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2020年04月08日09:34

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『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』感想

〜「Mommy マミー」「たかが世界の終わり」などで高い評価を得ているカナダ出身の若き俊英グザビエ・ドランが、初めて挑んだ英語作品。2006年、ニューヨーク。人気俳優のジョン・F・ドノヴァンが29歳の若さでこの世を去る。自殺か事故か、あるいは事件か、謎に包まれた死の真相について、鍵を握っていたのは11歳の少年ルパート・ターナーだった。10年後、新進俳優として注目される存在となっていたルパートは、ジョンと交わしていた100通以上の手紙を1冊の本として出版。さらには、著名なジャーナリストの取材を受けて、すべてを明らかにすると宣言するのだが……。物語は、ドランが幼いころ、憧れていたレオナルド・ディカプリオに手紙を送ったという自身の経験から着想を得た〜<映画.comさんより>

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「愛よりも、お金よりも、名声よりも、私は真実が欲しい」

始まってすぐ「そう、これ、これ〜!」と一気にドランワールド没入。
ぼかされるフォーカス、印象的な色使い、選曲、そして、音楽の使い方。

過去作を思い出してしまった場面バッド(下向き矢印)
・家族でのどこかぎこちない食事風景(とりわけ母親の描かれ方が似てる?)→『たかが世界の終わり』
・インクの滲み→『トム・アット・ザ・ファーム』

舞台は、プラハ&ニューヨーク&ロンドン

人気俳優と彼に憧れる少年の手紙のやりとり。
2人に共通するのは、父親がいないこと。母親に対してのアンビバレンツな感情。そして、セクシャリティ!?
年齢が離れた文通相手に、自分の悩みや本音を書き綴る。

彼らを不器用に支える2人の母親・・・って、これ定番ドラン?
ルパートにインタビューするのが、政治記者っていうのも面白い。
彼女、最初は、あまり興味なさげだったのが、どんどん入り込んで、最後には自分の予定を崩してまでも、話を続けてもらう。
ドノヴァンのマネージャー、そして、終盤に出てくる謎の老人の配置もいい。

キャストたちが醸し出すアンサンブルが、前作同様、見事にドラン色に染まっている。
どのシーンもドキドキさせられるし、見応えがある。

何よりすごいなって思ったのが・・・。
観終わって、冷静に振り返ると、実は、物語そのものは、そんなに優れたモノではないと思うし、これは果たしてかなりの感動作だったのか?と考えると・・・それほど・・・そうでもないのだ。
だが、だが、だが、観ている最中は、とにかく魅了される。
次にどういう仕掛けがくるのか、どういう驚きがあるのか、常に、ドランがイタズラの如きの何かを隠し持っている雰囲気が漂っていて、とにかく目が離せないのだ。
ドラン作品に魅了される理由の一つはそこだと思う。

ラストシーンは、観賞前にSNSの感想で知ってしまっていたのですが、まさに『マイ・プライベート・アイダホ』のオマージュ感たっぷりでした。

で、そこに、美しいストリングスで有名なあの曲がかかったものだから、もう、もう、もう、こっちは興奮のるつぼでしたよ。
「きゃあぁあああああああ〜〜」
苦味と甘味が奏でるシンフォニー!(←もうタイトル言っちゃってるしあせあせ(飛び散る汗)
♪I can change, I can change...
胸に、心に、沁みまくりました。

音楽は、ガブリエル・ヤレドさんで、ドラン監督と組むのは、今作で、3回目かと。

そうそう、この作品、ジェスカ・チャスティンが出演するはずだったんだけど、撮影はしたもののストーリーの流れに合わないってなって、カットされたのよね。
でも、チャスティンもそれには納得したそうで。

まあ、誰にでもおススメっていう作品ではないかも。
でも、私は・・・やられました(笑) 4つ☆
7 8

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