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2020年04月05日15:21

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「ドビュッシー・ラモー」ヴィルキングル・オラフソン

【収録曲】

1 ドビュッシー: ”選ばれし乙女”から「前奏曲」
2 ラモー: ”クラヴサン曲集(第2組曲)”より「鳥のさえずり」,「第1リゴドン」,「第2リゴドン」,「ドゥーブル」,「ロンド形式のミュゼット」,「タンブーラン」,「村娘(ロンドー)」,「ロンドー形式のジグ�機Ν供�
3 ドビュッシー: ”版画”より「雨の庭」,”子供の領分”から「人形のセレナード」,「雪は踊る」
4 ラモー: ”クラヴサン曲集(第3組曲)”から「やさしい訴え(ロンドー)」,「つむじ風(ロンドー)」,「ミューズたちの対話」
5 ドビュッシー: ”前奏曲集第1巻”から「雪の上の足あと」
6 ラモー: ”クラヴサン曲集(第3組曲)”から「歓喜(ロンドー)」,「一つ目の巨人(ロンドー)」
7 ラモー/オラフソン: 芸術と時間(”Entree pour les Muses, les Zephyres, les Saisons, les Heures et Arts” from Les Boreades, Act ��, Scene �検�
8 ドビュッシー: ”前奏曲集第1巻”から「亜麻色の髪の乙女」,”前奏曲集第2巻”から「オンディーヌ」 
9 ラモー: ”コンセール用のクラヴサン曲集”から「キュピ」(第5コンセール),「おしゃべり」(第4コンセール),「ラモー」(第4コンセール)
10 ラモー: ”新クラヴサン組曲(第5組曲)”から「めんどり」,「エンハーモニック」,「メヌエット1,2」,「未開人たち」,「エジプトの女」
11 ドビュッシー: ”映像第1集”から「ラモーを讃えて」

録音:2019年8月26日〜29日,Harpa Concert Hall, Nordurljos Hall, レイキャヴィク
DG:4837701(セッション)


DG移籍後第3弾となるオラフソンのアルバムは,ドビュッシーとラモーの作品で構成されている。200年ほどのときを隔てたフランスの巨匠たちの作品を一度分解して,再構成することにより新しい響きを提示しようとする試みだろう。オラフソンがこのディスクで目指したのは,ドイツ的な音楽の論理というよりはフランス風の響きそのもの。ラモーが未来志向だったのか,ドビュッシーが回帰的だったのか,判断をつけるのは難しい。だが,これら二人の作曲家が目指した作品の響きがよく似ていることに驚く。フランスという土地柄が持つ音の響きに対する嗜好が表現されているのかと思う。

ドビュッシーもラモーも,近代以前の楽曲の形式を用いて曲を書いているところがよく似ている。バロック音楽の前奏曲の形式で書かれたドビュッシーの作品が何曲も収録されている。また,クラヴサン曲集の形式で書かれた数多くのラモーの音楽もこのアルバムに収められている。ドビュッシーとラモーの音楽がよく似た響きを持っているように聴こえるのは,類似の形式で書かれた作品のせいかも知れない。とはいえ,フランスの音楽がドイツのソナタ形式を相対化してしまうほど幅広い射程を持っていたのも確かだろう。独墺圏の音楽がソナタ形式のロジックをとことん追求した挙句に,後期ロマン派の時期に行き詰まってしまい,十二音音楽へと方向転換せざるを得なかったのとは対照的だ。

音楽史的な視点からこのアルバムを眺めるのも面白いが,ヴィキングル・オラフソンというピアニスト,アーティストの音楽性に焦点を絞って聴いてみるのも十分に面白い。バッハの”Works・Reworks”と同様,このアーティストの卓越した音楽性を堪能できる一枚である。まず,非凡なまでのピアノの腕前に驚かされる。ピアノの一音一音に込められた必要にして十分なニュアンスに目を瞠るはず。ピアノが発する音に無限の意味が込められているにもかかわらず,いやそれだからこそ限りなく自然に聴こえる。もう一つは,ドビュッシーとラモーの作品群から何曲かを選んで組み合わせる選曲眼の確かさである。常識的な見方を超越したドビュッシーとラモーへの眼差し,両作曲家の小品を組み合わせることで新しい音楽の響きを生み出す創造性は比類がない。

オラフソンのアルバムや演奏活動は,多くの先人が築き上げた伝統を破壊し,新しい光の下で音楽を振り返る機会を与えてくれるに違いない。
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