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2020年03月11日08:18

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映画「Fukushima50」(再掲


映画の内容は書きません。
見るしかない映画だと思うから。
だって原作がインタビューによるドキュメントなんだもの。
個人が内容をどうこう言っても「だって事実だし」になります。

震災被災地じゃ一番の死者数を出した土地に住んでいるのに
ワシは津波を見てないんだよ。
…実際に見た人間は死んでいるってこともあるんだけどね。
津波、みなさんもテレビ映像で見た人がほとんどじゃないかな。
テレビでもじゅうぶん迫力あったと思うよ、たぶん。
でも、被災地はしばらく電気がこなくてテレビは見れなくてね。
見れるようになったらNHKのニュースと物資や道路の情報と、
「ぽぽぽぽーん」のCMしか流れなかった(乳がん検診のCMもあったかな)ので、
津波の迫力ある映像とか、真っ暗な中で燃えている建物とか、
見てないんです。
最近の「あの震災を振り返る」みたいな番組でちらっと出るけどね。
でもなぜだが、映像が頭にあるんだよね。
それは被災後やっと診療開始できたとき(10日目だったかな、水が出たからね)
患者さんがみんな教えてくれたからなんだよね。
患者さんは生きているのでなんらかの形で津波の被害を受けている。
心の傷がまだでかい。
だから話も、すごく臨場感あるんだよね。
逃げる車のタイヤに当たる波の音、助けて助けての声を振り切って逃げる姿、
山に逃げてどこかから人の声がしていたけど夜明けには聞こえなくなったという話。
気の毒だよね、周囲全部被災者だからお互いでこういう話があまりできない。
だから病院ででも言うしかない。
ワシもずいぶん、つらかったよ。

ワシの弟は防衛医大卒だけど基地での義務年限を務めあげて一般病院勤務だ。
その弟が、震災後半年くらいでDMAT(被災地に派遣される医療チーム)で来た。
岩手宮城福島と、何回か来た。
その弟が言ってた。
「震災だから被災者なんだけどさ、福島は「被害者」っていう感じで気の毒で…」
見た人間が言うんだからねぇ。
他人が文句つけても仕方ないわ。
ワシも、震災の年の秋に福島県に里帰りしてお産するという妊婦さんに、
「できたらやめたほうがいい」って言っちゃったよ。
だって仕方ないじゃないの、そういうしか。

去年の秋だったか、「電気料金を安くする」という話をしに来た会社がある。
東京あたりの会社だったと思うけど、とりあえず面会希望というので会った。
そしたら、まあつまりは電力自由化なんだけどさ。
東京電力から電気を買う話だったのね。
へぇ?
東京電力が福島に原発をたてて東京の人たちを豊かにした結果、
震災のとき何が起きたか、知ってて言ってる?
ここは福島じゃないけど、隣だし知り合いとかもいるんだよ。
風評被害もまだあるしさ、宮城県から沖縄に引っ越した俵とかいう失礼な歌人もいるし、
とにかく無関係じゃないのよ。
その土地に来て、東京電力の電気を買えって?
その電気、どこで作るの?福島原発?第二がまだあるものね。
そこが津波に襲われたらどうするの?
そもそも、津波でダメになるようなとこに原発作って地元に迷惑かけて、
自分たちは東京で震災とか他人事でしょ、だからここにそんな話もって来るんでしょ?
この土地に知り合いとか親類いたら、ここで東京電力の名前なんて
絶対出せないって雰囲気でわかると思うけど、わかんないんだよね?
じゃあ帰って。
電気量なんか多少高くてもいいよ、東京電力から電気買ったら心が腐る気がするから。

気の毒でしたねぇ。
若い男女ペアで来ましたけど、
女性のほうは途中でうつむいて口がきけなくなり、
オトコのほうは果敢に「でも、だけど」と言い続けましたが
本気になったワシに口で勝てるオトコなんぞ世界のどこにもいませんから。
あの人たちが悪いわけじゃないけどね、そういわずにいられなかった。
青森県でも南部と津軽は今でも仲が悪い、どっちも相手のことは言わない。
だからおみやげも南部のものと津軽のものいっしょに買えるのは、
どっちとも関係ない資本のデパートがやる物産展だけ。
このふたりがやったことは、南部のおみやげを津軽の道端で売ったようなことかな?
袋叩きに合わないだけいいと思ってね、って感じかな。

そういうおふざけはともかくさ。
この映画、見るべきなんじゃない?
原発がある土地、その隣県に住む人は絶対に見るべきなんじゃない?
だっていつ自分とこでこういうことが起きるかわかんないでしょ。
10メートルの津波を想定したら20メートル来る、
30メートル想定したら45メートルが来る、自然災害は常に人間の想像を超える。
…それがあの震災でたくさんの人や物を失ったワシらが唯一得た教訓なんじゃないの?

それにしても、フクシマフィフティっていうのは、海外マスコミがつけた名前だってね。
日本はとにかく東電を責めることに一生懸命だったけど、
あの事故当時にあの原発で少しでも被害を小さくしようとがんばった人がいた。
その人たちががんばったから第一原発二号機は爆発しないですんだ、んじゃないの。
そりゃ一号三号爆発したら十分とは思う。
震災三日目に通りすがりの新聞屋さんに号外もらって、
一面が「天井吹っ飛んで骨組み見える原発」だったとき「日本終わった」と思った、
あのときの衝撃は忘れない。
今こうしているけどね。(終わりは今もこっそり進行中かもしれないけど)
でも、この映画を見たら「今自分のできることをできるだけがんばる」人たちが
あのときあの場にもいて本当によかったな、と思う。
…だからって東京電力のいろんな責任はなくならないし、
原発を安全安全って推進した誰かさんたちにも反省してほしいけどね。

この映画が、よかったよかった、で終わってないのが一番よかったよ。
最期に出てきた桜並木、今年は道路まで入れるようになったんだよね。
つい昨日か今日、解除されたんじゃなかったかな。
でも道路の奥にある家や庭にはまだ入れない、困ったもんだね。

佐藤浩市、急激に痩せた姿に心配の声あがる 「目もくぼんでしまって…」「病気じゃありませんように」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=128&from=diary&id=6003784
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