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2020年07月17日01:23

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クラスター


欧州コロナ通信 324回 2020年7月16日

6月24日に書いた記事です。

ドイツで初の地域ロックダウン
クラスター増加と第2波への不安
 
 パンデミックの第1波を乗り越えて、日常生活を取り戻しつつあるドイツ社会に、冷水を浴びせるような出来事が起きた。

*ギュータースローなどに再び接触制限令

 ノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州政府は、6月23日に同州の北東部のギュータースローなどで新型コロナウイルス感染者数が増加したため、2つの郡に接触・外出制限令を施行した。

メルケル政権が5月にロックダウンを緩和して以来、特定の地域に限定した接触・外出制限令が発布されたのは初めて。

 ギュータースローとヴァ―レンドルフ郡では1週間にわたり、屋内でのイベントやスポーツ、バーや映画館の営業が禁止された他、家族を除いて2人以上の市民が集うことも禁じられた。

(ただしレストランは、最低距離の順守などを条件に営業が許された)

これらの郡に住む約64万人の市民は、住んでいる地域から出ないように要請された。
 集団感染(クラスター)の発生は、他州でも「ウイルスが持ち込まれるのではないか」という不安を引き起こしている。

たとえばシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州政府は、「ギュータースローとヴァ―レンドルフ郡の市民がバカンスなどのために入境した場合、2週間の隔離を命じる」と発表した。

またメクレンブルク・フォアポンメルン州のある島のホテル経営者は、ギュータースローからやってきた観光客の滞在を拒否して追い返した。

不安を抱く気持ちは理解できるが、これは他州の市民への偏見と差別である。

*ロックダウンを躊躇した州首相

 クラスターが見つかったのは、約7000人が働くギュータースローのテニエス社の食肉加工場。

6月24日の時点で1553人がウイルスに感染した。

NRW州政府は連邦軍の支援も受けて、従業員と家族全員にPCR検査を行っている。

政府は作業場での労働条件などについて、厳しく調査する方針だ。

 ギュータースローの保健所が食肉加工場で最初の感染者を確認したのは、6月17日。

同郡はこの日に学校や託児所を閉鎖した。

 NRW州のアルミン・ラシェット首相(キリスト教民主同盟・CDU)は当初、「食肉加工場を除けば、感染者の数はそれほど多くない」として、この郡でのロックダウンを躊躇した。

 しかし5月にメルケル政権は、「直近1週間の新規感染者の数が、人口10万人あたり50人を超えた場合には地域的なロックダウンを再開する」という方針を打ち出していた。

ロベルト・コッホ研究所(RKI)によると、6月23日の時点でギュータースローの直近1週間の新規感染者数は10万人あたり約270人。ヴァ―レンドルフでは66人だった。

つまりこれらの郡の新規感染者数は、連邦政府が取り決めた「非常ブレーキ」の基準を超えていた。

このためラシェット首相も地域的なロックダウンに踏み切らざるを得なかった。

野党の社会民主党(SPD)や緑の党は、「ラシェット首相のコロナ対策は出足が鈍い」と批判していた。

 ラシェット首相はドイツの16人の州政府首相の中で、最もロックダウンに批判的な政治家の1人だった。

4月14日には「ロックダウンは、経済に大きな損害を与える。封鎖措置を段階的に緩和していくべきだ」と述べ、連邦政府に迅速に出口戦略を示すよう強く求めていた。

ロックダウン消極派のラシェット首相も、今回は方針を変えざるを得なかった。

*他州でもクラスター発生

 クラスターは他の地域でも見つかっている。

ニーダーザクセン州のゲッティンゲンの高層住宅では100人を超える住民がウイルスに感染し、約700人が隔離された。

ベルリンのノイケルン地区やフリードリヒスハイン地区の集合住宅、ニーダーザクセン州のヴィルデスハウゼンの食肉加工場でも、集団感染が起きている。

 政府は、感染速度を推定する目安として、実効再生産数(R)という数値を使う。

Rが1ということは、1人の感染者が1人に感染させることを意味する。

ウイルスが猛威を振るっていた今年3月10日頃にはドイツのRは3.3だった。

その後ロックダウンによって、3月下旬から約3ヶ月にわたってRは1前後で推移していた。

先月は一時Rが0.7まで下がり、イェンツ・シュパーン保健大臣は「ウイルスを制御できるようになった」と発言していた。

だがギュータースローなどのクラスターのために、6月22日にはRが2.88まで急上昇した。これは、ドイツ社会に対する警戒信号である。

*「第2波に備えて警戒態勢の強化を」

 ベルリン・シャリテ医科大学病院のクリスティアン・ドロステン教授は「我々が知らない間に、ウイルスが拡大している可能性がある。ウイルスがクラスターが起きている地域から別の地域へ広がらないようにすることが重要だ」と述べた。

さらに教授は「1ヶ月後の状況について、私は楽観的になれない。いま警戒態勢を強めないと、2ヶ月後にウイルスが広範囲に拡大するかもしれない」と語り、秋から冬にかけて第2波が到来する可能性を示唆した。

 RKIのロター・ヴィーラ―所長も「ウイルスが消えたわけではないので、今後も局地的なクラスターがあちこちで発生するだろう。警戒を怠らずに、最低距離やマスク着用などの規則を守らなくてはならない。これが今後数ヶ月にわたって続く、新しい日常となる。第2波を防げるかどうかは、私たち1人1人の責任ある行動にかかっている」と述べ、パンデミックについて過度に楽観的にならないよう戒めた。

 6月に入ってオフィスでの仕事を再開したり、バカンス旅行を計画したりする市民が増えた。

コンサートが部分的に再開されるなど、町は活気を取り戻しつつある。

クラスターの不安に怯えて萎縮する必要はない。

だがワクチンが開発されない限り、人類が油断するとウイルスが襲いかかる可能性があることを、頭の片隅に置いて行動する必要がある。
 

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