出演者(敬称略)
神戸市立小磯記念美術館学芸員：多田羅珠希
総合プロデューサー：南出 卓
バタバタして書けていなかった。配信された10月18日(日)は朝から収録されたＴＶ番組
そしてオンラインイベントが複数と奇妙な一日であった。イベントと云うノーマルでは
ないものをノーマルに押し込もうとしてアブノーマルになった感。閑話休題。
今回のトークショーのテーマは上杜会なのであるが、これは上野の杜という意味で、
東京美術学校の卒業生が定期的に催していた展覧会である。上杜会メンバーは昭和２年
の卒業で、昭和元年は１週間程しかないから実質の初年。
つまり昭和時代と、ほぼ重なる事になるので「昭和を生きた洋画家たち」と副題された。
令和になって２年目、昭和は遠くになりにけり、という感であるが昭和生まれの端くれ故
思う所もある。
話の順序が逆になったが今回は上杜会第９回に出展された『着物の女』で、これは
マンスリーコンサートＮｏ.４でも取り上げられた、との事。原則として同じ絵を複数回
登場させない本公演では珍しい。これは本美術館開館の1992年から所蔵されている作品
である。実は大きな問題意識を持って昭和初期のモダニズムを見ているのであるが、
『着物の女』の着物は伝統的な柄ではなく、フランス国旗を思わせるような青白赤の
３色、モダンな柄である。私は『着物の女』はクラシカルな作品だと思っていた
けれども実は新古典主義な作品であった。
今回出展されている猪熊弦一郎の話が出て来たが、猪熊の作品として紹介された
『臥上坐婦』は作風がとてもモダンである。しかし、これも着物を着た女性がモデル
である。しかし海岸線で伏している画面、どこか奇異である。これもまた異なる角度
からの新古典主義と私は捉えた。今回は『臥上坐婦』は出展されていない。
ところで猪熊弦一郎は香川県の出身というプロフィールを聞いて多田羅さんは香川県
の出身であったよな、と思い起こす。伺うと丸亀高校の大先輩に当たる、との事。
丸亀高校では猪熊の絵画がデザインされた体操着が使われていた、との事。瀟洒。
(つづく)
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