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2020年06月19日23:37

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【天文】21日は部分日食

★皆さん、もう知ってる人もいると思うけど、21日の夕方、16時から18時にかけては「部分日食」ですぞ! 久しぶりに(そうでもないか?)、今日はガッツリ天文の話を。

★今回の日食は、アラビア半島〜北インド〜台湾にかけて見られる「金環日食」に付随して見られる部分日食。金環日食というのは、普通なら月が太陽とぴったり重なって太陽を完全に隠す「皆既日食」になるところが、たまたま月が地球から遠いところで重なるため地球から見た月の大きさが若干小さく、そのために太陽が月からはみ出して環状に見える、という日食であります。皆既日食にしろ金環日食にしろ、地球上でそれが見られるのは影の真ん中にあるごく限られた帯状の地域。影の中心からずれた広い範囲では太陽と月がちょっとズレて重なるので、太陽の一部だけが欠ける「部分日食」になる、というわけであります。今更だけど。

★今回日本はこの影に全部すっぽり入るので、晴れてさえいれば、部分日食は日本のどこにいても見られます。ただし、その欠け具合は影の中心に近い南の方が大きくなります。沖縄では7、8割方欠けて三日月状に、他の地域ではざっくり2〜4割欠けて、程度の差こそあれだいたいこんな形に見えます。
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…ちなみにこれはシミュレーションじゃなくて、ワイが撮った写真です。2012年に日本で見られた金環日食の途中の様子。

★さらにちなみに、ネット上の資料ではよく「食分0,○○」とかいう感じで書いてあることが多いですが、誤解されがち。例えば「食分0.5」というのは、太陽の5割が欠けるという意味ではなくて、月が太陽の直径の0.5のところまで食い込んでくる、という意味。食分0.5だと面積的には1/3強しか欠けません。

★部分日食とはいえ、今回の日食は割と貴重であります。次に日本で見られる日食は2023年ですが、これは条件が悪すぎて実質見ても分からない程度しか欠けません。その次は2030年で、この時は北海道で金環日食になり、他の地域でも今回よりかなり大きく欠けます。つまり次に日本で日食らしい日食が見られるのは、かなり先になるんですわ。

★もう一つ面白いのは、今回の日食がちょうど夏至の日に起こること。北回帰線が通る地域ではこの日、太陽が頭の真上を通ってから、その太陽が欠けていくことになります。台湾の一部地域では北回帰線と影の中心が交わっていて、つまりここだと天頂を通る太陽+金環日食が1日で見られるという珍しいことになります。

★そんなわけで「ぜひ見ましょう!」…と言いたいところなんですが、商売柄言っとかなきゃいけないのが「やたら見るな!」ということです(矛盾)。太陽は望遠鏡や双眼鏡はもちろんのこと、ただの肉眼でも直接見てはいけません。そもそもまぶしすぎて欠けてるところなんか見えませんし、目を悪くするだけです。昔は色の濃い下敷きだの煤をつけたガラス板だので見たり、それを推奨されたりしてましたが、最近の研究だとそれも、赤外線や紫外線が素通しだったりするのでNGです。

★じゃあどうすりゃいいんだよ、という話ですが、専用の「日食グラス」を使ってください。業界の回し者みたいですが、商売柄…ていうか真面目に言うと職業倫理上、そう言うしかない。おうちのどこかに昔使ったのが残ってませんかね。ぜひソレ使ってください。近くのホームセンターとかでもひょっこり売ってたりするんじゃないかと思います。

★あともう一つ、今回は夕方の日食なので、木洩れ日の影とか、ブラインド端や穴を通った日光が壁やら床やらに当たった所を見る、という手もあります。こういう小さな穴や隙間を通った日光がある程度離れたところに落とす光は、ピンホールカメラの原理で太陽の形になります。普段はもちろん丸いわけですが、日食の時は欠けた太陽の形がそのまま映って見えます。こんな感じ。
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…これも2012年の金環日食のときに撮ったもの。

★これなら今時らしく「おうちで」ばっちり日食見れますね。ぜひお試しあれ。

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