今日は午前中、昨日書いた通りの事情で松方ホールチケットオフィスで発券手続き。
すると窓口に私がチケット購入済の公演が延期されると掲示されていた。
http://mixi.jp/view_schedule_entry.pl?id=d0d6a11fccb08f9886ded9b7fd705b43&owner_id=232213
チケットオフィスまで行かねば分からなかった事。しかも公演日が来週に迫っていた
ので情報を得られて良かったのである。
交差点を挟んで向かいはumieというショッピングモールだが人の入りが悪い。しばらく
11時からの営業とする、との事。
奥に神戸にしむら珈琲店がある。一月ぶりに寄ってみた。
さて今日は
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)作曲
ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第７番ハ短調Ｏｐ．30-２
Ｖｎ：クララ＝ジュミ・カン
Ｐｆ：津田 裕也
クララさんの生演奏は、もう５ヶ月も前だが兵庫芸術文化センター管弦楽団の
定期演奏会でチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴いた。アンコールが同じ
ドイツ３Ｂのバッハであった。
本盤デュオは仙台国際音楽コンクールの優勝者同士。二人とも現在30代、因みに
ベートーヴェン30代の作品でもあり溌剌とした旋律と悲劇的な音型が同居する。
本曲は６・８番と３曲合わせてＯｐ．30としてロシア皇帝アレクサンドル１世に
献呈された。献呈されると当時、献呈料を払わねばならなかった。しかし、いつまで
経っても音沙汰なく後に奥様から献呈料を得たとか。芸術家とは言え霞を食べて
生きていく訳にはいかない。
話を戻してベートーヴェンはヴァイオリンソナタを10曲書いているがハ短調は
本曲だけ。意外な感。何故なら他ジャンルを見渡すと「悲愴」「運命」など代表作が
あるから。逆にヴァイオリンソナタに特化して見ると正戸里佳さんのように
「どうしたの、と思うような曲」というコメントも出て来るのかな、と思う。
実際に事件は起こっていた。先ずは難聴。ベートーヴェンのヴァイオリンソナタは
およそ1797年〜1803年に１〜９番がまとまって作曲されているが、この時期に
ベートーヴェンは難聴を自覚し、ハイリゲンシュタットで遺書を認める事となる。
この事が本曲にも影を落としている。音楽家という生業に致命的な事であるが、
本曲作曲の頃は私生活もジュリエッタとの破局というダメージの大きな出来事が
あった。小菅優さんの見解に従うとハ短調とはベートーヴェンにとって逃れられない
ものと結び付いている。
久々に聴いて弦楽四重奏曲４番を思い出した。この曲もハ短調である。前述の正戸
里佳さんとデュオを組んでヴァイオリンソナタ全曲演奏会を行った岡田将さんが、
そう言えば「ピアニストは弾きにくい。弦楽四重奏の残り３名を一人で弾くような
ものだから。」とお話しされていた。それにしても、この静かな始まりは不気味。
言われてみれば「どうしたの、と思うような」始まりかもしれない。ハ短調を
ベートーヴェンはコリオランという悲劇の序曲に用いた。
第２主題は行進曲で変ホ長調。非常に対照的な主題によるコントラスト。第２楽章は
変イ長調に転じて「悲愴」を連想させるような美しい旋律がピアノから。受けて
ヴァイオリン。第３楽章はベートーヴェンお得意のスケルツォで本曲はハ長調で文字
通り諧謔的で明るく楽しい。演奏もリズミカル。終楽章はダダダダダダとピアノが
奏でるがまるで扉をドンドン叩く音の様。扉をドンドン叩く音と言えば「運命」で
知られる交響曲第５番。本曲ザ・ベートーヴェンと言える。Allegroで始まった本楽章
最後はPrestoで怒涛の終曲を迎える。
ログインしてコメントを確認・投稿する