下記は、2021.1.16 付の 産経抄 です。
記
日本が戦後、これほど国際社会の枠組み構築に積極的に関与し、大きな役割を果たしたことはあっただろうか。米ホワイトハウスが公開したトランプ政権のインド太平洋戦略に関する機密文書と、付随して出たオブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の声明に対する感想である。
▼特に「自由で開かれたインド太平洋」と題された声明は、トランプ大統領が米戦略として取り入れたこの構想が、安倍晋三前首相により最初に提唱されたことを明記している。安倍氏が第1次政権時の2007年にまずインドで、16年にはケニアで訴えた時系列にまで言及する。
▼「トランプ大統領は17年にベトナムで、安倍首相のビジョンをもとに自由で開かれたインド太平洋構想を呼びかけた」。米国の公式文書が、中国をにらんだ自国の安全保障戦略の中核戦略が、日本発の概念であることを鮮明にするのも異例だろう。
▼安倍氏が昨年12月、トランプ大統領から日本の歴代首相として初めて米最高位の勲章「レジオン・オブ・メリット」を贈られたのも、構想への「指導力とビジョン」が理由だった。構想はインド、オーストラリアも導入し、地域の安全保障に大きく貢献している。
▼15日終了の小紙連載「自由 強権」は、中国の覇権主義に対抗する国際秩序づくりへの課題を取り上げた。新たな専制国家にどう立ち向かうか、民主主義陣営の底力が試される。バイデン政権誕生後の米国がふらつくことがあれば、日本がリーダーシップを発揮しなければならない。
▼世界はめまぐるしく動く。18日召集の通常国会では、揚げ足取りや醜聞追及だけではない真摯(しんし)な議論が見たい。とはいえ主だった質問者の顔ぶれを思うと、高望みだろうかとため息をつく。
https://special.sankei.com/f/sankeisyo/article/20210116/0001.html
ログインしてコメントを確認・投稿する