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2020年10月02日13:55

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バガヴァッド・ギーターの世界 1

上村勝彦「バガヴァッド・ギーターの世界」は、バガヴァッド・ギーター(ギーター)をわかりやすく解説していますので、参考にしながらまとめていきたいとおもいますん。なお、ギーターの翻訳文は、田中嫺玉「神の詩=バガヴァッド・ギーター 」による場合は(田中訳)、上村勝彦「バガヴァッド・ギーター」による場合は(上村訳)とします。


<アルジュナの苦悩>

ギーターの第1章と第2章は「バガヴァッド」(尊者、世尊)と呼ばれる賢者クリシュナが、バーンダヴァの英雄アルジュナに教えを説くことになったいきさつが語られています。
いよいよ合戦が始まったとき、勇士アルジュナは、戦うべき相手を求めて敵軍を見渡して。そこに大勢の親類や友人たちや、自分の師と仰ぐ人々が立っているのを見て、非常に悲しみます。沈みこんで、御者をしてくれていた親友クリシュナ(実は最高神の化身)に次のように告げます。


第1章
(田中訳)
28.アルジュナの言葉。「おおクリシュナよ。血縁の人々が敵意を燃やし、私の目に前で戦おうとしている
のを見ると、手足はふるえ、口はカラカラに渇く。
29.からだのすみずみまで震えおののき、髪の毛は逆立ち、愛弓ガーンディヴァは手から滑り落ち、全身の皮膚は燃えるようです。
30.大地に立つこともできず、心はよろめき、気は狂いそう・・・・。おお,クリシュナ。私は不吉な前兆しか見えません。
31.血縁の人々を殺して、いったい何の益があるのでしょうか。我が愛するクリシュナよ、私は勝利も領土も幸福も欲しくない。
(上村訳)
32.クリシュナよ、私は勝利を望まない。王国や幸福をも望まない。ゴーヴィンダよ、私にとって王国が何になる。享楽や生命が何になる。


そういってアルジュナは、弓矢を投げ捨てて、悲しみに心乱れ、戦車の座席に座りこんでしまいます。
ここで「ギーター」の第1章は終わります。アルジュナは、敵側にいる自分の師匠や親族の人々を殺すまでして生き延びたいとは望まないと告げ、クリシュナに、迷っている自分を教え導いてほしいと頼みます。そして「自分は戦わない」といって沈黙してしみます。

<個人の中心主体>
それに対して、クリシュナは微笑して次のように答えます。これからクリシュナの教えが始まるのです。


第2章
(田中訳)
11.至上者(バガヴァーン)クリシュナの言葉
「君は博識なことを話すが、悲しむ値打ちのないことを嘆いている。真理を学んだ賢い人は、聖者のためにも死者のためにも悲しまない。
12.わたしも君も、ここにいる全ての人々も、かって存在しなかったことはなく.将来存在しなくなることもない。始めなく終わりなく永遠に存在しているのだ。
13.肉体をまとった魂は、幼年、青年を過ごして老年に達し、捨身して直ぐ他の体に移るが、自性を知る魂はこの変化を平然と見る。
14.クンティーの息子よ。寒暑、苦楽は夏冬(きせつ)のめぐる如く去来するが、全て感覚の一時的作用にすぎない。アルジュナよ、それに乱されず耐えることを学べ。
15.アルジュナ、人類の中で最も優れた男よ。幸福と不幸に心を乱さず、常に泰然として動かぬものこそ、大いなる自由を得るにふさわしい。


実は、我々を成り立たせている個人の中心主体(個我)があって、それは過去・現在・未来にわたって永遠に存在しているからです。ある肉体を得たその個人の中心主体は、少年期、青年期、老年期を経て、死後に他の肉体に移ります。これが輪廻の主体であると考えられています。その個人の主体が肉体を得るということは、物質と接触するということになり、我々は、寒暑や苦楽を経験することになります。人間はそれに耐えなければいけない、とクリシュナは教えています。

物質との接触に苦しめられない人、つまり苦楽を平等、同一のものと見る賢者は生死を解脱することができるとされます。実はこれが「ギーター」のテーマなのです。

個人の中心主体は、霊魂のようなものと考えてよいでしょう。これらは特定の肉体と結ばれている間は個人主体(個我)デスが、同時にそれは『全世界を遍く満たすもの』(2・17)と見なされております。
このことからわかるように、我々の肉体は有限ですが、個人の中心主体は不滅であるといわれます。

(田中訳)
20.魂にとっては誕生もなく死もなく、元初より存在して永遠に在りつづけ、肉体は殺され朽ち滅びるとも、彼は常住にして不壊不滅である。


個人の中心主体は決して生まれたり、死んだりしません。決して生まれないとは、永遠の過去から存在してきたということです。


22.人が古くなった衣服を脱ぎ捨てて、新しい別の服に着替えるように、魂は使い古した肉体を脱ぎ捨てて、次々に新しい肉体を着るのだ。


ちょうど、古い衣服を捨てて新しい衣服を着るのと同じように、個人の中心主体は古い身体を捨てて他の新しい身体に移ります。これが輪廻する主体です。

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