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2020年08月06日17:49

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西遊妖猿伝

7月20日に、諸星大二郎の『西遊妖猿伝』の最新刊が5年ぶりに出たので買って読みました。

いよいよ、牛魔王が出る「火焔山の章」はじまりはじまり〜!新キャラに加えて今までの主要人物も続々合流して、ブランクを感じさせない面白さです。
最強クラスの羅刹女も、また出るかな?

『西遊妖猿伝』は諸星大二郎が西遊記を換骨奪胎して、よりハードで人間の歴史に寄った設定に組み直した作品です。当時の中国やシルクロード、中央アジアの文化や歴史、風俗への造詣が深い、正に諸星ワールド全開!

この漫画なんと1983年から連載開始して、途中何度も中断してまだたぶん玄奘三蔵の行程の半分ぐらい…。天竺編までやると言ってるのですが、諸星御大もう71歳だけどちゃんと完結を拝めるのだろうか。。。

長く連載してるのでその時々の諸星大二郎の作風が反映されているのですが、「大唐編」前半は初期の諸星作品『マッドメン』、『暗黒神話』などに通じる息詰まる人間の宿命との対峙が描かれていて深く残酷。
「大唐編」後半(河西回廊編)は冒険活劇としてケレンミが強くなりますが、河西回廊の光景が変化に乏しくてちょっと辛い。
現在の「西域編」はシルクロードなので、多彩な民族が交差する異国情緒が楽しい。『栞と紙魚子』シリーズみたいなコミカルで軽妙な展開が増えました。沙悟浄が「西域篇」でやっと登場するのですが、渋い苦労人で好きなキャラです。

ただやっぱり初期の「人は自分の運命を変えられるか」というテーマが物凄く求心力があるので、天竺編では主人公の悟空がもう一度、圧政の犠牲となった民の怨嗟の拠り所になってしまう、という自分のカルマと対峙して答えを出す結末を期待しています。
つか、ちゃんと完結させてえな!
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