mixiユーザー(id:5456296)

2020年08月10日14:56

3 view

石平さん「日本人」の心意気 論説顧問・斎藤勉

 下記は、2020.8.9 付の【日曜に書く】です。

                 記

 本紙の人気コラム「China Watch」でお馴染(なじ)みの石平氏(58)から約20年前、初めて頂戴した電話で原稿の売り込みを断ってしまったことがある。だいぶたっての酒席で、失礼を承知で「あの時はお若く、日本語も怪しかったので中国のその筋系(スパイ)かなと思ったんですよ」と白状すると、「そうだったんですか。ガハハッ」と豪快に笑い飛ばされた。

 来日して32年、日本に帰化して13年。日本人女性と結婚していまや日本語も完璧。祖国の習近平・中国共産党独裁体制を斬って捨てた著作は数知れず、テレビ、ネットでも大活躍だ。時あたかも香港国家安全維持法が導入され、「米中全面対決」の新局面を迎えている。

 そんな7月上旬、石平氏が異色の著書を上梓(じょうし)した。『石平の眼 日本の風景と美』(ワック)。来日以来、列島の春夏秋冬、東西南北を旅して自ら撮った風景写真100枚以上を散りばめたフォトエッセー集だ。日本の花鳥風月や神社仏閣、城郭などをめぐるうち、「気がついたら、…ひとかどの『風流人』となっていた」のだとか。中国批判同様、鋭い視座からの写真と風雅な文章からは日本人以上に日本人になった心意気が感じ取れる。

中国大陸に夢を託すな

 感動して電話すると、「日本文化論が書きたかった」と語ったが、そこは名うての中国評論家。日本の美に浸りつつも、米中対決の狭間(はざま)で中国に領土を脅かされる新しい母国・日本の進路への深い思いを披瀝(ひれき)している。「残念ながら、中国は『海洋強国建設』というスローガンの下、海での拡張を始め、東シナ海や南シナ海を含むアジアの海を制覇しようとしている」と断じ、「この日本の美しい豊饒(ほうじょう)の海をいかにして守り抜くのか、列島と国民の生命・生活をいかに守っていくのか。黒船来航以来の大問題は再び、浮上してきている」と指摘する。

 日本にとって悩ましいのは中国との距離感だろうが、「日本は中国に深入りするな」と明言する。豊臣秀吉は朝鮮出兵で中国大陸制覇に「人生最後の夢を託し」て豊臣家破滅の遠因をつくり、三百数十年後、日中戦争の泥沼にはまって対米開戦に踏み切らざるを得なくなり、「結果は、大日本帝国の破滅であった。歴史の教訓から日本人と日本国は中国大陸に夢を託してはならない」。親中、媚中(びちゅう)の輩(やから)には耳の痛い警告だろう。

漢心は物事の虚飾化

 「脱中国化」に貢献した先人として石平氏は平安時代の漢詩人・菅原道真と江戸時代の国学者・本居宣長を引く。道真は「中国文化の愛好者であっても、『中国かぶれ』ではなく」、遣唐使中止を進言して優雅な「国風文化」を大きく開花させた。宣長は「『からごころ=漢意』とは物事を虚飾化したり、屁理屈をこねて何かを正当化したりする中国的なものの考え方で、日本の精神文化を汚染してきた」「日本人が完全に取り戻すべきなのは、漢心とは対極にある大和心である」と説いた。

 江戸時代、平和が長く続いて城が軍事施設としての役割と存在意義を失っていったことに触れ、「(それでも)城には常に武器・兵糧の類いが備蓄されて籠城戦の準備が整えられていた。…平和は戦争への備えによって守られているというのは、その時代の常識だろう」

民主国家になれば…

 日中両国で広く読まれてほしい本だが、おっと用心。習氏が日本の風光明媚(めいび)な数々の写真を見て「尖閣諸島を奪ったあとは、これもあれも分捕ってしまえ」などと、一段と邪心をかき立てられてはたまらない。

 そんな習氏に対し、「香港国安法で完全に一線を越え、米英などを敵に回してしまった。香港在住者以外にも適用されるので、私はいまや立派な犯罪者ですよ。コロナで世界中に大迷惑をかけてお詫びもしなければ、長江の大洪水の現場にも行かない。国民がどうなろうと知ったことではないという態度だ。国賓招待なんてもってのほか」と電話でも憤懣(ふんまん)をぶちまけた。

 日本の美や皇室の尊さにも心酔したという石平氏だが、新著では望郷の念も吐露している。「私は今、精神的にも日本人になりきろうとしているが、やはり『ふるさと』を変えることはできない。祖父母が私を育ててくれたあの四川省の小さな山村だ。もしいつか中国が穏やかな民主主義国家にでもなれば、私が元気なうちに再び、ふるさとに帰省することもできようが」。そんな「民主国家」になれば「国賓熱烈歓迎」ですよ。習近平さん。

(さいとう つとむ)

 https://www.sankei.com/column/news/200809/clm2008090004-n1.html
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する