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2020年07月21日09:26

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6月の読書日記 図書館の本

 何日も雨が続いている。梅雨明けがまだのようで、暑中見舞いを書く気になれない。
◯隠居すごろく(KADOKAWA)  西條 奈加 著:巣鴨で六代続く糸問屋の嶋屋。店主の徳兵衛は、三十三年の働きに終止符を打ち、還暦を機に隠居生活に入った。人生を双六にたとえれば、隠居は「上がり」のようなものと思っていた。ところが孫の千代太が隠居家を訪れたことで、静かな生活は激変する。千代太が連れてくる数々の「厄介事」に、徳兵衛はてんてこまいの日々を送るが、仕事一筋で風流趣味などのない徳兵衛にとって、それはそれで充実した日々となった。最初は厄介ごとに苛立つ徳兵衛が、その中に自分の立ち位置を見つけて行くところがいい。したたかな奥さんや下女も、なんだかんだ言って、徳兵衛のことが嫌いじゃないんだとおもう。いい感じのリタイアライフ。いつまでも仕事いしがみついて老害になっているおじさんは見習うように。
◯老父よ帰れ帰れ (朝日新聞出版)久坂部羊 著:45歳の好太郎は老人ホームから認知症の父を自宅に引き取ることにした。それはとある講演を聞いて目覚めたからだが、思うようにはいかない。好太郎は、何とか自分の名前を呼んでもらいたいのだが、他の人の名前は読んでも彼の名前は出て来ないボケーっとした顔いろいろ勉強して真面目に取り組めば取り組むほど予想外の事が起こる。私は、92歳の母が自立していてくれるだけで有難いことと思っている。仕事で出会った認知症の患者さん、一見普通に見えても異なる世界で生きていた。
◯悪の五輪(講談社)月村 了衛 著:映画『東京オリンピック』の監督が市川に決まる前夜の物語。ヤクザの人見稀郎は中堅監督の錦田欣明を後任へねじ込もうと悪戦苦闘する。彼が出会うのは、若き日の若松孝二や大映社長の永田雅一、伝説のヤクザ・花形敬、果てには児玉誉志夫までもが登場する。今でもそうだが、「オリンピック」の名の下に巨大な利権が誕生し、それに人々は群がる。懐かしい昭和の雰囲気がある。
◯最後の旋律最後の旋律―87分署シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)エド マクベイン著, 山本 博翻訳:87分署シリーズの最後の作。人に恨まれたりしなさそうな、そして何の関連もなさそうな人が次々に殺されてゆく。解決のカギは意外なところにある。実質的に最後になった作品だが、まとめに入ることもなく終わっている。主人公ともいうべきキャレラとマイヤーの掛け合いが楽しい。
◯残念な万葉集ざんねんな万葉集 (明日香新社) 岡本 梨奈著, 雪路 凹子イラスト:教科書などには載せられない万葉集の数々。「息の緒に 我は思へど 人目多みこそ 吹く風に あらばしばしば 逢ふべきものを」というのは「君のこと好きだよ。だけど二人でいるのは見られたくないんだ」という今も昔もよくある勝手な野郎の歌。「なかなかに 黙もあらましを 何すとか 相見そめけむ 遂げざらまくに」ていうのは、「ちょっと間違えてくどいちゃったのに、まとわりつかれてうっとおしい」なんてね、今も昔も変わらないこと。なんていうのが美男美女のイラストとともに提供されている。進歩のない人間あせあせ



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