mixiユーザー(id:6002189)

2021年03月30日15:03

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「五輪なんていらない」?

2013年に書いた記事です。

 11月10日にバイエルン州の一部で、2022年の冬季五輪の開催地に立候補するかどうかについて住民投票が行われたが、過半数を超える回答者が拒否した。(住民投票への参加率も約30%と非常に低かった)ドイツのスポーツ団体や州政府などが準備していた五輪誘致プロジェクトは、水の泡と消えた。
 私はこの投票結果を聞いて、熱狂的に五輪誘致を切望した東京都民とバイエルン市民たちの間に横たわる、人生観や価値観の大きな違いを感じた。
 冬季五輪が開催されれば、ミュンヘンを始めバイエルン地方を訪れる観光客が増え、地元経済が潤うことは確実だ。それなのに、バイエルン人たちは、なぜ「ノー」と言ったのだろうか。
 多くのバイエルン人たちが五輪誘致に反対した理由は、いくつかある。彼らは五輪開催によって、この地域の交通量が増え、バイエルン州の美しい自然環境が破壊されることを懸念していた。
 さらに、多くのドイツ人は国際オリンピック委員会(IOC)について、強い不信感を抱いている。オリンピックが開催地にもたらす経済効果は、大きい。このため今日、オリンピックの開催地選定には巨大な利権がからんでいる。その意味で開催地を決定するIOCは、大変な権力を持っている。ドイツ人の中には、「IOCは、透明性を欠いた一種のブラックボックス。ドイツはそのIOCを利するための冬季五輪選定レースに関わるべきではない」と考える人が少なくない。
 概して、ドイツ人は商業主義について批判的である。彼らは冬季五輪によって、バイエルン州南部が、現在以上に商業化されることを嫌ったのである。この地域は、アルプス山脈をのぞむ景勝地であり、人々が余暇を過ごすリゾート地としても知られている。
 東京で展開されたような熱狂的な五輪誘致キャンペーンは、バイエルンでは行われなかった。
 ミュンヘンの町は夜9時を過ぎると、人通りが大幅に減る。多くのレストランや飲み屋は、夜11時には閉店する。東京やパリ、ロンドンの賑やかさとは大違いだ。ミュンヘン、そしてバイエルン地方の人々は、静けさと現状維持が好きなのである。



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