本音を言えば、最初の企画通り、「指輪」で統一して欲しかった。
大阪 ザ ・シンフォニーホール
第58回大阪国際フェスティバル2020
飯守泰次郎×関西フィル「ワーグナー特別演奏会」
飯守泰次郎指揮 関西フィルハーモニー管弦楽団
(コンサートマスター 岩谷 祐之)
[メゾ・ソプラノ]池田香織 ※
[バリトン]ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
リヒャルト・ワーグナー:
歌劇「タンホイザー」より 序曲/歌の殿堂のアリア(ソプラノ)/夕星の歌(バリトン)
楽劇「トリスタンとイゾルデ」より 前奏曲と愛の死(ソプラノ)
楽劇「ニーベルングの指環」
「ワルキューレ」より ワルキューレの騎行/ヴォータンの別れと魔の炎の音楽(バリトン)
「神々の黄昏」より ジークフリートの葬送行進曲/ブリュンヒルデの自己犠牲(ソプラノ)
後半の「指輪」抜粋の重厚長大な音楽が全て。そしてなんと言っても、ラデツキーさんの圧倒的な存在感。池田さんのこなれた歌唱の魅力。
前半の、「夕星の歌」も「愛の死」もよかったが、「指輪」の圧倒的な音楽の歩みの前には、残念ながら霞んでしまいますね。
飯守さんは、小刻みな歩行といい体調が万全とは言い難かったとは思うのだが、結局指揮している間は用意した椅子にも座らず、音楽に没入。そこから紡がれるのは、遅めのテンポで進む悠然たるワーグナーの音楽。
その恰幅の良い音楽を、え?と思うほどの重厚なブラスと渾身のストリングスで弾き切った関西フィルにも最高の賛辞を送りたい。これぞ、という音を出す編成は、パツパツにエキストラを入れた特別編成。そのサウンドに身を浸す快感と言ったらありません。
コロナに負けず参加した聴衆は、終演後にこの社会のストレスに晒される。でも、こんな日々だからこそ、こういう気晴らしがいるんだよ。
ワーグナーの音楽に、拍手。
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