一昨日の演劇WSでの話。
その日、参加されていた女優のNさんは自分の課題テキストとして、シェークスピアの『十二夜』を持ってこられていた。
ここのWSでは古典劇のテキストをやるというのがあまりない印象を持っていたので、珍しい物をされるなという印象であった。
恋した男に近づくため男装した従者になったヒロインが男の命令で彼が恋する女性に指輪を持ってくる。ところが、その女性は男装したヒロインに恋をしてしまう。そのため、ヒロインは持ってきた指輪を返される。
そのシーンである
オイラの中では古典劇はゆっくりとしたテンポで行われ、ヘタをすれば退屈になってしまうという印象を持っていたので、Nさんもそんな風に演じるのだろうと思って観ていた。
ところがである。
Nさんはテンポを早くしてテンションも高くして演じられ、そんな風に演じられる彼女からは今風の演劇のパワーがあった。
そのような演技をされたので、演じられているシーンが笑いのシーンだけに、観ていて笑ってしまい、その上楽しくなってしまった。
逆の演技をすると思っていたので、それが演じられているシーンに意外さと楽しさを与えられた。
多分、彼女の演技の向上を狙って敢えて古典劇の演技でされたのなら、何も感じることなく、ああやられているなという程度で終わっていたかもしれない。
そして、その後、シーンを変え、恋した男、つまり主人との会話になる。
その時もNさんが今風の演技をされるのだが、主人役の男優は古典劇のような格調を持っているのを感じさせる演技をされていた。
その演じ合っている二人が正反対の演技をされ、それがお互いの演技を際立たせているように見え、そのシーンも観ていて楽しいものとなった。
そして、演じられたNさんの演技力を素敵と思うのであった。
演劇のWSは演出をしていて発見を得ることがあるが、他の人の時は演じられているその人から演技という物に何かしら発見することがある。
それを考えると、この演劇WSは演出の発見だけでないもの見つける時がある。
だから、WSに来ることは有意義な時間を手に入れることができ、それを知っているから通っているのである。
ログインしてコメントを確認・投稿する