神社本庁・・・

　今日のネットのニュースを見ていたら、
　「こんぴらさん」の呼び名と参道の785段（奥社まで1368段）もの石段で有名な、
　香川県の金刀比羅宮が、
　全国８万社の神社を包括する宗教法人、神社本庁の傘下からの離脱を決めたと、
　ダイヤモンドオンラインの記事がありました。
　背景には、不祥事や疑惑が続出する神社本庁への反発があると報じられています。

　神社本庁は、伊勢神宮を本宗とし、日本各地の神社を包括する宗教法人です。
　神道系の宗教団体として日本最大であり、
　約８万社ある日本の神社のうち主要なものなど７万９千社以上が加盟し、
　下部組織として、都道府県ごとに神社庁があります。
　ＪＲ山手線に乗っていると、代々木駅と原宿駅の間の明治神宮側に
　黒い変わった建物が見えますが、それが神社本庁です。
　有名な神社であっても、鎌倉宮・靖国神社・伏見稲荷大社・日光東照宮・気多大社・
　梨木神社・新熊野神社・富岡八幡宮など神社本庁との被包括関係を有しない、
　単立宗教法人として運営される場合があり、
　大きな単立神社は約2000社あるとの事です。

　この神社本庁ですが、
　2015年に一般職員のための百合丘職舎を市価より低額で売却し、
　それがすぐに転売されるなどの不動産売買を巡る
　神社界上層部と業者の癒着疑惑が指摘されていますし、
　「八幡宮」の総本宮、大分県の宇佐神宮でも、
　神社本庁執行部が送り込んだ子飼いの宮司と地元神社関係者や住民らが対立し、
　2018年には市民団体が宮司退任を求める署名活動を始める騒動も起きています。
　ここにきて、各地の下部組織である各県神社庁からも
　神社本庁への非難の声がにわかに高まっているとの事で、
　今年３月、熱田神宮を抱く愛知県神社庁が
　「神社本庁内における一連の疑惑は、（中略）もはや看過できない」という決議書を
　神社本庁に提出したほか、
　４月には神奈川県神社庁と福島県神社庁が、
　不動産売買疑惑や幹部職員の不倫疑惑に対し、
　「包括下の全国神社の名誉を著しく損ねる」とする決議書を出し、
　さらに九州地区の６県の神社庁が連名で、
　神社本庁が新型コロナへの危機管理対応を激しく非難する
　緊急提案書を提出したとの事です。

　神社本庁は宗教法人ですから、政治活動が出来ない訳ではありませんが、
　関係団体として神道政治連盟があり、
　新憲法の制定、靖国神社での国家儀礼の確立、道徳・宗教教育の推進、
　夫婦別姓制度の危険性主張、皇室の尊厳護持などの運動をしているようです。
　更に、この神道政治連盟の理念に賛同する超党派の日本の国会議員により構成される
　神道政治連盟国会議員懇談会があり、現在の会長は安倍晋三総理大臣との事です。

　2017年、大相撲の前身発祥の地、東京都の富岡八幡宮で、
　神社本庁からの離脱を決めた女性宮司が
　実弟に日本刀で惨殺されるという事件が起きましたが、
　殺害された女性宮司は事件の直前、神社本庁の腐敗を訴え、
　「（神社本庁の実質的トップである）田中恆清氏が神社本庁総長になったころから
　組織が急激におかしくなった」ことなどが離脱の理由と明かしていたようです。
　この田中恆清氏は、日本の保守系の団体である日本会議の副会長でもあります。

　いずれにしても、神社本庁は安倍政権の大きな支持母体だと思います。
　その神社本庁で起こっている不祥事問題に対し、
　傘下の神社などから批判の声が上がっている訳であり、
　今回の金刀比羅宮の離脱の影響がどのように及ぶのか、注目していたいと思います。