音質は一つ前の日記のとおりです。
コロナ禍で全国でも数箇所が限度となったYAMAHAの新作ハイエンドスピーカー、NS-3000です。
EUなどですでに半年前に発表されたのは、スピーカーで聴くホームオーディオの普及率がEUは20%に対して、日本はたった4%というのもあるのでしょう。
マーケットとして、日本はホームオーディオとして魅力ない市場なのでしょう。
防音できない、過密な住環境などからスピーカー再生には辛い日本の住宅事情と、石造り、鉄筋、それも隣との壁もしっかりで防音能力が高いのが普通のEUの住宅事情の違いも大きいと思われます。
以下、おそらくオーディオ雑誌にもカタログにも出てこない技術や内部構造を紹介出来ると思います。
推測も含んだ考察なので、ご了承ください。
プレーヤーとソフトはすべてアナログ。予想したとおり、この試聴ソフトにはレコードを持参して正解でした。かなり売れているというGT-5000です。
プリアンプ、パワーアンプも同社の5000番。
デジタルプレーヤーは並べてあるだけで、全く使われませんでした。
ケーブルは今回のNS-3000の内部配線材、特殊な叩いて伸ばす鍛造法の導体PC-Triple Cと同じ、SAECさんのものです。
となると、音場能力も楽しみです。
ユニットはローもハイも同じ、防弾チョッキや自転車ホイールなどにも使われるザイロンという日本メーカーが開発した繊維です。
このおかげで、ピアノ鍵盤の真ん中から左も右も基音から音色を統一できてまとまりのあるフルレンジのような音が実現出来たそうです。
NS-3000の内部構造のカットモデルがあってわかりやすかったです。
おいしい音楽成分を吸音するのを避けたという吸音材はほとんどありません。
ツイーター背後の消音器は先日の99%の背面音を消すという最新のKEFの消音器「META」を連想します。
その他、真四角の箱のトラディショナルに見えながら、消音器、レゾネーターなどで内部フラッターエコーや定在波を低減は昭和の同社の1000シリーズ、2000シリーズにはなかった技術ですね。
ネットワーク素子。
欧米のハイエンドスピーカーに多く採用されている、ドイツ、ムンドルフなどのフィルムコンデンサーなど高級品が充てがわれています。うちのソナス、アマティもやはりコンデンサーはムンドルフです。
配線は基板を使わない空中配線。たまたま借りているコニサーの3D空中手配線のプリアンプを連想します。
ウーハーを詳細に観察すると、小さな黒い小片が多数裏に貼られています。
解説の井上さんによると、同社にはレーザー?で振動板の共振を可視化できる装置があって、共振部分が赤く描かれるそうです。
それを見ながら徹底的に共振を消していったそうです。
たしか箱自体の振動解析もそうでしたね。
そうしないと、クラシックの女性のベルカント唱法などでのfffで共振によってメタリックになる部分が発生するからとか。
マリア・カラスなどのCDで、特に昔のホーンスピーカーで発生しがちな、高い音程の強唱で急に耳に刺さるメタリックな音になるものがあるのはこれですね。
マグネットはこのサイズでいいのか聞かれるそうです。
これ以上のサイズにするとオーバーダンピングとなって、ローエンド再生に向けて難が出るとか。
リアバスレフに見えますが、バスレフで低域を伸ばす発想はないそうです。
エア抜きの目的がメインだそうで、意図はわかります。
井上さんがくしくも、「無理に伸ばした低音は避けた」とおり、共鳴、共振を嫌う開発からは、バスレフや共鳴管などで無理に伸ばした低音は、膨らんで、尾を引いて、滲んで、最悪音程もわからなくなる、弾まない低音だからです。
よく書く、ドラムやベースのリズム隊からは許容し難い低音楽器の再生音を楽器メーカー併設となれば避けたくなるのは当然でしょう。
開発
以下は推測も含めた、スピーカーの開発や展開がYAMAHAはこなれていないことです。
各社の上位シリーズを見てみると
例えばソナスの愛用のトラディションシリーズ。
一気に小型2ウェイから比較的大型のフロアタイプまで同時展開、同時発売です。
B&W800シリーズ
DYNAUDIOのコンフィデンスシリーズ
モニターオーディオのブロンズシリーズ、プラチナシリーズなども同様です。
こうすると、JBL4343時代からの日本オーディオマニアの弱点の何でもシリーズトップモデルを入れたがるのと異なり、クオリティは変わらない同じシリーズの中から、部屋サイズに合わせた適正サイズのものを選べますね(そのためのサイズ違いですから)。
7chなどのAV環境も構築しやすいですし。
これらスピーカー開発がシステマチックなメーカーとはYAMAHAは異なるよう。
だから5000シリーズ、3000シリーズでAVを展開するのは苦労しますし、大中小と多くのシリーズ展開は難しそうです。
ソナスも昔のフランコ・セルブリン時代は同じオマージュシリーズは、使ったガルネリオマージュを開発して、数年を経て、アマティ・オマージュ、そうして数年してストラディバリウス・オマージュが開発。
こんな方法がYAMAHAのようです。
今はミッドとツイーターに見える上の2ウェイで可聴帯域のほとんどを再生して、下の1個〜数個のウーハーは300Hz以下のサブウーハー帯域を中心に。
開発では、上の2ウェイ部分を完璧に開発してしまえば、そのままウーハーを小改良して下を伸ばして小型2ウェイ(ガルネリ、805など)。
下はサイズごとに大小のウーハー(サブウーハー)を足せば、大型機(アマティ、800など)。
YAMAHAは5000とは別に3000開発だそうですから、1から音造りとなって時間がかかっていますね。
たまたま同一価格帯の好きなDYNAUDIOの新シリーズとなったコンターシリーズから30が1Fで鳴っていました。
自分には懐石料理のように時間をかけて精緻に仕上げていくものより、中華のように上湯スープをベースに、ハイスピードで様々な料理を展開する上記大小シリーズの開発モノの方が好きです。
これは今のホーンスピーカーをマルチアンプとチャンネルデバイダーで構築していた時代。
ミッドをフルレンジで鳴らして、嫌なローとハイが出ないギリギリで上下をカットして、あとはハイとローをミッドに合わせて、実際の楽器や声の音色に違和感がないように音圧と位相などを揃える方法で簡単に調整した方法に近いかもしれません。
いずれにしても欧米でこれは売られていますし、TADも海外での評価が高いですね。
SONYかないまるさんが書かれている、昭和の国産各社3ウェイは海外では「故障している音響(特にボヤボヤのローとキンキンのハイ)」と呼ばれた時代もあったそうです。
これを脱して、日本からも鳴り物のスピーカーがこうしてハイエンド領域まで輸出出来るのは喜ばしいことで、頑張って欲しいですね。
長文になってしまいました。お付き合いありがとうざいます。
一部撮影忘れがありますが、当日使われたレコードです。
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