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2021年02月23日23:14

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昭和歌謡曲論

エレカシの宮本浩次が、昨今ソロ活動で、昭和歌謡曲を歌っている。
沢田研二だとか、岩崎ヒロミ、松田聖子、中島みゆきなど(何故か女性が多い・・)、宮本が幼少期に流行った歌が主なのだが、宮本は僕より5つほど上で、遠からずとも近からず、僕が幼稚園くらいの時に、聴いた記憶のある歌が多い。多分、宮本が小学生くらいで一番歌謡曲にハマっていた時期のものがメインだろう。
確かに、僕もまた小学生の頃は歌謡曲だった。まあ流行歌というくらいだし、あの頃は歌番組も多かった。ザ・ベストテンなども良く見ていたし、日曜日は朝からずっと「今週のヒットチャート」みたいなラジオをずっと流していた記憶がある。
なもんで、自然とあの頃の歌は染みこんでいて、その中で特にお気に入りはシングル盤レコードなどを買ったりした。
僕の頃は、ちょうど80年アイドルが盛り上がりを見せる時期で、たのきんトリオやら松田聖子やらが好きだった。最初に兄貴と買いに行ったレコードが田原俊彦の「はっとしてGood」だったかなあ。
それ以外にも、「3年目の浮気」だとか「氷雨」「待つわ」「北酒場」など、ザ・歌謡曲のオンパレードだった。
今でもあの当時の歌謡曲は、カラオケがかかると大概歌えるんじゃないかなあ。当時はカラオケなどはまだない時代(厳密にはあったそうだが)だったけど、大人たちは鼻歌で歌謡曲を口ずさんでいた。酔っ払うと、みんなで合唱したり。
きっと宮本もあの頃の何ともいえない楽しさが刷り込まれているんだろう。エレカシというロックバンドの分野で成功を収めたので、余生は好きなことをやりたい、という意志が伝わってくる。

今、こういった歌謡曲というのは、一部の演歌を除いてほとんど見られなくなった。
流行歌というのも、レコードやCDの売上げから、ダウンロード配信に変わってきているので、何が流行っているのかというのもわかりにくくなっているという。
そのため、歌番組はあるにはあるが、みていてもどこの馬の骨かわからないミュージシャンとか、AKBの流れのアイドルグループとか、ジャニーズの何とかとか、そんなのばかりでイマイチ耳に入ってこない。
そんな僕ら中年世代−ある意味視聴者としてもっとも肥えている世代−を慮ってなのか、なつかしのナントカランキングみたいな昔の歌謡曲の映像を流す番組ばかりやっている。昭和を彩った○○とか。
ああいうのってたまにやるから、「おお!懐かしいな!」と思えるんだが、ああも毎週のようにやられちゃうとだんだん価値も下がってくる。「お宝映像公開!」とか言っても、毎週のようにどっかの局で同じ「お宝映像公開!」されても、みている側としてはだんだんお宝でもなんでもなくなってしまうのだが・・
まあそれはそれとして。
今時のJ−POPって楽曲的にかなりレベルが高いし、ジャニーズなんかも昔の「たのきん」なんかとは比べ物にならないほど歌もダンスもハイレベルだ。何より仕事への取り組み方が真摯だし好感が持てる。
AKBに代表する女子グループアイドルも、昔のおニャン子クラブやら、量産された80年代アイドルと比較すれば、物凄く芸達者だしグループ内での競争原理が働いているのか、「出来ない子」は駆逐されていき、年数が立つほどに練磨されていっている。
それに、Youtubeで自ら配信する者も増えてきて(そういうことが簡単に低コストで出来る時代になったのも大きいな)、昨日まで無名であった若者が、ネット世界の評判によってその才能を見出されるケースも出てきている。米津玄師などがその代表だろう。
今時は、おそらくそんじょそこらの素人が頑張っていますくらいのレベルでは、なかなか売れない。裾野が広くなり埋もれていた才能が発掘しやすくなった時代である。その中でさらに才能同士が磨きあい、音楽業界はかつてない繁栄を遂げているのではないだろうか?

