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2020年05月03日23:16

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ファンティーヌとコゼット

毎週日曜日にBBC制作ドラマ「レ・ミゼラブル」放映しています。
もうすぐ終わるでしょう。たしか全10回かな。
お気に入りのキャラクターが、現代的に自然に描かれていると頭でわかっていても、お気に入りだけにこだわりがあり、心ではちょっと不満ながらも、これはこれでありと思いながら見ています。

私が女なのでやはり女性キャラクターに注目します。
映画やドラマ、そしてミュージカルを見るたびに、特にファンティーヌとコゼットに注目してしまいますが、今回のドラマではとりわけ注目したくなりました。
ユーゴーはコゼットに、若くして亡くした長女に幸せであってほしかったという思いを重ねて、コゼットは幼少時はともかく、ジャン・バルジャンに引き取られてからは苦労知らずで、幸せな結婚を迎えます。
ファンティーヌは、「レ・ミゼラブル」=みじめな人々の典型として描いたろうと思われます。

ファンティーヌとコゼットは、今回のドラマでは、母子だなぁと思いました。
どちらも若いので(ファンティーヌは若くして死んでしまいます)、すなおだけど思慮深くなく、若い娘らしいと思います。
だけど本人を取り巻く運命が、二人の将来を大きく分けたんだなとつくづく思います。

ファンティーヌは、彼女を守る保護者がいなくて、天涯孤独です。当時の庶民の女性としてはふつうですが、教育をうける機会はなく、字も読めません。
まじめに働いていたけれど、恋した相手が悪かったです。貴族のぼんぼんが学生時代だけの遊びのつもりでファンティーヌに遊びで手を出したのに、ファンティーヌは本気だと信じて、ぼんぼんが卒業と同時に逃げてしまった時には、すでにコゼットを妊娠していました。
そして働きやすいようにとコゼットを預けた相手のテナルディエ一家も悪すぎました。人を見る目がなかったです。
コゼットをたてにテナルディエに金を搾り取られただけでなく、彼女の美貌に嫉妬した就職先の上司(BBCドラマでは女性ですが、原作では監督官がふられた腹いせに)よって蚕され、女性の働き口が少ない当時にあっては結局、娼婦に身を落とさなければテナルディエの請求する金額が払えず、体を壊して死んでしまいます。

それに対してコゼットは、ジャン・バルジャンという、経験豊かな保護者がいました。
彼は、パンを一切れ盗んだだけで結果的に19年も囚人生活を送ったけれど、ミリアル司祭と出会い、すさんだ心を癒されて改心し、一度は地方都市の市長にまでなったくらいの経験豊かな大人です。
そしてコゼットは、修道院で教育を受けています。
ただ、BBCドラマの描き方では、コゼットは恋に落ちた相手を簡単に信じてしまいましたが、その相手が誠実な青年で、本気でコゼットに恋して、生涯の伴侶にしたいと思っていたマリウスだったのは、運がよかったといえます。
しかもマリウスも、純情なだけでなく、あの若さで、ボナパルト派の父と王党派の祖父の二人の存在が影を落とし、自由主義の友人たちと暴動に参加して死にかけたりなど、経験豊富です。しかも結局貴族の地位を継ぐので、経済的にも身分的にも重宝され、レ・ミゼラブル側の人間ではないです。

ほんとに二人は経験が浅く思慮が浅い若い娘なのに、本人ではなく、取り巻く人間関係と運不運によって対局の人生を送ったなぁと思ってしまうのです。

もしろんこれは一つの見方に過ぎません。
ただ、あたりまえですが庶民は、本人の努力とは関係ないところで、ちょっとした運不運で大きく生活が変わることは多々あるなと思いました。
そして自分でコントロルできないところで運不運が分かれるので、簡単に立場が転落するかもしれないし、幸運であっても、あぐらをかいていたり、自分の努力でどうにかできたと思ってはいけないと思いました。

BBCドラマの方は、前回のバリケードのあたりから、だんだんと感動的になってきました。
最終的にはよかったと思えそうです。

【追記】全8回でこの日に最終回を迎えました。
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