーン操作まで出来る。
いまや、環境庁における海洋環境保全の会議に有識者として呼ばれるほどの知識を持ち合わせている。
この人の本職は、元ジャニーズのアイドルでありギタリストなのだが、いまや、農業、漁業をはじめとした多くの分野での職能者であり、本職のほうは「ギターも弾けます」くらいの程度になってしまっている。なのに、今、民謡番組の司会者をやっているが、そこで三味線に挑戦して、実際に地元の人たちに混ざって演奏し、そこそこのレベルになっているし、本当に何でもできる人である。
これだけいろいろ出来るのに、本人におごった様子はなく、何となく控え目なのだが、周りに慕われ、求心力が凄くある。
俺が俺が、と全面に出て行かないのに、番組をみていると城島を中心とした和ができている。「鉄腕ダッシュ」で、たまに仕事の都合で遅れてくる場合がある。その間、ジャニーズの若手とかメンバーの国分太一、番組スタッフなどがつないでいるのだが、城島が登場すると一気に場に安堵感がもたらされるのである。
三国志でいえば、劉備みたいなもんか。松岡なんか、いつも城島のことを気にしている感じで、もう城島のためなら死ねるくらいの愛を感じる時があるが、松岡は差し詰め趙雲か。

というわけで、城島の凄さはいずれ改めて書きたいと思うが、今日はそれがテーマではない。
ちょっと前になるが、マッチこと近藤真彦がジャニーズを退会し、それについて、東山紀之が珍しく批判的な発言をしたことが妙に気になっていた。
マッチはジャニーズ事務所の「長男」、東は「次男」という位置づけでずっと来たそうだが、遊び人で放蕩息子の長男に対し、責任感が強く真面目に仕事に打ち込み、組織全体のために身を粉にする次男、という構図を浮き彫りにして、マッチは散々批判されていた。
世間の目も相当厳しく、マッチなんざたまたまジャニーズ冬の時代に売れて、ジャニーズ事務所を救ったことでチヤホヤされ、ずっと勘違いの我侭アイドルだ、という目で見られている。
事務所からの援助でカーレースにうつつを抜かし、本業の芸能活動なんかおざなり、それでいて、ジャニーズの後輩にはでかい面していばっている、というようなイメージが定着してしまい（イメージというか真実だと思うが・・）、もう悪し様に言われまくりである。
僕は、そこまでか非難されるほどかー？？と思うんですけどねえ。。
昭和の、特に80年代のアイドルなんざ、一部を除けば多かれ少なかれあんなもんだったと思う。マッチは、たのきんトリオとして、田原俊彦、野村義男とともに売り出されていたが、トシちゃんは事務所を辞めて独自活動、よっちゃんは早々にアイドルに見切りをつけ、ギタリストとして地道に生きる道を選んだ。
対してマッチは、ジャニーズに残り続け、勘違いしたまま、かつての栄光だけを担保に、特段の努力をすることもなくでかい顔でのさばっていた。
そうやって勘違いして潰れていったアイドルなんか腐るほどいるだろう。マッチもそのうちの１人だが、ジャニーズというバックが大きく保護され続けてきた。
特に、東山との比較で言われることが多いのだが、東山は別格だと思う。
少年隊が終わった後も、俳優業やバライティ番組に全力投球をし、時にはジャニーズの後輩のために自らが全面にたって道を作ってきた感がある。仕事の量、質ともに最高の人なのは間違いない。
じゃあ、マッチが東と同じくらいの量・質で仕事をやれってのも酷な話ではあるまいか？
ちょっと売れちゃって一時代を風靡した、あとはその貯金で好きなことして生きるって選択肢もあるだろう。
自分たちに置き換えてみても、ある一時期に余生遊んで暮らせるくらいの収入を手にしてしまった、じゃあその後、その状態を継続するために頑張り続けるかっていうと、そうじゃなかろう。ほとんどの人が、無難にそこそこ遊んで暮らすようになるんじゃないか？
ただ、マッチが不幸だったのは、その後のジャニーズのレベルがどんどん上がっていったことだろう。
だいたい、光ＧＥＮＪＩくらいは、また勘違いアイドルで良かった。
その後にＳＭＡＰだのＴＯＫＩＯだのが出てきて、彼らは一気に仕事の質をあげてしまった。
そのため、後続の連中は、ただアイドルとしてチヤホヤされるだけじゃ済まなくなってしまった。歌やダンスにハイレベルな技術が求められるのみではなく、バラエティー番組などもうまくこなさなきゃいけない、司会やお笑いもドラマや映画も一定のレベルを求められる。
最初に書いた城島なんぞ、もう僕から見ればスーパーマンである。そのうちのどれか１つのスキルでも欲しいくらいなのに、多くのことを高いレベルでこなしている。もはや男として人間として、絶対にかなわない存在だな、と思う。年齢もほぼ一緒だし。

全体のレベルが底上げされちゃったので、マッチみたいのが結構目立ってしまうのかもしれないが、僕はそんなもんでいいんじゃないか、と思うんだけどなあ。
キラ星のようなスーパーマンは、観てても気持ちいいが、そんな人ばかりだと疲れてしまう。
ちょっと危うくていい加減な存在がいてもいい。勘違いお山の大将もそれはそれで愛嬌がある。マッチの人間性が好きか嫌いかは別として、そういうのも認めるおおらかさがあってもいいし、昭和の頃は、そういうおおらかさがまだあったように思う。
たのきんのよっちゃんなんかは、アイドルとしてはショボくて印象も薄かったが、ギタリストに特化してからは、安定した演奏技術で、そこかしこのミュージシャンのバックバンドなんかを勤めている。ギターオタクで、いろんなギターを蒐集している。体型も崩れて酒やけした顔とビール腹のようにふっくらしたお腹も、愛嬌があっていい。
他にとりえはないけど、ギター弾かせればなんでもござれ、ってのがいい。
なんでもかんでも、完璧を求めちゃ息が詰まってしまう。マッチは、明菜ちゃん問題に、不倫問題を抱えてて、女にだらしがないっていうのが良く分かるが、それも含めて愛嬌じゃないか？（明菜問題に関しては、かわいそうだなんだいう外野が多いが、当事者同士の問題について外野がピーチクパーチクいうのは余計なお世話以外の何物でもないと思う）
それに、散々批判する奴に言いたいんだが、マッチは少なくとも、80年代の10年間は確実にトップを走っていたアイドルである。僕も少年時代、あの誰でも歌えるような何のテクニックもいらないマッチの歌を胸ときめかせ聴いていた。その10年、日本のアイドル界のトップに君臨していただけでもたいしたもんじゃないか。
ちなみに、僕は好きか嫌いかといわれると、マッチは嫌いです。今、歌番組とかに出てくると興ざめでチャンネルかえちゃいます。が、それは個人の趣味の問題である。