下記は、4月25日 付の 産経抄 です。
記
中国外交について、老獪(ろうかい)だのしたたかだのと高く評価する人がいるのが、ずっと疑問だった。共産党一党独裁の国だから上意下達が徹底しているだけで、実は柔軟性に乏しく墓穴を掘ることも多いのではないかと。新型コロナウイルスをめぐる情報戦もその様相を呈している。
▼「中国政府と人民の世界保健機関(WHO)に対する支持と信任を体現している」。中国外務省の耿爽(こうそう)報道官は23日の記者会見でこう述べ、WHOへの3千万ドル(約32億円)の新たな寄付を発表した。「中国寄り」(トランプ米大統領)とされるWHOとの癒着疑惑を、さらに深めたいのか。
▼24日付日経新聞朝刊掲載の英フィナンシャル・タイムズのコラム「自滅した中国コロナ外交」が、秀逸だった。それによると米ウィスコンシン州のロス上院議長に、一通のメールが届いた。中国のウイルス感染拡大に対する取り組みを称賛する決議案を、議会に提出してほしいとの依頼だった。
▼「外国の政府が州議会に接触してきて法案の可決を求めるなど聞いたこともない」。ロス氏は当初いたずらだと思っていたが、やがてメールはシカゴの中国総領事から送られてきた本物だと判明する。ロス氏は返信した。「親愛なる総領事殿、ふざけるな」。
▼18日付小欄は、米国のウイルス感染による死者数は3万人を超えると書いたが、1週間で死者数は4万6千人以上を数えるに至った。そんな相手に中国の対応は素晴らしいという決議を求めるなど、神経を逆なでするだけだと子供でも分かる。
▼おそらく中国は、宣伝工作で優位に立とうと在外公館にコロナ対応のPRの指示を出しているのだろうが、逆効果である。中国外交は存外直線的で、思惑が透けてみえて分かりやすい。
https://special.sankei.com/f/sankeisyo/article/20200425/0001.html
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