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2020年03月19日22:56

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株の大暴落は一体いつになったら止まるのか

答えは簡単。適当に変動幅(ボラティリティ)はあると、流れに乗れる者は大きく資産を蓄積できるからである。
素人はカモになる。理屈じゃない。

株式相場の乱高下が続いている。

 この乱高下は見たことがない水準で、「壊れた時計の誤表示」かのように、あり得ない下落幅だ。例えばNYダウの下落なら「1000ドル、2000ドルは当たり前! 次は3000ドルもあるよ!」という、バナナの叩き売りのような叫び声が聞こえてきそうだ。

 しかし、「乱高下というからには、上がったり、下がったりなのだから、必ずしも、下がるばかりではないはずではないか?」と思ったあなたは、相場の素人だが、賢い。正しい。理論的には正しい。それでも、現実的には「乱高下」とは、株式投資家やトレーダーたちにとっては「大暴落」と同義語なのだ。
■なぜ「乱高下」は「大暴落」と同じなのか? 

 なぜなのだろう? それには5つの理由がある。

 まず、第1に、理論的にはリスクとは「将来の変動」を意味する。変化はリスクなのだ。それは上がることも変化だし、下がることも変化なのだ。「明日の株価が上がるか下がるか分からない」、ということが、理論上(定義上)のリスクであって、もし暴騰すれば、それはアップサイド(上振れ)のリスクが実現したことになるのである。例えば「ある資産の平均リターンがゼロで、上下のレンジがプラスマイナス1%」よりも、「プラスマイナス10%」の方が、圧倒的にリスクが高いことになる。
 したがって、乱高下している株式相場は、「株価が結果的に下がっていなくともリスクの高い相場」、ということになる。

 第2に、こうなると、理論的な株価は下がる。株式(あるいはリスク資産全般)の理論価格は、リスクとリターンのバランスで決まる。リスクが高い株式は企業収益の期待上昇率が高くても、リスクが低くて同じ収益を上げる企業の株式よりも、はるかに安い理論価格となる。なぜなら、投資家は「リスク回避的」という理論的前提があるからである。
 この変動を投資家が嫌うことを象徴するものとして、「VIX指数」というものがある。通称「恐怖指数」だが、VIX指数とは、アメリカの代表的な株式指標の一つであるS&P500指数のオプション取引の数値から算出されるもので、今後30日間のS&P 500の予想変動範囲を表している。要は、トレーダー達が予想する今後の株価水準の変動を表している。変動予想がVIXであり、それを恐怖と呼んでいるのである。

■恐怖指数は「正しくない」から価値がある

 では、なぜ「恐怖」と呼ぶのか? 

 それが第3のポイントで、ここで表される変動予想は外れるからである。つまり、今後の変動が大きい、とりわけ極端に大きいと予想されている場合、現実の変動はそれよりも小さくなることが多い、ということが統計的に示されている。なぜ変動予想が過大になるのか。それは予想として正しくないではないか。いやいや、だからこそ、この変数は意味があるのである。

 この指数は正しくないからこそ、価値があるのである。
 なぜなら、その誤りこそ、恐怖を表しているからである。

 株価が大きく変動してくると、さらに大きく変動したらどうしよう、という不安に駆られる。センチメントが恐怖に支配されるのである。それに備えてオプションを買って保険にする(ヘッジする)投資家もいる一方で、これを煽る投機家もいるし、トレーダーとしては、その不安のモーメンタム、恐怖の高まりに賭けて買うことになる。

 この3つの要素が重なって「インプライドボラティリティ」と呼ばれる、「予想されている変動」は極端に大きくなる。しかし、実際の変動は普通に株式を取引している(あるいは普通の指数先物を取引している)投資家たちによっておおむね支配されるから、変動は小さくなり、VIX指数の予想よりは現実は小さくなるのである。
 そして、第4にオプション取引の価格がぶれるだけでなく、株式そのものの価格、つまり株価もぶれる。これは前出の第2の点で述べたように、理論的にリスクが高まるから理論株価が下がるのだが、これが現実にも実現する。ただし、それは理論が当てはまっているというよりは、恐怖というセンチメントが支配しているから、投資家はすべてに悲観的になり、株価自体も下がるのである。

 第5に、これとは逆の相関もあり、株価が下がること自体が恐怖感をもたらす。つまり「下がったらどうしよう」という個人投資家、パフォーマンスが低下すると解約されるファンドのファンドマネージャー、そのほかあらゆる株式投資関係者が恐怖に包まれる。

 そうなると売りが売りを呼び、下落幅が以上に大きくなる暴落となる。恐怖と下落の連鎖であるが、株価の減少としては、暴落があった時ほど変動が大きくなるのである。それは恐怖から過度に暴落するから、少しのことで大きく戻すということが起こる。

 今も起きているように、少しでもいいニュースが出たらすぐにそれに飛びつき、株価は急反発する。しかし、市場全体は恐怖と悲観が支配しているから、次に少しでも悪いニュースが出るか、あるいはいいニュースが次には何もなくなると、すぐに恐怖が舞い戻り、上がった分、すぐ下がり、この下がりが恐怖感をもたらし、下落が下落を呼ぶ。だから、乱高下しながら下がっていくのである。
 これが、乱高下の時に株は上昇せずに下落する理由であり、乱高下とは、暴落と一緒に訪れるのであり、乱高下は暴落と同義語となるのである。

 恐怖感がないとき、悲観が市場を支配していないときは、乱高下が起きないのであり、VIX指数という変動の指数が恐怖指数と呼ばれることになったのである。実際の統計でも、VIX指数とS&P500株価指数は負の相関関係がある。

■プログラム取引のメカニズムは「グレーな部分」がある
 しかし、最後に、もっとも重要なのは、昨今のプログラム取引が変動と暴落を加速しているという批判は正しく、そのメカニズムは不正とまでは言い切れないが、グレーな取引が存在していることである。

 株価が暴落すると恐怖感が高まり、下落が下落を呼び、変動予想は高まり、VIX指数は急上昇する。VIX指数自体を取引する金融商品があるから、これは大幅に値上がりする。

 つまり、株価指数先物とVIX指数先物の両方を取引するプログラムトレーディングにおいては、統計的にも現実的にも、負の相関を前提に取引を行う戦略は儲かる可能性がある。だから、それがプログラム的に織り込まれると、株価の下落とVIX指数の高まりの相関がスパイラル的に高まり、それと同時にこのプログラムが利益を上げ、さらにこのスタイルの取引が加速される。
 これが、売りが売りを呼ぶのと同様に、乱高下が下落を呼び、下落が乱高下を呼び、それがさらなる大暴落をもたらし「1000ドル、2000ドルは当たり前」という歴史的にありえなかったことが現在頻繁に起きている理由である。これが相場操縦に当たるかどうかは非常に微妙なところであり、過去にも論争になったことがある。

 したがって、乱高下が続く限りは、下げどまらないのである。
小幡 績 :慶應義塾大学大学院准教授
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