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2020年11月07日10:46

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11/4(水) さん喬 双つ玉 @ 浅草見番

去年も伺った落語会。50人入るかどうかという和室で師匠の噺を間近で聴くという、贅沢なひとときです。

子ほめ (春風亭枝次; 開口一番)
お藤松五郎 (柳家さん喬)
- 仲入り -
鴻池の犬 (柳家さん喬)

二席ともネタ出しで、「お藤松五郎」はなんと初演。といっても私は題名すら知らなかったのですが、三遊亭圓生師匠の持ちネタだったようですね。情話の大ネタでありました。序〜中盤のあらすじを書いておきます。

お藤は母親と二人で、両国の水茶屋を切り盛りしている。世間には知られていないが、今は亡き父親が患ったときにできた借金がもとで、娘は横山町の道具屋、万屋清三郎にかこわれた身だった。

そんな彼女の境遇を母親は嘆く。「評判の器量良しで、お前見たさに店へ通う客も多いというのに、あんな年の離れた男の相手をしながら、これからも月日を過ごしていくなんて」と。

そんな母親の言う「よく来る客」の一人に、お藤の幼馴染みで三味線弾きの松五郎がいた。「あの人とはどうなんだ」と母に水を向けられるうちに当の本人もその気になり、いつしか二人は「今の旦那とは縁切りを願い出て、一緒になろう」と誓いあうようになる。ところが行き違いがあって、固く逢う約束をした料理屋に、なぜか来ないお藤。先に来ていた松五郎は焦り...。

と、あらすじはここまで。「お藤松五郎」は母親が娘の不憫さを口にしてから、だんだん盛り上がっていき、すれ違いから逢えないもどかしさで最高潮に達します。が、その後は一転して、思いもよらない血なまぐさい展開となるという。詳細は省きますが、この演目には「今戸五人切」という別題もある、といえば雰囲気は分かるのではないかと。

情話の部分は素晴らしく、特に「なぜ二人が逢えなくなっているのか」は、発想が秀逸です。それに今回は演者がさん喬師匠ですから、聴いてる我々は、後はもう物語の世界に浸りながら愉しむだけでした。けど、刃傷沙汰の後味悪さをどう捉えれば良いかなぁ、うーん。演じられる機会が少ないのも、その辺りに理由があるのではないかと。

もう一席「鴻池の犬」は、主人公が犬。さん喬師匠のを前にも聴いたことがありますが、いい噺です。なんたって旅モノです。

人間界の作法をあまりよく分からないながらも、楽しみながら旅する犬達の様子って、人が異国を旅するときの姿に似てるんですよね。それに、いくぶん寂寥感が漂っているのも、一人旅の孤独さに通じるものがあって、私は大好きです。異色作には違いないですが、キワモノではありません。
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