mixiユーザー(id:65517701)

2020年03月20日07:13

40 view

死神博士の合唱コンクール

僕の通った中学では、
毎年、各学年ごとで全クラス参加の
合唱コンクールが有った。
コンクールなので当然、1位2位3位と評価される。
特に何かが貰えるわけでもなかったが(^^;

中学2年の時の話。

担任は、前の年にドイツから
帰って来たとかいう話で、
(ドイツで何をしていたかは知らない…)
担当教科は化学。
白髪交じりの天パーを無造作のままで、
いつもお白衣を着ていて、痩せていて、
苦虫をかみつぶしたような顔をしていたて、
怒鳴ることはなかったけど、厳しめの感じで、
怖い先生という認識だった。
クラスでは、密かに「死神博士」と
あだ名されていたのだけど、
そんなだから、何かに熱くなる
なんてことは無いのでは?
と思っていたら、

今年も合唱コンクールが
実施されることが決定すると、
三か月も先の話なのに、
楽曲を決めることになり、
(課題曲がまずあってそれに
プラスで各クラスで歌を選ぶ)
我がクラスは1971年に赤い鳥という
フォークグループが歌った、
「翼をください」に決定(定番と言えば定番)。
即効で、練習が開始されることになった。

担任要請で音楽(当然、教科担当は別の先生だが)
の時間は
完全に合唱コンクールの練習に充てられ、
他の教科担当の先生が欠席や、
他用事で授業が自習になった時も、
合唱コンクールの練習。
合唱コンクールまで後二月となってからは、
科学の時間さへ練習に充てるという滅茶苦茶ぶり。
生徒からは「それでは科学の単位はどうなるのか?」
という当然のクレームが発生w
それには死神博士は、全員の単位を5にすると約束。
(いやホントに滅茶苦茶)

他のクラスがせいぜい一月前から
音楽の時間だけ練習しているに対して、
三月も前から、練習三昧の我がクラスは、
そりゃ、自分たちでも
びっくりするくらい巧くなっていたさ。

そして合唱コンクール本番当日。

自分たちの歌う声に聞き慣れてる耳で、
他のクラスの歌を聴くと、
音のずれや、はもってないのが
手に取るようにわかるというw

ついに我がクラスがいよいよ舞台に。

♪今〜私の〜ねが〜いごとが〜♪
練習通りの巧い滑り出し。綺麗に整った和音。
水を打ったように静かになる他のクラスの生徒たち。
(他のクラスが歌っているときは割と私語があった)
歌はまだ中盤にも差し掛かっていないが、
手ごたえは有った。と思った。

が!

何がどうしたのか、みんなの歌う
テンポが少しずつ速くなり始め
前に立った指揮者が、明らかに動揺しながら、
声に合わせて指揮の速度を速めていく。
ところがさらに歌う声はペースを上げ、やばい領域に。
ピアノも必死で追いかけて来る。

最初はニコニコと舞台を見上げていた死神博士の顔が
どんどん険しくなる。

これはダメだ。失敗している。
そう思う頃に歌は終了。
クラス全員が自分たちのミスに気が付いている。

が!

体育館の中は割れんばかりの拍手で埋め尽くされた。
他のクラスがこれだけの拍手をされたのは、
後にも先もない。

明らかな失敗を犯しているのに、何故?
と思いながら舞台を降りる我がクラス。

後に舞台に上る他のクラスは
完全に戦意喪失しているのが、
目に見えて分かった。

これはまだわからないか?
1位は無くても、2位か3位は狙えるか?
ドベは無いよね。

最後のクラスが歌い終わってからの審査で、
なんと、我がクラスが1位という結果に!
みんな狂喜乱舞である。
死神博士も滅多に見せないニンマリ顔。


次の日、死神博士は、クラス全員にコーヒー牛乳を
奢ってくれたw
当時、我がクラスは40人くらいいたので、
一本百円のコーヒー牛乳だと、
4000円くらいの出費か?

後で聞いた話。
他のクラスは一か月前から練習だったのに、
我がクラスは三か月前から練習したのだから、
優勝して当然。という陰口を、
他のクラスの生徒がしていたらしい。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する