それはそれで、否定する気は全くないどころか、むしろ今時の若者の能力には舌を巻いている。
だが、そんな中で、再び昭和歌謡曲を懐かしがる風潮も出てきている気がする。
宮本浩次が歌謡曲に回帰していったのも、なんとなくわかる気がするのだが、それは単なる僕ら昭和世代のノスタルジーのみではないだろう。
確かに、昔の歌謡曲は、今の音楽シーンと比較すると妙にショボく感じたりする。歌唱力はしっかりしているとは思うが・・
ただ、歌謡曲の良いところは、誰もが口ずさめるところじゃなかろうか?
つまり、日本語がハッキリしている。それと妙な生活感がある。女性歌手の歌が妙に妄想っぽい白馬の王子様症候群的なものもあるが、それさえもなんつーか、生活臭があったりするんだよね。乙女心、、ルンルン、、みたいな。
そういうのが、ひどく昭和世代には共鳴したりする。昭和世代というか、日本人的な心というのか・・
ザ・ベストテンが終わろうとしていた80年代後半くらいからかな。日本の歌謡曲は、ニューミュージックから派生したロックバンドに取って代わる時代が来た。
あの頃に、レベッカだとか、TMネットワークだとか、BOOWYだとか、そこら辺が乱立してくる。彼らのように自ら曲を作り、自ら演奏するというその姿に若者は憧れ、空前のバンドブームが沸き起こる。僕もそれに憧れた1人だった。エレファントカシマシなんかもその時代に出てきているので、同じような憧れを持っていたのだろう。
ただ、ロックバンド全盛になってくると、妙に歌の日本語がいい加減に、というかだらしないようになってきた気がする。
これは、ロックが英語圏で発生した音楽だから仕方ないのかもしれない。日本語が馴染まないから、だらしなく英語的に歌おうとした結果なのかもしれない。歌詞に妙に日本語と英語がブレンドされていたりして(「ひとりぼっちのロンリーナイト」とか「哀しみにあけくれたエブリデイ」とか)、なんだそりゃ?ってのばかり。
まあここら辺は、サザンオールスターズの桑田佳祐が随分苦労して、ロックに乗せやすい日本語発音を構築したんだそうだが。
ただ、80年代はまだ、ロックバンドでも日本語がハッキリしているバンドが多かった気がする。ブルーハーツだとか、それこそエレカシなんかももうド演歌と思えるほどコブシが効いていた。
ところが90年代に入ると、小室ファミリーの登場などで、そういった音楽が量産され、歌詞なんか全く聞き取れないし、共感も出来ないようなのばかり。その当時、小中学生だった人は、ちゃんと聞き取れていたんだろうけど、僕などはこの辺からついていけなくなる。
00年代、10年代になると、音楽は更なる進化を遂げ、一律ロック調のものばかりでなく、70年代フォークソングや歌謡曲を彷彿とさせるミュージシャンも程よくブレンドされ(しかもレベルを3つくらいあげて)、いまや日本の音楽界は最高潮の位置にいるのではないだろうか。

まあ自分が歳をとり、新しいものについていけなくなっているだけなんだろうな、というのを大前提として、正直にいって、「凄いんだけどお腹いっぱいです・・」というのがある。
やっぱり、気軽に口ずさめる昭和歌謡曲はいいなー、と感じてしまう。
今、そういった昭和歌謡曲の風味を残した歌番組って、NHKの谷原章介が司会を務めている「うたコン」くらいか。
新旧の歌謡曲をメインに番組構成をしているが、新しい人でも、昔っぽい歌謡曲がまだ作られていて歌っている人って結構いるんだ、って思うと妙に嬉しい。
なんて思うようになったのは、爺さんになってきているのかもねえ。
昭和ノスタルジーにいつまでも浸っていても仕方ないのかもしれないけど、やはりあの昭和の雰囲気が好きなんだよねえ。こりゃどうしようもない。
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